海洋酸性化の足音 | さまようブログ

海洋酸性化の足音

 大気中の二酸化炭素濃度増加に伴い、海は酸性化しつつあります。
さまようブログ
この300年間の海水のpH変化。wikipediaより過去記事 も参照。


 海洋酸性化が進行すると、炭酸カルシウムの骨格を作る生物(プランクトン、サンゴ、貝類など)は殻を形成・維持するのが困難になり、海洋の生態系が大規模に破壊される可能性が指摘されています。

 Nature newsに、海洋酸性化に関する総説的報告が掲載されました。この記事は無料で見られます。

http://www.nature.com/news/2011/110309/full/471154a.html

 
さまようブログ

2050-2100年には、現在サンゴ礁が存在する海域は、ほぼ全域がmerginal(厳しい)またはextremely merginal(非常に厳しい)な海域に変化すると予想される。



 二酸化炭素排出シナリオにもよりますが、早くも2025年ごろには冷水サンゴ の石灰化が妨げられ始めます。続けて、2060年ごろには有孔虫、2070年頃には熱帯サンゴ、2080年頃には貝類(カキ)の、石灰化や成長が、それぞれ妨げられ始めます。

  もちろん、生物はいずれ酸性化にも適応するでしょう。しかし、時間はかかります。これほど急速に海洋の酸性化が進行した例は、過去数千万年には無かったと思われるのです。
さまようブログ
過去の海水のpH変動および将来予測。Ocean Acidification HP より。


 

 個人的には、海洋酸性化は、現在おきつつある地球温暖化の影響の中でも最も深刻なものの一つではないかと思います。