逆境も消費に変えるたくましさ | 村山涼一のマーケティング備忘録

村山涼一のマーケティング備忘録

日々のマーケティングについて得た知識、考えたことの備忘録

【要旨】


東日本大震災や世界景気の減速の影響を受けるなか、2012年3月期に経常最高益を更新する上場企業が150社を超す見通しだ。


震災を機に広がる「節電」や「巣ごもり」といった国内消費者の志向に対応した企業が健闘。資源需要や新興国市場の拡大を追い風に収益を伸ばす企業も多い。



今期に経常最高益を見込むのは全体の9%の156社。前期(211社)より減少するが、上場企業全体で2%の経常減益となるなか、健闘ぶりが際立つ。


【具体的な動き】


好調企業にはサービスや小売業などの内需系が多い。震災後の電力不足を背景に、消費者の節電意識の高まりが追い風となった企業が目立つ。


-ヤマダ電機は経常利益が前期比2%増と、3期連続で最高益を更新する見通し。11年4~6月期に省エネ機能付きエアコンやLED電球など「節電家電」の販売が好調だった。富士通ゼネラルも主力のエアコンの売上高が同期に国内で36%増加。省エネ機種は海外も好調で12年3月期は3期連続の最高益を見込む。


繊維メーカーは例年より盛り上がったクールビズ商戦の恩恵を受ける。


-東レはファーストリテイリングの「ユニクロ」の機能性肌着などに使われるハイテク繊維の販売が拡大。富士紡ホールディングスも速乾性に優れた肌着や機能性素材の販売が伸びている。


根強い節約志向や企業のサマータイム導入などによるライフスタイルの変化を背景に「巣ごもり」消費も好調。


-ヤオコーは自宅で料理する「内食」志向の高まりを受け、生鮮食品や冷凍食品、総菜類の販売が増えている。11年4~7月の既存店売上高は前年同期比3%以上のプラスだった。


通販市場の拡大でネット企業の最高益更新も目立つ。


-カカクコムは店舗ごとの価格情報などを掲載し、通販サイトに消費者を誘導する比較サイトが好調。販売実績などに応じた手数料収入が増え、最高益をけん引する。


今期の好調企業のもう一つのキーワードが「資源需要」。


-伊藤忠商事は中国など新興国での需要拡大で、主力の鉄鉱石の価格が上がり、数量も増える。07年3月期以来、5期ぶりに経常最高益を更新するもよう。丸紅も銅や石炭など金属部門が最高益をけん引する。


-日揮も液化天然ガス(LNG)プラントなどでの大型工事が中東や東南アジアで増加。前期末の受注残は過去最高を更新し、今期も好調が続く。


新興国需要の拡大も見逃せない。


-自動車部品のプレス工業は震災後のサプライチェーン(調達網)寸断の影響を受けたが、新興国で商用車や建機向け部品が伸びて増収を確保。08年3月期以来、4期ぶりの経常最高益の更新を見込む。


-鬼怒川ゴム工業も新興国で自動車用ゴム部材の販売を拡大。3期連続で最高益となるもようだ。


以上、日経電子版。


大震災という逆境も消費に変えて成功するたくましさが読み取れる。


内需は、節電、クールビズ、サマータイム、ネット購買がキーワード。資源需要、新興国需要も成功要因。