銃・病原菌・鉄
朝日新聞の記事で 、この10年に出版された本のベストに選ばれたのを記念して紹介してみます。
銃・病原菌・鉄 。私は学生時代に読んで、大変な衝撃を受けた本です。
この本の表紙は、スペインのピサロ がインカ帝国皇帝アタワルパ を捕らえたシーンです。ヨーロッパの文明が新大陸の文明に対し優位に立ったことを示す象徴的な図です。しかし、ここで疑問が生じます。なぜ、アタワルパの配下の将軍がヨーロッパに攻め込みカール5世を捕らえたのではなかったのでしょうか?
人類はアフリカで発生しました。それにも関わらず、なぜアフリカは「最も貧しい大陸」なのでしょうか?
多くの時代において、文明の先進地はイスラム世界や中華世界でしたが、なぜ現代において西欧文明が世界を席巻しているのでしょうか?
根本的な疑問として、なぜ、世界は不均衡なものとなったのでしょうか?
その理由を、圧倒的な博学ぶりで著者は論じていきます。さまざまな論拠をあげ、究極的には「大陸の配置」に帰結するとしています。そこにいたるストーリーは、生半可なミステリーでは全く太刀打ちできないほどの愉しさです。まさに「知の冒険」です。
詳細を語ることは、推理小説の真犯人を教えてしまうようなものです。まだ読んでいない方、ぜひこの本をお読みください。絶対に、損はしませんよ。