【要旨】
2013年春に卒業する大学生の採用選考が本格化している。
経団連の倫理憲章見直しで、従来の「3年生の10月」から「12月」開始となり、現4年生の就職活動期間は実質2カ月短くなった。
学業に配慮し、就活の早期過熱を是正する一歩として打ち出された措置だったが、短期化元年の学生たちの多くは試練と受け止めたようだ。変わる就活の最前線を追った。
【事例】
今月8日、東洋大が中堅・中小企業11社を招き、学内で開いた会社説明会。4年生100人以上が参加し、各企業のブースで採用担当者の説明に聞き入った。
鉄道など公益企業を志望する男子学生(25)は15社前後にエントリーシート(ES)を提出し採用選考に臨んだが、内定はまだ。「時間があれば志望業界以外の企業も回り、視野を広げておきたかった。短期化ははっきり言って迷惑」
やはり未内定の男子学生(23)は「第1志望のアパレル業界以外にも応募して、何とか内定を得たい」と意欲的。この日は印刷会社など2社のブースを回り、さっそくエントリー(ウェブサイトへの登録)を決めた。
5月は学生に人気の高い著名企業が内定者を決め、就活が最初の節目を迎える時期。選考を通らなかった学生は中堅・中小企業にも目を向けるなど、戦術の練り直しが必要になる。
【13年卒の傾向】
13年卒は短期化の余波で、例年より苦戦する傾向が出ている。
「学生の相談を受けていて、志望動機などが浅いと感じる。(就活が順調に進む学生と苦戦する学生の)二極化が進んだ」。立教大の小林常浩・就職支援課長はこう指摘する。
小林さんによると、大学の支援に頼らず就活をスムーズに進められる学生を仮に「1番手層」とすると、短期化の影響を受けたのは「2番手層」だという。この層は会社説明会やOB・OG訪問をこなす中で1番手層との差を縮めていくが、現4年生はその余裕が乏しかったとの見立てだ。
【企業の見解】
企業側の印象とも符合する。「個人差はあるものの、例年に比べ学生の業界研究不足が見受けられた」と日産自動車の担当者。
日立製作所の担当者も「工夫して業界研究などをしてきた学生が多いが、準備が不足している学生もいる」と話す。
【データ】
就職情報会社のディスコによると、13年卒の学生が参加した説明会やセミナーは平均49.0社で前年より2.0社減少。短期就活の慌ただしさをうかがわせる。
【肯定的評価】
一方で、肯定的な評価もある。「説明会などが12月開始だったので助かった」と振り返るのは理系の男子学生。3年の秋口まで大学院進学か就職かで迷っていた。「10月始まりだったら路線変更が間に合わなかった。勉強に力を入れている学生には短期化は朗報」
多くの大学で授業出席率が上がったといい、明治大就職キャリア支援部の福田敏行部長は「ゼミが12月まで落ち着いていたと複数の教授から聞いた」という。
【今後の動き】
大学は初年の教訓をくんで動き始めている。
青山学院大は今年4月、3年生対象の本格的な就職ガイダンスを初めてこの時期に開催した。「ハウツーではなく働き方を明確にイメージさせることに重点を置く。早めに、強くメッセージを出す」と進路・就職センター。
国立の千葉大も、これまで行っていなかったESの添削講座を現3年生から導入する。
就活を巡っては「通年採用が普及しないと、学生が追い立てられる状況は変わらない」(大学の教育改革に詳しい天野史郎・明治学院大教授)など様々な意見がある。望ましいあり方を巡る議論が今後も続きそうだ。
以上、日経朝刊。
やはりウィークポイントは、企業研究/志望動機。


