先日、地球音楽ライブラリーにある「E'」 のレビューを紹介しました。今回はYOKOHAMA二十才まえのレビューを紹介します。これもかなり力が入ったレビューです。
ミュージシャン紹介などの部分は省略していいところだけ抜粋しました。
コンピュータの導入でファンを驚かせた前作「E'」以上に徹底的にデジタル・サウンドを駆使した実験的なアルバムだ。
と言っても矢沢がナンセンスな実験のための実験をいたずらに試みるわけはなく、前作「E'」のレコーディング・セッションで獲得したニュー・サウンドをさらに進化させるためのポジティヴな試みであり、矢沢ならではのソウルフルなメロディとゴールドのデジタル・ポップ・サウンドがドッキングした斬新なサウンドが楽しめる。
矢沢とゴールドとのコラボレーションによるそのモダン・ポップ・サウンドは凡百のニュー・ウェイヴ・グループを過去の遺物にしてしまうほど新鮮な響きを持っていた。
常に日本の音楽シーンの数歩先をクールに闊歩する矢沢はここでも時代に先駆けたサウンドをポップな姿勢で具現化している。
矢沢メロディとデジタル・サウンドを合体させたら……というアイディア自体は特に目新しいものではない。80年代以降の世界に生きている音楽ファンなら誰でも思いつく。
ただ、それを実際に試してみようとするだけのパワフルな行動力を持ち合わせているやつはあまりいない。
ドラム・マシンのデジタル・ビートが矢沢メロディに似合うはずだと考えるプロデューサーやアレンジャーは少ないだろうし、そのドッキングを成功させるだけのノウハウやテクニックを持っている者はもっと少ないだろう。
しかし、矢沢とゴールドはそのアイディアを見事に具現化してしまった。
立ち止まることを知らない“ドリーマー"矢沢永吉とその夢を実現することのできる“リアリスト”A.コールドとのコラボレーションによる強靭なミュージックマシンは疾風怒涛の勢いで80年代の世界を駆け抜けていた。
彼らの進路を妨げる壁などどこにもないのではと思わせるほど破絡の強度と速度を兼ね備えた当時の二人には不可能を可能にしてしまうマジカルなタッチがあった。
それは一種の魔法だったのかもしれない。
SIDE-A
1.浮気な午後の雨
2.Take It Time
3.YOKOHAMA二十才まえ
4.Morning Rain
5.光に濡れて
SIDE-B
1.苦い雨
2.瞬間を二人
3.SORRY
4.逃避行
5.あ・い・つ
参加ミュージシャン
Andrew Gold (key,g,dr,cho)
Mitchell Froom (syn)
Bob Glaub(b)/
Mike Botts(dr)
Michael Landou(g)
Joy Leslie,
Bryan Cumming (sax)
Kenny Edwards,
Sharyn Scott,
Debbie Pearl,
Brock Walsh,
Liza Edwards (cho)
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