アーティストのファンによるブログ記事は、そのほとんどが個人の見解による「印象批評」になってしまっていて、明確な論理性を持っていません。


言い切っちゃいましたけど、印象批評を書き続けている僕が言うのですから、たしかなこと、と思っていただいて大丈夫です。

僕の記事の中には普遍的な論理性みたいなものは皆無です、残念ながら。


自分の感動が、個人的なものであるのか、普遍的なものであるのかを考えず、個人の感覚を書き連ねていても、そこに論理性を付与しなければ感動の理由、実体というものは、明確には伝わりません。


個人の見解や感覚によって書かれた文章が、共感出来る人にとっては感動的であり、共感出来ない人にとっては生理的嫌悪感をもたらすものでしか無いのには、そうした背景があります。


僕にとってはPerfumeの美点として評価出来る何かがあり、その何かについていかに感動したか、を書いたところで、別の視点から眺めてみれば、その何か、はそのままPerfumeの短所になるのかもしれないわけです。


たとえば、Perfumeは、家族友人のみならず、スタッフや、直接関係を持たない音楽関係者までもが愛する、今時珍しい、礼儀正しく、生活上に乱れたところの無い女の子たちである、と僕が褒めた、とします。


彼女たちは、レッスンに励み、夜遊びなどせず、髪の毛を染めたり水商売の女性かと見間違えんばかりの派手は化粧もせず、言葉使いもキレイで、日常の生活も慎ましやかなんだ、と。

大人が多いファンが安心して声援を送れる「良い子たち」なんだ、と。


これを異なる視点から読み直してみましょう。


家族友人、スタッフや音楽関係者達から愛されたからと言って、彼女たちが優れたアーティストであるとは限らないし、プロなんだからレッスンするのも当たり前。

レッスンしてたって「口パク」じゃあね。


日常生活が派手じゃないとか、大人が安心して応援出来るとかって、結局男性優位の大人社会の中での良い子、というにすぎないんじゃないの?

若者ってもっと既存の価値観とか、大人がオトナの都合で決めたことに対して反抗的なものなんじゃないの?

ちょっと悪い子、大人を心配させるくらいのほうが頼もしいし、かっこいい。

本当に若い人達だったら、そういうちょっと悪い子の方に共感を抱くものなんじゃないかな。


……自分で書いていてもあまり気分のいいものじゃないですね(笑)。


でも、これも一つの見方です。

同じ現象を基にした、異なる無限の見解の中の一つ。


一つの見方である以上、この意見に対しても反論、批判は可能です。


「口パク」?男性優位の大人社会の中での良い子にすぎない?

彼女たちがそれだけの存在にしか過ぎないのであれば、芸能界という厳しい世界で、結成から10年、全国デビューから7年、メジャーデビューから5年間もの間生き残ってこれたわけがないじゃないか。


厳しい環境の中で生き残ってくるほどに強く、したたかで、それでいてなお現在も礼儀正しさや周囲への感謝を気持ちを失っていないことが、彼女たちの価値なんじゃないか、といった具合に。


これをやってると、キリがありませんね。

個人の評価の違いなんて、生理的なものだったりしますし。


個人の見解である限り、評価の正、負、というのは絶対値として等価でしかないのではないか、という気がします。

ファンのブログの記事なんて、そんなに肩肘はって書くものでも、読むものでもないのかもしれませんね。


実際には、このようなある有名人に対しての批判的な「印象」というものは、顕在化することはほとんどありません。

普段から潜在的に存在してはいるものの、それは何かきっかけでも無い限り(ドラッグ使用などの不祥事)意識の表面や外部にもたらされる言葉として出てくることはあまりないのではないか、と思われます。


しかし、この潜在的な批判的印象、とでも呼ぶべきものは、少しずつではあっても降り積もっていくものなんじゃないか、という気がします。


無理解と無関心のみならず、「ジャンク」な情報だけを頼りにした、偏見や先入観を核として、雪のように、静かに、確実に。


「口パク」「アイドル」「フライデー」「プロデューサー批判」「天然キャラ」「暴走キャラ」「外見への中傷」「あまりテレビに出れない」「ぶりっ子」「名前しか知らない」「三人の区別がつかない」「他のアイドルとの違いが分からない」「もう『新しく』ない」「カラオケで歌っても盛り上がらない」………


僕は年末の音楽番組の中で、ファンでない人達に囲まれたPerfumeの「アウェイ」感、は情報がないわけでも、興味が無いわけでもなく、もしかたしら、Perfumeをある程度知った上で「シカト」されているからかもしれない、と感じました。


そして、「シカト」無視という態度の持つ意味を考えました。

考えすぎかもしれないんですけどね。


次回では、Perfumeを決して無視しない人達、Perfumeファンについて考えてみたい、と思います。


はあ、例えとはいえ、Perfumeを悪く書くのは胃に悪い ▽―w―▽