「DISPLAY」では、「フゥゥゥゥ~♪」というコーラスパートで独特な振付がある。

両手を上に上げ、海の中で揺蕩う海草のように左右に揺らした後、右腕を上に伸ばしつつ上体を反らして、伸ばした右手で宙を掴むようにギュッと閉じる。

ライブ中、ステージサイド席にいた僕は、メインステージ中央あたりで歌っている三人の姿を斜め横くらいの角度から観ていた。

右腕を伸ばして上に上げる時。

腕を伸ばすのと同時に、首も上を見上げるようにする動作がある。
あ~ちゃんとかしゆかは、首を上げるのと同時に上体を後ろに反らし、右手を閉じる。

鞭がしなるような力強いあ~ちゃんの反らし方と、しなやかに反らすかしゆか。
ただ、どちらも背中を反らすようにしながら首を上に上げている。
首の重量を後ろに移動させながら反らしている。
メカニズムは同じだ。

のっちはまったく別のメカニズムでこの動きを行っていた。

まず、のっちはほとんど上体が後ろに反らない。
身体は反るのだけれど、背中を反らすのではなく、胸の側、肋骨を撓める(たわめる)ようにして、腰骨を前に出し、背骨を前に曲げている。

薄刃ののこぎりを思い出してもらうといいかもしれない。
薄刃ののこぎりを立てて、上から垂直に押すと、のこぎりの上部と下部は同じ位置にあって、あいだの刃の部分が前か、後ろにたわんで曲がる。

のっちは肋骨を前に出すようにして上体を撓め、首の位置をほとんど(もちろん少しは後ろに反らす)背中側に移動させることなく、(ほぼ)まっすぐに下に下ろす。
これは、MVでも(正面からの映像でも)分かる動きなので興味のある人は確認して下さい。

のっちの身体の柔軟さには、ダンスをやっている人なら誰でも出来る柔軟さ、という以上に何か使い方、メカニズムの特殊さがある。

何というか、不思議な人である ▽・w・▽
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このブロックのセットリストが凄い。

08. エレクトロ・ワールド

09. DISPLAY

10. Seventh Heaven

メジャーデビュー第2作とブレイクシングル「ポリリズム」のカップリング曲。

Perfumeファンでなければ、4つ打ちサウンドのノリの良い曲ということでさらりと聞き流してしまいそうなこの2曲は、かつての「Perfumeらしさ」を代表するサウンド、歌詞に彩られている。

この2曲に挟まれているのが最新シングルのカップリング曲である「DISPLAY」。

この曲を観た感想を書きたくてこのレポを書いている。

「DISPLAY」

演奏時間3分48秒の中で歌唱パートが歌い出し部分約30秒、約1分間の「間奏」の後、コーラスパートが約30秒、歌唱パートが約45秒、曲終りのコーラスパートが約30秒。

30+30+45+30=2分15秒(135秒)。

約1分、2箇所で続くコーラスパートを除いた歌唱パート(モノローグとして成立する歌詞で構成されたパート)は75秒しかなく、そのうちの約15秒は「DISPLAY」という言葉を繰り返しているだけ。

つまり、たとえばあなたがカラオケで「DISPLAY」を歌おうと思った場合歌詞に相当する部分は約60秒ほどしかないのだ。

この曲をカップリングとは言えシングルCDに収録してしまうのが「リニアモーターガール」以来のPerfume音楽制作班の「狂気」だ。

PerfumeはJ-POPにも対応したポップユニットではあるけれども、そこを安住の地にはしないぞというアリバイ。

三人の声質を考えればPerfumeはもっと楽にファンに「媚びる」ことも出来たはずだ。

乙女心を気づいてくれない男子をもどかしく思いながらも愛しさを募らせる歌詞とか

甘い声質で人生の矛盾を指摘するとか

病んだ精神を演出するようなやたらとネガティブな歌詞やアレンジとか

Perfume音楽制作班はその手法を採らなかった。

広島出身の3人の女性は、そんな歌を歌うために青春時代をPerfumeに費やしたのではないからだ。
彼女たちは自分で詞も書かず、曲を作らないかもしれない。

しかし、彼女たちは常に音楽ユニットとしての明確なメッセージを携えている。

それは、正しい評価を得るために、正しい努力を続けることは、無駄なことではないのだという明確なメッセージだ。
シンプルで、しかも力強い。

Perfumeサウンドは、少女の頃の彼女たちが望まなかった方向性を選択したのかも知れない。
ただし、間違いなくPerfumeサウンドは、あの三人の女性をイメージの源泉としている。

中田ヤスタカのイメージは常に曖昧なものである。
彼の音楽は、ピースの足りないジグソーパズルだ。
虫喰い穴だらけの世界観は、「何か」によって補完されなければならない。

かつてそれは、のっちによる輪郭の太い解釈によって行われていた。

「DISPLAY」を挟む2曲は、のっちのボーカルがメインパートを担っていた時代の代表曲とも言える。

J-POPへの対応を考慮した2010年度サウンドを模索する時代から、メインパートを担う役割は少しずつ、ウェットで、カラフルな色彩感覚を持つあ~ちゃんのボーカルへと移譲されてきた。

「DISPLAY」は、のっちの力強い描線と、あ~ちゃんによるカラフルな色彩感覚を併せ持つキメラだ。
曲の凄さは、MIKIKOさんの振付に現れる。

この曲のパフォーマンスでは ▽・w・▽
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今回の舞台装置は種田陽平さん。
「ClingCling」のMVの世界観を構築した美術監督である。

それをツアーのステージで再現したいというメンバーの要望に応えるため、あらためてMVのイメージにほぼ近い形でステージが組まれた。

立体的に配置された舞台装置はそれぞれがメンバーがパフォーマンスをする場所にもなっており、背景に相当する部分までがMVのイメージのとおりに再現されて凸凹のある構造になっていた。

ということは、最近のPerfumeのライブで恒例になっているライゾマのプロジェクション・マッピングはないのか?
それはそれで依存せずの新たな方向性でいいかなと思っていたら、なんとなんと舞台装置が自動で動いて場所を移動し、背景となっている壁は折りたたまれていくではないか。
(この部分に関してブログ仲間の柿羊羹さんからご指摘をいただきました。自動ではなく、スタッフの手作業が主だったそうです)

しかも、折りたたまれていく壁にはPerfumeのメンバーの影というか輪郭だけの映像がプロジェクション・マッピングで映しだされている。

何という手間暇。
そして気づかれるかどうかの微妙。

その一方各所に配置されたモニターにはメンバーがCGとコラボレートした映像が流されている。

CGの動きに合わせてメンバーが若干の演技をする、という内容なのだけれど、ここでも淡々と演ずるかしゆか、自分なりの表情のアクセントを加えるあ~ちゃん、おそらくは演出家の要請どおりの無機質なキャラクターを演じるのっち、という三者三様の演技が見られた。

着替えタイムは以前と比べると短くなっている(これはアンコールの時もそうだ)

3人が奈落に落ちていった部分からまた姿を現すのが照明を落とされた状態でも見え、始まったのが「エレクトロ・ワールド」。

照明が明るくなると、三人の衣装が青い色に変わっているのが分かり、それに合わせるように張り出しステージまで続く通路の両サイドの電球(LEDなんだろうね(笑))の色までが青に。

関監督によるMVには「青の時代」と呼びたくなる、効果的に「青」を配色した映像を作り出していた時期があった。
それが再現されるような照明。

長く続くチームPerfumeならではの演出。
痺れる。

最近にPerfumeのファンになった人たちにとって「三部作」ってどんな存在なのだろう。
最近の若い世代のファンの特色として、ブレイク前後にファンになった30~50代の男性ファンのようなブレイク前史への執着みたいなものがないことがあげられるのではないかと思う。

「エレワ」でブレイクしていれば、という当時のファンが感じただろう、そして何より本人たちが感じていたであろう無念のようなものは、ブレイク前後にファンになった者にとってもまるで種の記憶のように受け継がれていたはずである。

それを感じない新しい世代の、ブレイク後の「人気アーティスト」であるPerfumeのファンになった世代にとっての「エレワ」。

なんである世代のファンが、足元の床が熱した鉄板になったように跳びはねるのか、先祖返りをしたような雄叫びをあげるのかって分からないのではないか。

昨年末のドームツアーでは「コンピューターシティー」が、そして今年のツアーではこの「エレワ」と、そして ▽・w・▽
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「恋は前傾姿勢」。
振付の途中でマイクを倒す部分があるんだけど歌い手の遠くへ、つまり前方へ倒すのではなくて歌い手側に倒していた。

前傾姿勢じゃないじゃん、と思ったり前傾姿勢になっている相手を迎え入れるような体勢なのかと思ったり。

あまり幸せな状況で売り出されずセールスもさほど伸びなかったシングルリード曲「Sweet Refrain」の、しかもカップリング。
軽快なサウンドで手拍子もしやすいし、ライブ映えのする曲という判断によるセットリスト入りなのか。

Perfumeのセットリストは基本的にライブ開始から3~4曲の間は人気の高い盛り上がる曲を続け、その後ちょっと息を抜く感じの曲を挟むことが多かった。

典型的なのがGAMEツアーのセットリストで

01.GAME
02.エレクトロ・ワールド
03.コンピューターシティ
04.コンピュータードライビング

という4曲。
「殺す気か!!!!」と言いたくなるようなアゲアゲのセットリストであり、さらにこの後

05.TSPS
06.BcL
07.ファンデーション

と続き、ファンデーションで一息入れるまで4つ打ち系のアップテンポなサウンドのオンパレードになるのだった。

その頃から考えるとセットリストの構成も変わった。

今回のセットリストをここまで振り返ってみると

01. Cling Cling
02. Handy Man
03. Clockwork
04. レーザービーム

05. いじわるなハロー
06. I still love U
07. 恋は前傾姿勢

であり、いわゆる「縦ノリ」が起こりやすい曲は「レーザービーム」くらいである。

もちろん01,03,04,05,06の各曲はファンの人気も高く、楽曲の完成度も高い作品揃いであるが、会場があっという間にヒートアップし、息つく暇もなく盛り上がり続けるというものではなくなっている。

しかし、Perfumeは前回の代々木から導入した演出とさらにレベルを高く設定した振付の完成度によって観客を圧倒する。

「前傾姿勢」が終わってPerfumeは張り出しステージの途中から奈落に姿を消し、着替えタイムが始まる。

BGM by 中田ヤスタカ。

ユニヴァーサルにはぜひ、ライブヴァージョンのツアーアルバムを出してほしいと熱望する。
DVDやBDがあるじゃんって?

音源が欲しいじゃないか ▽・w・▽
「I still love U」(入力が面倒なので以後は『未練』と呼ぶ)はアルバム「⊿」収録の楽曲である。

「⊿」は、大ヒット作「GAME」以降、Perfume音楽制作班がコンベス期から続いた「甘く切なく、いつもちょっとだけ届かない想い」をメインテーマにしたキラキラ系乙女ポップから、恋愛を含めたPerfumeと同世代の女性の「日常」をテーマにした作品群へと歌詞の構成を変容させようとする過渡期に制作された。

このアルバムで模索された方向性、特に「Zero Gravity」から続く浮遊感や飛翔感に溢れたサウンド、「日常」の風景や毎日を過ごす若い女性のこれといってドラマティックで深刻な悩みを持たない歌詞の世界観が、のちにPerfumeをよりメジャーなマーケットへと推し進める「2010年度」サウンドに結実していく。

「未練」はアルバム収録曲ではあるものの、MVまで制作されている。
同アルバムに収録されている「Kiss and Music」と並んでPerfumeには珍しく「黒い」R&B系統のサウンドを取り入れた楽曲である。

同じく同アルバムに収録されたシングル曲「ltw」がヨーロピアン風な軽やかなサウンド(たしかラジオ番組でこの曲の感想を求められた細野晴臣さんは「バングルズ」だね、と表現した)であることと比べると、色で言うと暗色、ドシッと重みのあるアレンジにPerfumeらしからぬ情念さえ感じさせるウェットな歌詞で彩られた「未練」は、Perfumeサウンド、というよりも、ボーカルチームとしてのPerfumeが、J-POP的な歌詞の世界観にも十分に対応できる可能性を証明した。

ここ、代々木第一体育館では張り出し通路の先端に設けられた円形のステージで披露されている。
照明部も心得たもので、あっという間にライブ空間の雰囲気が黒く染まる。

センターあ~ちゃん、観客席側から見て左にかしゆか、右にのっちという黄金比率で始まるパフォーマンス、メンバーが左足を広げつま先を外に向けてぐっと腰を落とし跳ねるように足を伸ばす。

僕はその動きをステージサイド席、メンバーの背中から観ている。
当然メンバーの表情は見えないのに、彼女たちが笑顔を消して一点に視線を据えているのが見えるようだ。

「⊿」の楽曲についてあ~ちゃんは「背伸びをして」という意味の表現を使っていたことがあるが、20歳代半ばに差し掛かったPerfumeにとってこの曲、この歌詞の情念はむしろ「日常」といえるのではないかと思う。

かしゆかがソロパートで苦手だというウィンクにチャレンジしたのをモニターで観た。
必殺とも言えるあ~ちゃんのウィンクにはまだまだだ。
あれ?今のウィンク?ぐらいだった。
かしゆか中毒患者にはすでに毒が回っているので、あれで必殺!!だったりして。
アナフィラキシーショックみたいに ▽・w・▽
盛り上がった「レーザービーム」の後はステージが暗転、ステージサイドにいた僕の眼には3人がステージ脇の階段を降りていったん下に降りる姿が見えた。

しばらくしてステージに戻ってきたのはのっち。
ライブ開始直後のブロックの後、小休止を挟んでMCを始めるのがのっちの担当になってから結構経つ。

今回は代々木のステージなのだけれど、ガイシ2日目に参戦した時のMCの内容はのっちとかしゆかによる姿見(全身を見るための大きめの鏡)トークだった。

かしゆかの家には姿見がない、という話と、のっちの家にはあったのだけれど嘘をつく(縦長に映してほっそりと見せるタイプ)姿見だったので捨ててしまった、という話だった。

代々木ではまずのっちによる「みなさん盛り上がってますか」的なあおりがまずあり、なんやかんやあってかしゆか登場。
かしゆかが登場してから「最終日ということで気合入ってますか」的なさらなるあおりがあり、もちろん観客はそれに応えて大歓声。

ただ、その時ある観客が「のっちは?」みたいな質問をしてきたのでございます(岸田今日子さんの声で読んでください)

のっち氏、「気合?入ってるに決まってるでしょう!!!!愚問ですよ、愚問!!」

荒ぶってしまったのでございます。

そのうちにあ~ちゃんが登場して平常運行、ビタドロの衣装を着たちっちゃい子とからめば不機嫌なガールで相手にしてもらえず、中田さんコスの男性がかしゆかコスの女性を連れていたために「やめてください、気持ち悪い」と断言されてしまったりのあと。

「いじわるなハロー」

どう考えてもお笑いコンビ「ハライチ」のネタの冒頭部にしか聞こえない(この後『~なハロー』のヴァリエーションをいくつか続けた後、「元の形なくなっちゃった!!!!」で終わる一連のボケが続く)タイトルのこの曲は、久々にステップ重視の振り付け、あれ?カンフーアクションみたいな動きがあったのはこの曲だったかな?

バキバキの印象ではない曲ではあるけれど、ノリの良い四つ打ち系統のサウンであるため会場では縦ノリ気味の盛り上がり、この曲の途中で確かへそ出し通路から観客席中程に設置された円形ステージへ。

次の曲は、会場の雰囲気を一瞬で「黒く」する異色作「I still love U」。

イントロから濡れる ▽・w・▽
「レーザービーム」は現在までのところ、Perfumeの2番めによく売れたシングルCDのリード曲である(12万枚強、もっとも売れたシングルCDはご存知『ltw」で14万枚強)。

ライブでも非常に盛り上がる、今やPerfumeの数多く存在するキラーチューンの一つだ。
もちろん僕も大好きなのだけれど、ファン全体のみならず、世間的にも「ポリリズム」と並ぶ代表曲扱いになっているのが解せない。

CMソングだからかなぁ。

この曲はたしかあ~ちゃんがラジオか何かで「中田さんが2週間位で仕上げた」という意味のことを言っていたような記憶がある。
依頼が入ってからほとんど間を置かずに制作、録音が行われ、しかもすぐに電波に(CMソングだから)乗った。

当時の僕は、氷結のCMに決まっていたはずのタレントが何らかの理由でドタキャンになり、その代役としてキャスティングされたのではないかという疑問をいだいた。
あまりにも短い時間の中での音楽制作だったから。

たしかに中田さんは曲を作り始めると早いらしいし、通常どの位の制作期間を設けてPerfumeサウンドを生み出しているのかは分からない。
しかし、曲を売り出すとなると、早く仕上がるかどうかだけの問題ではなくなるはずじゃないか。

楽曲の演奏時間も3分50秒とPerfumeのシングル曲としてはずいぶんと短い(2010年度以降Perfumeのシングル曲は基本的に4分30秒前後にコントロールされていた時期がある)。

しかも歌詞の構成は4段落ごとの1ブロックを6回繰り返すだけだ。
http://j-lyric.net/artist/a04cc66/l024fde.html

中田さんとしてもずいぶんと間に合わせるのに大変だったのではないかという気がする。
それが今やPerfumeの代表曲。

なんてことを考えながらライブでこの曲を聴いていたわけではないので念のため。

以上、シングルヴァージョンにおける「レーザービーム」についてでした
▽・w・▽
2曲目は「Handyman」。
これは1曲目の「ClingCling」と3曲目の「Clockwork」のブリッヂのような役割を担っている。

両者ともに世界観の確立した楽曲で、しかも「ClingCling」→「Clockwork」とストレートに繋げるとすると共通項がない。

これといった明確なテーマを歌詞の中に持たない「Handyman」を間に置くことでセットリストとして自然な(とはいえけっこう強引ではある)流れが生まれる。

「ClingCling」が立体的な舞台装置を活かし、3人のポジションニングもそれに伴ったものになっていたのに比べ「Handyman」は三人が共にステージ中央に立ち、歌う。
かしゆかがセンターポジションに立つ後ろでのっちとあ~ちゃんがカンフーっぽいアクションをする振り付けはたしかこの曲だったと思うのだが、MIKIKOさんにしては珍しく振り付けの「核」となるようなポージングがない。

衣装も「ClingCling」のジャケット衣装から早変わりが行われている。

そして3曲目はクールに拍を拾い続ける振り付けの「Clockwork」。
曲中にある「わ~わ~わ」の歌詞の部分で3人が腕を上げてゆらりと揺らす振付の場面では観客の多くがそれを真似るというのが定番となりつつあるようだ。

この曲でもかしゆかの歌声に存在する「諦念」のような雰囲気が非常に効果的に使われている。
「Clockwork」の歌詞も明確な方向性を持たないものであり、無テーマ性とでも言いたくなるような楽曲では(edgeのような)かしゆかの、個人的な感覚が欠落したような歌声が世界の色を決める。

この曲では再び舞台上の円形のステージ、観客席から観て向かって左側とその奥に配置された立体的な装置やメインステージセンターなどにバラけて歌う。

南側、かしゆかサイドから見るとどうしてものっちの動きが対角にあるため目立つ。

わ~わ~わ♪

という歌詞の部分では3人が肘を鋭角的に曲げつつ両腕を身体の左右に揺らす、という振付になっている。
のっちの肩と肘はアジャスターか何かで取り外しができて曲ごとに変えているのではないかと疑いたくなるほど奇妙な角度を作る。

3人にとってこの曲、そしてこの曲の振り付けが非常に満足のいくレベルに仕上がっているのではないかと感じるのは、非常に堂々と、自分たちのダンススキル、ポージングの巧みさを魅せつけるような自信にあふれた表情に終始しているからだ。

何と言っても曲がいい。

1曲目と3曲目の間に無個性な2曲目をはさみ、強固な世界観(現在のPerfumeを象徴するような)を二つ提示したところで、セットリストは「娯楽部門」に差し掛かる。

4曲目は今やPerfumeをよく知らない人でもタイトルとサビは知っている「代表曲」ヒットシングルリード曲「レーザービーム」だ。

張り詰めていた会場のテンションはやや緩み、心地良いサウンドに観客は思う存分ビートを刻む
▽・w・▽
まずはオリコンさんからセットリストを引用させてもらって

01. Cling Cling
02. Handy Man
03. Clockwork
04. レーザービーム

MC のち→かし→あ~→3人

05. いじわるなハロー
06. I still love U
07. 恋は前傾姿勢

着替えタイム
BGM 中田ヤスタカMIX
ステージ 舞台装置 変転

08. エレクトロ・ワールド
09. DISPLAY
10. SEVENTH HEAVEN

MC PTAのコーナー(最終日とあって長め)

11. Party Maker
12. GLITTER
13. セラミックガール
14. ジェニーはご機嫌ななめ
15. チョコレイト・ディスコ

アンコール前ラストMC

16. Hold Your Hand

【アンコール】さいたまスーパーアリーナと同じくアリーナ後方ステージへ登場

17. リニアモーターガール(レアな曲やりますから経緯説明)
18. Perfume(山本史郎マネージャーリクエスト)
19. 願い

メンバーへのサプライズ

PerfumeWorldへようこそ

最近のライブやプロモーション活動で繰り返しアピールされるキーワードからライブは開始する。

1曲目はニューシングル「ClingCling」、ドラマティックなサウンドによるライブの開幕。

中田ヤスタカは人気プロデューサーであり、サウンドプロデュースを担当するのはもちろんPerfumeだけではない。
それなのに、というべきか中田ヤスタカとPerfumeとのサウンドを介した結びつきには特別な何かがあり、中田ヤスタカが担当する他のアーティストと常に比べられることになる。

megのプロデュースをしている時には「megっぽい」と言われる曲があったように、現在は(しかたのないことだとはいえ)「これ、きゃりーっぽくね?」的な感想をよく目にする。

しかし、パフォーマンスとして披露されれば「~っぽい」という感想がいかに的外れなものであるかが理解できる。

Perfumeはサウンドの優れた演奏者であり、言葉通りの意味でプロパーな実演家である。

ステージを正面に見てやや右側に配置された円形のステージで歌い出しユニゾンを決めるメンバーは円環状のポーズから3人バラけてのパフォーマンス。

今回僕が得たチケットは、後発されたステージサイド席、南側スタンド2階席H列。
ほぼ真横からステージを見ることになる席だ。

いわゆるかしゆかサイドなのだが、対角に位置するのっちがステージ中央を向いて歌い踊る時、ちょうど正面から見る角度でもある。

遠目から見てもやはりのっちの動きは特異なものだ。
肩と肘の角度、動き方が常人とは違う。

関節の駆動域の問題かとかつては思っていたが何かもっと別の理由だ。

そして、あ~ちゃん。
ステージを真横から見るとメンバーの動きの、特に前後の入れ替わりがわかりやすく見えてくる。
あ~ちゃんが、ある位置からぐっと前に出てくるときの迫力もまた特別なものだ。

のっちはあ~ちゃんのダンスの魅力を「溜めとキレ」と表現していたことがあるがまさにその通り。
グッと溜めてバーっと動いた時のダイナミクス。
音楽に集中している時のあ~ちゃんのパフォーマンスは年々迫力を増している。
大器は時を経て成る。

かしゆかはこの曲ではボーカルパートの印象が強い。
リアルな響きを持つあ~ちゃんのっちのボーカルとは異なる異世界の歌声。
相変わらず首と顎の角度が独特で、上半身のしなりはとても優美だ。

しまった、まだ1曲目じゃないか ▽・w・▽