★★★/丹想庵健次郎(浅草)/~しっぽく~ | 夢酔亭主人のオムライス食日記

夢酔亭主人のオムライス食日記

上野、浅草など下町中心にオムライスや美味しいランチの食日記。

今週も引き続き、種物の蕎麦を楽しみながらのダイエット週間。


今回は珍しい種物を紹介しよう。


浅草観音裏の若き名店、丹想庵健次郎。


今年のミシュランではビブグルマンに選ばれていたが、浅草の蕎麦屋でミシュランに登場した初のお店だ。


珍しい種物とは、『しっぽく』


落語の「時そば」でも有名だ。


「え~、出来ますものはしっぽくと花まきでございます」


「おっ、しっぽく一つ熱くしてこしらえてくんねぇ」


当時はかけそばの値段が一六文だったので、しっぽくは二十四文が相場。


辻褄は合わないが、そこは笑い話として楽しもう。


「客二つつぶして夜鷹 三つ食い」、と言うのがある。


つまり夜鷹が客を二人取れば三杯のかけそばが食べれたらしい。


現在の価値でいうとかけそばが800円とすると三杯で2400円。


するってーとー、夜鷹と遊ぶ客は一人1200円。


なんともリ昔はリーズナブルだったんだね(笑)


話を戻そう。


しっぽくは元々は長崎の卓袱が語源のようだが、関西でブレイクしお江戸でも流行ったらしい。


しかし、幕末に太田庵で考案された『おかめそば』の登場と共に次第に人気がなくなり、現在の東京ではほぼ絶滅した蕎麦だ。


石を投げりゃ蕎麦屋に当たるほどの浅草でも、しっぽくはこのお店以外では見た事がない。


至る所に花が飾ってあり、気持ちの良い接客もこのお店の魅力。


手打ちの作業場では主人が蕎麦を打っている音を聴きながら待つ時間も楽しいものだ。


●しっぽく(1,500円)


鴨ロース、蒲鉾、厚揚げが主役で、きぬさや、天かす、葱、海苔などの脇役陣も揃った豪華な蕎麦。


もちろん江戸時代のしっぽくとは違い、新しく現代に蘇ったしっぽく。


内側はすり鉢のようになっていて、表面は茶器のようなデザインが斬新。


それではいただきます割り箸


小皿にはかぼちゃの煮物とポテトサラダ。



七色は味を邪魔しないように軽く振りかける。


しっとりジューシーな鴨ロース。


蒲鉾は笹かま風で、弾力のいい歯ごたえ。


意外だったのが厚揚げ。


蕎麦の種としては初めて見る。


だしの旨みが濃い汁は一口すするごとに、口いっぱいに風味が広がる。


どちらかといえば関西系のつゆに近い。


完全手打ちの蕎麦はもりで食べた方がより魅力を発揮するが、種物でもクオリティの高さが光る。


〆の蕎麦湯は濃厚なドロドロ系。


箸で混ぜないと溶け合わない程のまるで重湯のような濃厚さだが、これもクセになる旨さの蕎麦湯だ。


いつも完成度の高い蕎麦だが、今回は一段と技が冴えているような気がした。


いつも美味しい食事に感謝をこめて
「ごちそうさま!」


【お店】 ★★★ 
・丹想庵健次郎
・東京都台東区浅草3-35-3
http://r.gnavi.co.jp/aaece6740000/


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