秋の味覚 ムカゴ釜飯 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは


秋の味覚「むかご」で釜飯を作った。むかごは自然薯の実で種芋にもなる。自然薯の学名は「ヤマノイモ」だ。ナガイモやイチョウイモに比べて断然粘り気が強く風味も良い。今はパイプを使って栽培されているが、肥料を与えて1年で収穫する為、粘り気が弱く、味も香りも自然薯とは程遠い。同じ大きさになるのに赤土で育った自然薯は4年以上かかるのだ。むかごの味は自然薯と同じようなもので消化酵素を含むから生食も出来る。9月から11月にかけて黄色く色づき始めた細長いハート型の葉の付け根に鈴なりになっている。つるが太く葉の数が多いほど土中の自然薯は大きい。自然薯掘りについてはブログテーマ「小学生の食料調達奮戦記」に書いてあるが、困難なイモ堀と違ってムカゴは簡単に調達出来る。山道に車を止めればいくらでも道端にあるのだ。木に絡みついた大きなツルは、下で傘で受けて棒で叩けば一気に収穫出来る。このムカゴさえ覚えておけば夏から秋に山で迷っても餓死することはない。ヤマノイモは生薬名「山薬」で、滋養強壮の薬草だ。ムカゴも同じような成分だから精力もつく。

ムカゴ飯の作り方は簡単だ。ムカゴはキノコなど他の材料とも相性が良く、色んな釜飯を楽しむのも良いが、ムカゴの素朴さを味わうならダシと塩以外は使わないほうが良い。大量に作るなら電気釜、一人前なら小さな釜飯が適している。野人流ムカゴ飯は米とムカゴと自家製ナンプラーだけだ。ナンプラーはカタクチイワシのダシと塩そのもので、このムカゴ飯は毎年食べている。このご飯と吸い物と漬物だけで夕食は十分だ。飽食の時代だが、野人は常に質素な食事を心がけている(笑)。