*ffcさんからのメッセージ*
ムツゴロウさん、丁寧なお答をいただき、ありがとうございました。
もう少し、踏み込んで質問をしてもよろしいでしょうか。
私は、実は表情筋の分野からヒトとチンパンジーの違いを考えようとしております。
以前、2005年9月のネイチャーに500万年前にチンパンジーの中に、咀嚼筋の発達を抑制する遺伝子が出現したことによって、チンパンジーからヒトへと移行したという論文が発表されております。
表情筋が発達したからヒトになったとも考えられますが、その違いをどの分野から解き明かせばいいのかと考えており、そのヒントが赤ちゃんの吸啜運動にあるのではないかと考えました。ムツゴロウさんが実際に飲んでみた時、母乳がよく出る飲み方というのに気付いたりされていたのでしたら、教えていただきたいと思っております。
どういう風に飲んだとき、よくでましたか?
なぜこの部分を知りたいかというと、サーモグラフィーや筋電圧計で測定をしてみると、この吸啜運動が表情筋を鍛える一番の方法だと確認できたからです。
哺乳瓶で育った赤ちゃんとの違いはサーモグラフィーでは、歴然としています。
生まれたばかりの赤ちゃんの咽喉部は、嗅覚系の動物のそれに近い形をしているので、嚥下と呼吸という2つの機能が別と考えられるため、誤嚥などもなく、機能の不全を感じることはないようですが、成長してくると子供でも嚥下障害に悩んでいる子は少なくなく、さまざまな不都合に悩み苦しんでいる子供はたくさんいます。
また、動物は、生涯、食物路と呼吸路は別なので、その部分の発達遅滞が起こっていても問題はないのかもしれませんが、人間はその部分の発達遅滞は、機能障害というリスクを抱えることにもつながっているように感じています。
口がポカンと開きやすい子は、舌の力も弱く、それに伴い、口呼吸をしており、夜間、いびきをかいていたり、よだれをたれていたりします。
動物もいびきをかくということですが、やはり舌筋の衰えや委縮が大きなウエイトを占めていますか?
また、ヒトは横向きやうつ伏せで眠っていますが、表情筋を鍛えると、相関関係が深い舌筋も筋力がついて、全員仰向けで眠るようになるのです。
動物の舌は長いので、とうてい仰向けでは気道に沈下しやすいだろうから眠れないだろうと思っていたのです。
ちょっと、見当が外れてしまいました。
なぜ、このようなことを考えているのかというと、表情筋を鍛える医療器具というのがあり、これを使うと脳に障害があって機能不全を起こしている方でも、たとえば、脳梗塞の後遺症で、麻痺がある方でも、認知症の方でも、摂食嚥下や会話に不自由を感じている方でも、きちんと使ってもらえば、みなさんいい結果がでているのです。
それがどうしてなのか、知りたいのです。
表情筋が持つ秘密を知りたいと思っているのです。
表情筋に負荷をかけると、右側前頭葉の脳血流が一気に上がります。
脳の改善は、表情筋への負荷によってスイッチがはいるようです。
ムツゴロウさんには、聞きたいことがたくさんあるのですが、今回は本当に丁寧にお返事を下さり、ありがとうございました。
研究チームに持ち帰り、報告をさせていただきます。
ありがとうございました。
**********************************************************
♯7で一度ご質問をいただいたffcさんから、さらに
深い内容について知りたい、と上記のようなメッセージを
いただきました。
少し専門的な話も入ってきますが、
とてもおもしろい内容となっていますので
ぜひ、みなさんにもお読みいただければ、と
ご紹介いたします。
ムツさんからの直筆の答えが届いていますが
とても長いので数回に分け、なるべく
毎日お届けしたいと思います。
以下、ムツさんからの返信となります。
**********************************************************
ffcさん
専門家とは思ってもみませんでした。
失礼しました。
チンパンジーの乳首の長さは、彼らが樹上生活者であり、
しかも座巣性が近いことからくる適応だと受取っていました。
リスなどは育児の際、巣の中で子供を育てます。
乳幼児の体は安定しているわけですし、乳首で頭を固定する必要はありません。
わが家にくるエゾリスの乳首、その小さくて可愛いこと!
コシジさんの写真を見て下さい。
チンパンジーは授乳中も動きます。急な移動が必要だったりします。
乳首が長いと、子供はしっかりくわえてておれるわけで、物理学的な
有利さをまず考えていました。
さて、私は動物の乳房にすがり、乳を飲みます。
その一部がテレビに露出し、ヘンな人というイメージが定着しています。
それはそれでいいのですが、そこから得たものについて、どんなに説明
しても放映してはもらえないのです。あきらめてはいたのですが、
ちょっと欲求不満は残りますよね。
それは、犬で始まりました。
北海道に移住し、犬が増えた時まず気づいたのが、発情が揃うことでした。
これは頷けますね。
発情がグループの存在に組みこまれ、遺伝子の選択に使われているのです。
ソリタリーの動物(例えばトラ)を集団飼育しても、発情の同時性は得られません。
そしてです、想像妊娠をする犬が出現しました。
想像妊娠(PPとしましょう)!
どうなるか ウオッチ。
正常妊娠のメスが出産。
助産が終わって、PPの犬を調べ仰天しました。
PPが終わっているのです。PPに時間があった。
periodicity と言ってもいいのです。
私はそれまで、フィードドックのことばかり考えていました。
胎児が大きくなるなどの現実が脳に伝えられ、出産の命令があると考えていたのです。
もっと違う出産のプログラムがあるのではないかと顔色が変わりました。
大動物ではちょっと違いますね。
馬や牛では出産予定日がよりフレキシブルです。
これは、いつか述べましょう。
♯16へ 続く BYムツさん 畑 正憲
ムツゴロウさん、丁寧なお答をいただき、ありがとうございました。
もう少し、踏み込んで質問をしてもよろしいでしょうか。
私は、実は表情筋の分野からヒトとチンパンジーの違いを考えようとしております。
以前、2005年9月のネイチャーに500万年前にチンパンジーの中に、咀嚼筋の発達を抑制する遺伝子が出現したことによって、チンパンジーからヒトへと移行したという論文が発表されております。
表情筋が発達したからヒトになったとも考えられますが、その違いをどの分野から解き明かせばいいのかと考えており、そのヒントが赤ちゃんの吸啜運動にあるのではないかと考えました。ムツゴロウさんが実際に飲んでみた時、母乳がよく出る飲み方というのに気付いたりされていたのでしたら、教えていただきたいと思っております。
どういう風に飲んだとき、よくでましたか?
なぜこの部分を知りたいかというと、サーモグラフィーや筋電圧計で測定をしてみると、この吸啜運動が表情筋を鍛える一番の方法だと確認できたからです。
哺乳瓶で育った赤ちゃんとの違いはサーモグラフィーでは、歴然としています。
生まれたばかりの赤ちゃんの咽喉部は、嗅覚系の動物のそれに近い形をしているので、嚥下と呼吸という2つの機能が別と考えられるため、誤嚥などもなく、機能の不全を感じることはないようですが、成長してくると子供でも嚥下障害に悩んでいる子は少なくなく、さまざまな不都合に悩み苦しんでいる子供はたくさんいます。
また、動物は、生涯、食物路と呼吸路は別なので、その部分の発達遅滞が起こっていても問題はないのかもしれませんが、人間はその部分の発達遅滞は、機能障害というリスクを抱えることにもつながっているように感じています。
口がポカンと開きやすい子は、舌の力も弱く、それに伴い、口呼吸をしており、夜間、いびきをかいていたり、よだれをたれていたりします。
動物もいびきをかくということですが、やはり舌筋の衰えや委縮が大きなウエイトを占めていますか?
また、ヒトは横向きやうつ伏せで眠っていますが、表情筋を鍛えると、相関関係が深い舌筋も筋力がついて、全員仰向けで眠るようになるのです。
動物の舌は長いので、とうてい仰向けでは気道に沈下しやすいだろうから眠れないだろうと思っていたのです。
ちょっと、見当が外れてしまいました。
なぜ、このようなことを考えているのかというと、表情筋を鍛える医療器具というのがあり、これを使うと脳に障害があって機能不全を起こしている方でも、たとえば、脳梗塞の後遺症で、麻痺がある方でも、認知症の方でも、摂食嚥下や会話に不自由を感じている方でも、きちんと使ってもらえば、みなさんいい結果がでているのです。
それがどうしてなのか、知りたいのです。
表情筋が持つ秘密を知りたいと思っているのです。
表情筋に負荷をかけると、右側前頭葉の脳血流が一気に上がります。
脳の改善は、表情筋への負荷によってスイッチがはいるようです。
ムツゴロウさんには、聞きたいことがたくさんあるのですが、今回は本当に丁寧にお返事を下さり、ありがとうございました。
研究チームに持ち帰り、報告をさせていただきます。
ありがとうございました。
**********************************************************
♯7で一度ご質問をいただいたffcさんから、さらに
深い内容について知りたい、と上記のようなメッセージを
いただきました。
少し専門的な話も入ってきますが、
とてもおもしろい内容となっていますので
ぜひ、みなさんにもお読みいただければ、と
ご紹介いたします。
ムツさんからの直筆の答えが届いていますが
とても長いので数回に分け、なるべく
毎日お届けしたいと思います。
以下、ムツさんからの返信となります。
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ffcさん
専門家とは思ってもみませんでした。
失礼しました。
チンパンジーの乳首の長さは、彼らが樹上生活者であり、
しかも座巣性が近いことからくる適応だと受取っていました。
リスなどは育児の際、巣の中で子供を育てます。
乳幼児の体は安定しているわけですし、乳首で頭を固定する必要はありません。
わが家にくるエゾリスの乳首、その小さくて可愛いこと!
コシジさんの写真を見て下さい。
チンパンジーは授乳中も動きます。急な移動が必要だったりします。
乳首が長いと、子供はしっかりくわえてておれるわけで、物理学的な
有利さをまず考えていました。
さて、私は動物の乳房にすがり、乳を飲みます。
その一部がテレビに露出し、ヘンな人というイメージが定着しています。
それはそれでいいのですが、そこから得たものについて、どんなに説明
しても放映してはもらえないのです。あきらめてはいたのですが、
ちょっと欲求不満は残りますよね。
それは、犬で始まりました。
北海道に移住し、犬が増えた時まず気づいたのが、発情が揃うことでした。
これは頷けますね。
発情がグループの存在に組みこまれ、遺伝子の選択に使われているのです。
ソリタリーの動物(例えばトラ)を集団飼育しても、発情の同時性は得られません。
そしてです、想像妊娠をする犬が出現しました。
想像妊娠(PPとしましょう)!
どうなるか ウオッチ。
正常妊娠のメスが出産。
助産が終わって、PPの犬を調べ仰天しました。
PPが終わっているのです。PPに時間があった。
periodicity と言ってもいいのです。
私はそれまで、フィードドックのことばかり考えていました。
胎児が大きくなるなどの現実が脳に伝えられ、出産の命令があると考えていたのです。
もっと違う出産のプログラムがあるのではないかと顔色が変わりました。
大動物ではちょっと違いますね。
馬や牛では出産予定日がよりフレキシブルです。
これは、いつか述べましょう。
♯16へ 続く BYムツさん 畑 正憲