大声で叱ったりすることを 「雷を落とす」 と言います。
時代劇などでよく目にするシーンで怖い奥さんが旦那に雷を落とすと、決まって旦那が 「くわばらくわばら」 と口にしてコソコソと逃げていきます。
ところで、今でこそ学問の神様と崇められている菅原道真が神様になる前は恐ろしい怨霊でした。
道真が陰謀に嵌って九州の大宰府で憤死したあと、怒りの雷を日本国中に落としました。
でも、ただ一箇所だけ京都にある道真の領地だった 「桑原(くわばら)」 というところにだけは雷が落ちなかったそうです。
なので、庶民はその地名の 「桑原」 を唱えることで落雷から逃れることが出来ると考えました。
「桑原」 が 「くわばらくわばら」 という避雷の呪文になったわけですね。
それが、奥さんに雷を落とされるような怖いことや、忌まわしいことを避けるときに呪文として使われるようになったそうです。
話は変わって、「カミナリ親父」 っていうキャラクターが漫画に登場しますね。
ことに「おばけのQ太郎」のカミナリ親父は有名です。
カミナリ親父とは大声の口やかましい目がねと髯のオヤジで、草野球で飛んでいったボールが家の窓ガラスや盆栽を割ってしまうと、「どこのどいつだー!」 と窓や物陰から突然現れてかんかんになってドヤします!
正ちゃんが 「ぎゃー!カミナリ親父だー!」 と叫ぶと、それまで草野球をやっていた仲間がパチンコ玉をばら撒いたように散り散りになります。
まさに、どこに落ちるかわからない雷を恐れて逃げ惑う様子をみているようです。
これはきっと、現代風?(私の子供の頃かな?)の雷の避け方なのでしょう。
だとすると、正ちゃんが叫ぶ 「ぎゃー!カミナリ親父だーーー!」 も一種の呪文なのかも知れませんね(笑)
前置きが長くなりました。
呪文は言葉で、言葉は「言霊(ことだま)」というくらいイメージを生み想いを生みます。
つまり、 「ぎゃー!カミナリ親父だー!」 のように人を何かに向かわせたり、ほんの些細なひと言で人の心を大きく傷つけたりする力があります。
西遊記の三蔵法師として知られる玄奘が、天竺への道中の安全を祈り般若心経を唱えながら旅したという伝説があります。
これも経文に込められた呪文や言霊の力を使って、危険からバリアーを張ったみたいなもんでしょう。
私も車を運転しながらCDで般若心経なんかをかけて一緒に唱えたりします。
また、たとえば好きな人と会うたびに、「今日も(今日は...ではありません)綺麗だね」とか言っていると、もともと綺麗な女性でも本当にだんだん綺麗になっていきます。
言葉が相手と自分の精神に作用して外見の変化として現れて来るのでしょうが、それくらい言葉には力があります。
でも、いい方向に人を導く言葉なら有難いものですが、人を傷つけることなどを言ってしまうと恐ろしいことにもなりかねません。
もう何年か前ですが、関東の高校生同士が冗談で「殺すぞ!」と言い合っていて、本当に相手を殺してしまうという事件がありました。
これなどは言葉の使い方を間違えた結果、言霊が負(陰)の力を生じた哀しい出来事でした。
言葉は自分の意思を伝える一番身近な道具ですから、使用上の注意が必要です。
過去に何度も書いていますが、言葉には不思議な力があって、心や物の形や運命までも変えてしまうことがあります。
私が敬愛して止まない空海は言葉についてこんな風に語っています。
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声は単なる音ではなく 魂の足音である
魂が綺麗ならば その足音の声も綺麗である
その綺麗な声が相手に届くことが 幸せを作るもとになる
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魂が澄んだ綺麗な言葉を吐くのは私みたいな煩人にはまだまだ修行が必要ですが、せめて感謝の気持ちくらいは素直に言葉にして伝えたいものだと思っています。
感謝の気持ちは恩を受けたと感じたときに生じます。
「恩」という字は「(原)因」の下に「心」と書きます。
つまり、「恩」とは何がなされて今の状態の原因が何であるかを心に深く考えることだそうです。
そして、「恩」とは自分が単純に喜べることだけではなく、ときには厳しい「恩」が本当に感謝すべきことであったりします。
自分の今ある姿を深く深く考えて、ときには泣き、笑い、怒り、奢り、反省して、結局他人の力ではなく、自分で最後の答えを見つけるしかないですが、願わくば澄んだ清い感謝の心を見つけたいものです。
決して我利我利盲者に憑りつかれないように...
くわばらくわばら
Suga Shikao × miwa - Yozora no Mukou (Live)
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