エッチなサイン 自然薯の紅葉 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは



自然薯の学名はヤマノイモで、まだ青い葉もあるが紅葉が始まった。正確には黄葉か。山で撮ったこの画像にはまだ立派なムカゴが残っていた。生薬名「山薬」と言うくらい強壮作用がある芋だ。小さい頃から秋には必ず山へ自然薯を掘りに行っていた。黒い土よりも赤土で出来る自然薯が一番粘りが強く、畑で栽培して出荷する市販のサイズになるまでに6年はかかる。掘りやすい斜面で出来るだけ太いツルを探すのだが、12月になれば枯れて切れてイモの場所がわからなくなってしまう。根元に麦を蒔いておくと芽が出て場所がわかり3月までは自然薯が掘れるのだ。自然薯は前年のイモを養分にして、元の芋がしぼんだスペースに別の芋を出す。初年度の芋が年々膨らむわけではない。栽培するヤマノイモは柔らかい土に肥料を入れて1年で商品にするから自然薯とは言い難い。4年を1年に短縮する養殖のマダイと同じように天然ものと栽培ものはまったく「別物」なのだ。味も粘りも生命力も異なる。そしてさらに地中深く掘り進む。翌年も同じようにして穴掘りを引き継いで行く。親子何代にも渡って1m以上、硬い土を石や岩を避けながらムクムク掘り進むのだ。言わば、それだけの根性が詰っている。だから強精、強壮作用で重宝されている。掘る労力もかかるので価格も真っ直ぐな市販のものに比べて数倍する。成長がピークになり、秋になると「ムカゴ」と言う玉を無数にぶらさげる。芋の食べ頃はその玉が一番膨らんだ時だ。ハート型の青い葉が黄に変わるのは「早よ渡らんかい!」、いや「早よ食わんかい!」という注意信号だ。

元々、根性とは女性にはない精力のことで、その語源はヤマノイモにある。逞しい根の性という意味だ。わかったかな・・(笑) 目からムカゴ・・・