Perfumeの3人が上京して中田さんと出会う前、Perfumeの楽曲のボーカルパートはどのように振り分けられていたのでしょう。
現在僕に確認できるのは
ピーターラビットとわたし
スーパージェットシューズ
OMAJINAI★ぺロリ (A)
彼氏募集中 (A)
ジェニーはご機嫌ななめ (N)
と6曲に関して。
まず「ピーター~」、これは大貫妙子さんの曲でPerfumeがステージにおかれた椅子に腰掛けた状態からイントロが始まり、歌が始まると、あ~ちゃんメロディ、のっちハーモニーのデュエットとなります。
パフォーマンス上の並びはステージ向かって左からのっちかしゆかあ~ちゃん、となっていて、椅子から立ち上がり前に出てきて踊る部分で入れ替わって、かしゆかあ~ちゃんのっち、僕が勝手にPerfumeの黄金比率と呼んでいるあ~ちゃんを頂点にした正三角形のフォーメーションとなります。
歌唱部分では曲の途中からかしゆかも加わってきますが、事実上あ~ちゃんとのっちのデュエット曲と呼んでもいいような印象を受けます。
以前はみなさんにも動画でご確認いただけたんですが、現在は無理かも。
このあ~ちゃんメロディ担当、のっちハーモニー担当、というのは広島時代におけるPerfume(この頃の表記はぱふゅ→む)の歌唱パフォーマンスの中で目立つパートの振り分け、となっていて「彼募」のステージ用パフォーマンスでも見ることが出来ます。
「スーパー~」は元気いっぱいに3人がステージ上を動き回るパフォーマンスが印象的、上京を踏まえた「おまぺロ」「彼募」リリース前からPerfumeの持ち歌となっていた楽曲です。
この曲のパフォーマンスでも、のっちかしゆか、で始まりあ~ちゃんかしゆか、のっちかしゆかというパート割を挟みながらも基本的にはあ~ちゃんのっちの二人による溌剌とした歌声で歌唱パート全体が構成されています。
そして記念すべきCDデビュー曲「おまぺロ」、残念ながらパフォーマンス映像が残っておらず、フォーメーションに関してはPV映像から想像するしかないのですが、歌唱パートは
ユニゾン→あ~ちゃんソロ→ユニゾン→のっちソロ→ユニゾンから一番サビがあ~ちゃんソロ+かしのち→ユニゾン、
二番に入ってかしゆかソロ→ユニゾンからサビのっち+あ~かし→ユニゾン、
サビのリピートになってからユニゾン→あ~ちゃんソロ+かしのち→ユニゾン→のっちソロ+あ~かし→ユニゾン
といった振り分けになっています。
サビのあ~ちゃんソロ+~となっているのはもっとも声を張り、高い音域を必要とされる歌詞の部分とその直後が
大変だ (A)
止められない (K+N)
となっている、とということです。
「彼募」では歌い始めから
一人きりじゃ (A)
一人きりじゃ (N)
寂しいから (K)
というパート割、以降のソロパートもこの順で繰り返され、ユニゾンに続きます。
「おまぺロ」「彼募」では、かしゆかの特徴ある歌声がコケティッシュに、そしてややコミカルに楽曲全体にアクセントをつけている印象。
あ~ちゃん、のっち、という二人のディーバとは異なった独自の役割を担っています。
そして、上京直前にぱふゅ→むの持ち歌に加わった「ジェニー」。
広島時代に披露されたパフォーマンスは、現在我々が知る「ジェニー」とはまったく違う構成になっていて、センターかしゆかのソロパートから始まる振り分けになっています。
キミといちゃいちゃ してるところを
から
あたしピンチ
までが、かしゆかソロ、その後
いつもそうなの 誰かわたしに
意地悪してるんじゃない?
までが、ユニゾン、続いてあ~ちゃんソロ、となっています。
パフォーマンスでは、スタンドマイクで左からのっちかしゆかあ~ちゃん、間奏部分でマイクの前に出て踊る部分も含めてかしゆかセンター固定シフト、というPerfume史上において例を見ない珍しいフォーメーションとなっているのが特徴、全国インディーズ時代における「かしゆかセンター」という構想が、すでに始まっていることが確認できます。
ただ、上京する前、広島時代のPerfumeに関しては基本的にあ~ちゃんのボーカルを中心にして、非常にうまくのっちのボーカルと絡み合わせて楽曲を構成している、と考えることが出来そうです。
フォーメーションではちょっとまた話が違ってくるのですが、広島時代のあ~ちゃんがいつも元気良く、溌剌とした印象をうけるのは、分かりやすく活動の中心にあ~ちゃんがいて、上京してから始まるパフォーマンスとユニット内の役割における「ねじれ現象」がまだ起こっていない、ということも関係しているのかもしれません。
広島時代のあ~ちゃんはASHのレッスンで培った歌唱法で伸び伸びと歌えていて、彼女の歌声の特色である「伸び」「艶やかさ」に加えて、上京後は影を潜める「強さ」と「張り」までを備えた堂々たるリードボーカル振りを発揮していたように感じます。
曲に合わせて発声を変える、というスマートな部分も広島時代から見受けられますし、うまく言えないんですが、中田さんとの出会いがもっとスムーズで穏やかなものであったなら、と思わずにはいられません。
のっちは、強いですね。
いつでも、どこでものっちです。
僕がこの人を「エース」と呼ぶのは、大舞台になればなるほど強く、非常事態にも強く、幸運と才能に恵まれている、と感じているからなんですが、これはもう広島時代から現在までを通じてずっと変わらないものなんじゃないか、と思います。
歌、に関して言えば、とにかく喉が弱く、そういう部分も含めてあ~ちゃんにはやや譲る部分も多いかな、という印象なんですが、この人には「解釈力」とでも呼ぶべき素晴らしい才能があって、さらにパフォーマンス全体を引っ張る華やかさ、も備えています。
天才です。
この後の活動においても、のっちは自らの「天才」を証明していってくれるだろう、と思っています。
くれぐれもタトゥーとか入れないように。
広島時代のかしゆかが、聡明なかしゆかが、何を思い、感じ、考えてPerfumeとしての活動を続けていたんだろう、ということを考えることがあります。
かしゆかにはいつでもかしゆか独自の役割、居場所みたいなものがあったのですが、この人は本来、ユニークなアクセント、という役割ではなく、もっとスタンダードな、中心を担うような役割を志していた人なんじゃなかったのか、という印象を受けるからです。
彼女のキャラクター、歌声、というのはもう何物にも替えがたい、Perfumeにはなくてはならない存在です。
かしゆかの第一印象は今イチ良くなかったようですが、中田さんの作品によって才能を開花させていく、非常に運命的な出会いになっていたのではないか、という気がしています。
広島時代のPerfumeには、原始的ながらはっきりとしたそれぞれの確立した役割、というものがあって、あ~ちゃんを中心にしてそのバランスは安定していたんじゃなかったか、と思います。
しかし、上京してからすぐにそのバランスを揺るがす全国インディーズ期、が始まります。
アミューズが上京してくる3人のために採用した若き才能との出会いによって。
次回のタイトルは「全国インディーズ期 センターかしゆか」 ▽・w・▽