スマートフォン(以下、スマホ)と携帯電話(ガラケー)は、代替関係にあるので、同じもののように思ってしまいますが、私は全く別物だと思っています。
それはスマートフォン独自の機能によります。GPS、加速度センサー、角度を感知するジャイロセンサー、電子コンパスなどがそれです。
これがあることによって、今まででは考えられない商品、サービス、ビジネスが生まれるのです。
このあたりが日経産業新聞のシリーズ「スマートフォン革命 上中下」で紹介されています。ここではその記事を題材に何が起きているのかを書いていこうと思います。
まず富士通は、クラウドとスマホのマトリクスで便利なサービスを提供しています。
すっきりとした寝起きは誰でもしたいもの。特に、あまり睡眠時間が取れない私などは、短い時間で効率的に回復したいといつも思っています。
これを可能にしたのが富士通の「スッキリ目覚まし」。
これはスマホのセンサーとマイク機能を使って、体の動きや呼吸を感知します。これにより、浅い眠りになったタイミングでアラームを鳴らします。
これにより、すっきりと目覚められるという訳です。
体の動きや呼吸を感知するとなると、以前でしたら大きく、複雑な専門の装置が必要でした。これを代替できる機能が、スマホには整っているのです。
眠りをコントロールできるなら、他の感情のコントロールにも役立てることができるでしょう。喜怒哀楽を感知してくれて、事前にそれを知らせてくれたら、人間関係がスムースになるでしょうね。
また同じくスマホのセンサーを使って、体の傾きを解析し、スタイル維持の助言やランニングの指導をしてくれるサービスも提供しています。
これらのサービスは大量のデータ=ビッグデータを生み出すので、クラウドとの連携が必要になります。ゆえに富士通は、クラウドとスマホを掛け合わせるということを発想したのでしょう。
次に、NECカシオモバイルコミュニケーションズは、時計とスマホのマトリクスでサービスを提供しています。
これはスマホのデータ処理機能と、ブルートゥースの省電力型規格=BLEを使いました。BLEは時計用電池で2年間使えるのだそうです。
これらにより、スマホのデータを時計に飛ばし、着信があった際には時計に相手を表示したり、時計からスマホの音声を鳴らしたりできるようにしました。
スマホはその構造上、すぐにロックがかかってしまうので、誰から着信したかが時計で分かるととても便利です。また音声を外に出せて、それが時計ならば、とても手軽でしょう。
このようなサービスが実現するのも、スマホが独自の機能を有しているからです。
かつて私はスマホをPCだと思っていましたが、実はそれ以上のもので、PCの機能に、携帯性が実現できる機能= GPS、加速度センサー、角度を感知するジャイロセンサー、電子コンパス、を掛け合わせた優れものだということが分かりました。
それはすばらしいものなのですが、今からこのハードを追いかけても手遅れのようです。なぜなら、確実に普及が予想されているのですから、ここを握っている企業はもう決まっているからです。
それではどこに着目して、スマホで商品、サービス、ビジネスを作ればいいのでしょう?
2012年1月18日の日経産業新聞で、夏野剛氏は、「価値の多くの部分は、ハードではなく、ソフトとネットに依存するようになった」「どんなサービスを与えられるかという<しかけづくり>に移った」と述べています。
つまり、スマホ自体の機能は与件として、それにソフトとネットを掛け合わせて、新しい商品、サービス、ビジネスを作ることがポイントとなるのです。
そのような近未来を、パナソニックモバイルコミュニケーションズは実現しようとしています。
それはスマホの映像機能をビエラと連携させて、映し出したり、家電と連携させて、その状態をスマホで管理できるようにするサービスです。
前者は利便性の域を出ないかも知れませんが、後者はいろいろな未来が考えられるように思います。
例えば、冷蔵庫の内容物を外から確認して何が必要かを判断したり、暑い日に外からエアコンをつけ、設定温度を変えたりできるようになります。
同じ道理で、風呂や洗濯機もコントロールでき、帰宅時間に合わせて、それらの準備をすることができるようになります。
かつて上記のような未来を予測した人はたくさんいますが、それを実現するのがスマホだったとは誰も考えなかったでしょう。
また今後は、電気自動車の遠隔操作や放射線計として活用することも可能になるそうです。
さらにソニーの4スクリーン戦略が示すように、スマホ、タブレット、パソコン、テレビは、コンテンツ基盤が統一され、垣根がなくなります。
スマホ専用放送局の実現は、放送と通信の融合を実現します。
結論として、スマホは通信手段にとどまらず、人とITの間の垣根を取り去る役割を担うようになるのです。
ですから、先述した夏野氏の発言の通り、スマホの機能を前提として、ソフトとネットによるしかけづくりが重要になり、ここを握った人間が成功するのだと思います。
(日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJを題材にまとめています)