昼下がりのジョーク 黒いアワビのサンバ | 野人エッセイす

野人エッセイす

森羅万象から見つめた食の本質とは

越中ふんどし男の故郷は茨城県の大洗海岸 太平洋に面して年中波が荒い

越中の彼女と三人で帰省した 夕食時 越中の父が言うには ある場所へ行くと アワビがうじゃうじゃいるらしい ところが・・・・浜との間に洗濯板みたいな幅広い岩礁が延々と続くからとても泳いでいけない 船も大回りしても いつもうねりが数mで波が砕け 近づけない・・・つまり・・誰も潜ったことがないのであくまで予想だ

洗濯板と浜の間は静かだが 毎年何人か洗濯板に吸い込まれミンチになる

翌日 「アワビに命をかけよう」・・と 越中と六尺は義兄弟の杯を交わした

翌日 浜に立った二人の腰には もはや ふんどしはなかった・・・

彼女が・・「私 もうこの恥ずかしさに耐えられない!」とパンツを買ってきたのだ

2枚・・・「人目を気にして人間がやれるか!」と二人とも憤慨したが 泣く子と女には勝てない 「やんなっちゃうよなあ~!」と言いながら仕方なくそれにしたが 越中はピンクの花柄 六尺は紫の花柄・・競泳用のビキニパンツ・・・ペアだった

洗濯板に花柄パンツだけの徒手空拳で挑んだが 気合が入らない

いつもと勝手が違って 妙に締め付けられるのだ・・・

水は濁って見えにくい 岩にぶつかりながらも 何とかすり抜けると水は澄んでいた 

そこはアワビの宝庫で あちこちにアワビが・・・ペタ!

潜ってアワビをノックして浮上 驚いたアワビが移動を始めるから 手で簡単に捕れた。

しかし・・入れ物がない 仕方なくパンツに詰め込んだが デカイのを5個も入れると前がモッコリどころかパンパンに膨らんだ しかも痛~い!・・毛をはさんだままアワビがパンツの中を移動するから・・タマ乱!・・・

うねりは数mあるので すぐに気持ち悪くなり 水中で上下がわからなくなってきたので一端引き揚げた 回復して再度挑戦 結局一人で12個 越中がゲットしたのは2個 計14個の大きなアワビが捕れた パンツから取り出す時 「イテテ!」とやるものだから 越中の彼女は「私・・そのアワビ 食べられない・・」と言った

帰ってアワビのフルコース 食べられないと言った彼女が一番パクパク食べていた

殻ごと煮つけたアワビを食べていた越中の父が・・・

「妙なもんじゃなあ・・このアワビ 毛が生えとるぞ・・」と言って 口から縮れた毛を取り出した

越中の彼女は下を向いたまま顔を上げない・・・越中は 知らん顔をしている・・

何か言おうと思ったが出てこない・・う~ん・・・仕方なく 言った・・

「お父さん・・アワビにも 思春期が・・・」  

越中の彼女の肩はふるえていた