ジョン・チンダル
(wikipedia英語版より)
ジョン・チンダル
(John Tyndall) 1820~1893、イギリス
二酸化炭素などいくつかのガスが温室効果を持つことを実験的に確認
八幡浜市大島方面を望む
チンダルといえばチンダル現象 。媒質中に粒子(この写真の場合はおそらく細かい水滴)が分散しているとき、光の経路が見える現象のことです。上の写真のように、雲間から差し込む光の経路が見える現象もチンダル現象の一例です。
チンダル現象の発見者であり、名前の由来ともなったチンダルですが、彼がフーリエが提唱した温室効果を実験的に確かめた人物です。
フーリエは地球大気の温室効果を理論的に予測しました が、当時の科学者の多くは「大気は赤外線に対して透明だ(=温室効果は存在しない)」と考えていました。そこでチンダルは実験してみることにしたのです。
(wikipedia英語版
より)
チンダルは、上の図の実験装置を組み立て、ガスがどの程度赤外線を吸収するのか測定しました。
当時、すでに大気の主成分は窒素と酸素から成ることが知られていたので、窒素と酸素の温室効果を分析したところ、この2つのガスには温室効果は全くないという結論が得られました。
フーリエは間違いだったのだろうか?チンダルはそう疑いつつ、たまたま手近にあった石炭ガス(≒メタン)を試してみました。すると、石炭ガスには顕著な温室効果があることが確認されたのです。
チンダルは勢いづき、多くのガスを分析していきました。その結果、チンダルの実験の100年前に発見された二酸化炭素にも、強い温室効果があることを確認しました。また、水蒸気などにも温室効果があることも確認しました
いくつかのガスは温室効果を確かに持つ。このことが発表されたのは1865年。フーリエの死後30年以上が経過していました。
ところで、チンダルは、二酸化炭素に温室効果があることは認めつつも、これが地球の環境に決定的な影響を与えうることまでは認識していませんでした。なにしろ、地球の大気には二酸化炭素は1万分の2~1万分の3程度しか含まれていないのです。「(水蒸気は)イングランドの植物にとって、人間にとっての毛布よりも重要な毛布である」と書き残しており、むしろ水蒸気の温室効果の重要さを強く認識していたことが分かります。これは全く正しく、温室効果に対する寄与は、全気体中で水蒸気が最大です。
ですが、実は二酸化炭素も決して無視できるものではありませんでした。二酸化炭素もまた地球環境に重大な影響を与えることを理解されるのは、チンダルの発見からさらに30年後になります。
チンダルの報告の30年後、二酸化炭素の温室効果について正確に計算した、「気候変動研究の先駆者」が登場することになります。