さてさて、久しぶりに80’sのロックミュージック、また登場してもらいました、Journeyであります。
今回紹介する曲は「Separate Ways」、1983年に発売された『FRONTIERS』から最初にシングルカットされ、全米シングルチャートの8位にランクインされた名曲です。

何故同じ曲の動画を三つ?

そう思った方、我慢して三つを見比べてみてください、上から1983年、2001年、2008年、それぞれの年代の「Separate Ways」となっています。

まず1983年と2001年の違いはリードボーカルとドラムスがチェンジしている、ということですね。

ボーカルがスティーブ・ペリーからスティーブ・オウジェリに、ドラムスがスティーブ・スミス(スティーブだらけですな)からディーン・カストロノボに変わっています。

そして2008年では、またボーカルがチェンジ、今度はフィリピン人のアーネル・ピネダになっています。

ボーカルの顔ぶれが変わっても、基本的には演奏もアレンジも同じ、変わったはずのボーカルでさえ雰囲気の似通った声質、あまり違和感は感じないんじゃないか、と思います。

同じ曲、同じ演奏やアレンジ、同じような声による歌唱。

でも、この三つの「Separate Ways」は、やはり別々の歌い手によって歌われる、それぞれのオリジナルとなっているように感じられます。

スティーブ・ペリーによるボーカルは甘く儚いようでいてしかし力強い。
しぼり出すように歌う高音部分の伸び、がこの人の真骨頂で、分厚い演奏の上に堂々と立ち、楽曲全体に君臨しているかのようです。

そして、2008年のアーネル・ピネダ。
この人は、地元フィリピンでバンド活動をしていた時に、Journeyの曲をカバーした動画がようつべにアップロードされ、たまたまそれをニール・ショーンが観て気に入り、連絡し、そのままJourneyのリードボーカルに抜擢される、という信じられないようなエピソードの持ち主で、スティーブ・ペリーを髣髴とさせるハスキーながら伸びのある高音が持ち味。

上記の二人、スティーブ・ペリーとアーネル・ピネダ、は特に声のイメージが似通っていて、2008年のJourneyの映像は、まるで1983年のJourneyが現代において再現されているような印象を受けます。

しかし、僕が今回注目して欲しいのは真ん中、2001年のリードボーカル、スティーブ・オウジェリなんです。
彼の声もスティーブ・ペリーに何となく似ています。

彼もJourneyに入る前にはロックバンドで活動をしていて、活動を休止中にJourneyのリードボーカルになるためのオーディションを受けて合格、2000年から2006年までスティーブ・ペリーの抜けた大きな穴を埋めるべく奮戦するも、喉の感染症を患って脱退。

Journeyは、よりスティーブ・ペリーの声に近いイメージのアーネル・ピネダを獲得するや、すぐに世界的な大ツアーを組んで大成功を収めていますから、オウジェリはちょっとついてないような、割を食ったような感じを受けるんですが、この人、歌がうまいんですよね。

もともとスティーブ・ペリーを思わせる声質ということもあってのボーカル採用だったにせよ、この人にはこの人オリジナルの強烈な個性があって、スティーブ・ペリーの代役どうのこうのではなく、一人の独立したボーカリストとして、非常に優れたパフォーマンスを披露しているように感じます。

アーネルくんには悪いんだけど、彼に関してはJourneyの黄金時代の曲以外を聴きたいとはあまり思えない。
でも、オウジェリに関しては、また別の曲も聴いてみたいな、と思わせる何かを感じるんです。

同じ歌、同じ演奏とアレンジでありながら、別々の人間が歌うことによって感じる何かが違う。

人の声って、歌うことって、本当に面白いものなんだな、とあらためて考えるきっかけになったのが、これら三つの「Separate Ways」なんです ▽・w・▽

追記:

Journeyにはもう一人、オウジェリの代理として入り、後に一旦は正式に加入した、と伝えられたジェフ・スコット・ソート、というボーカルもいたのですが、ちゃんとした動画が見つかりませんでした。
なかなか味のあるボーカルでこの人も結構好きです。