ようやく、例のインタビュー記事が掲載されている「ROCKIN’ON JAPAN 7月号」を買い、そして読みました。


インタビュー記事全体を読んでの感想ということになりますと、Perfumeファンとしてこの記事を読んでハッピーになったか、と言えばそういう気持ちになるような内容ではありませんでした。


今回のインタビュー記事、前半部分あ~ちゃんの「人間宣言」を含む、急激に売れたことで普通の20歳の女の子の生活が圧迫されていることに対して彼女たちが感じている違和感、不満、みたいなものは、基本的には若くして売れた女性芸能人なら誰しもが感じることなんじゃないか、と思います。


芸能人には限らないかもしれませんね、仕事が忙しくて体調が悪いのになかなかメンテナンスに通えない、ということくらいであれば誰しもが経験していること、と言えるでしょうし(もちろん彼女たちの不満はそれくらいのレベルに限ったものじゃないんですけどね)。


Perfumeは、特にあ~ちゃんやかしゆかは、今までそういう不満みたいなものを言わなさ過ぎました。

このインタビューを受けた時期にたまたまこういう不満が許容量を超えた、というわけではなくて、もちろん以前から感じていたんでしょう。


でも彼女たちは、かつてのPerfumeを考えればタイトなスケジュール管理をうけることさえ幸せなこと、ありがたいこと、として公けの場では不満を述べるわけでもなく、むしろ感謝の言葉を口にするくらいに自分の感情を、少なくともその一部を抑えていたわけです(感謝の言葉が嘘、というわけではないにしろ)。


で、僕みたいな人間はすぐに、そういう彼女たちの普通でないところ、普通は愚痴の一つもこぼしたくなるだろう事柄に感謝の言葉さえ述べるような我慢強い部分を「ストイックだ」なんて言いながら勝手に感じ入っていたわけです。


このような不満が公言されるようになったこと、はむしろ喜ぶべきこと、Perfumeが「普通のこと」を口にしてもオッケーになったこと、は成長と考えるべきなんだろうな、と記事を読みながら感じました。


そして、こういう不満を公けの場で口にするようになったこと、はPerfumeの変質を意味するものなのか、と考えました。

インタビュー記事として表に出てくること、ごく一般的な音楽ファンが読むだろう雑誌にこれらの言葉が並ぶことは、何かしらPerfumeというユニットのプロモーションのスタイルの変化と言えるものなのか。


……わかりませんよね(笑)。

一ファンが考えたって仕方の無いことですから。


かつて、売れなかった頃のPerfumeメンバーにとって、現在の「Perfume」というユニットの売れ方、というのは予想の範囲を超えたものなんじゃないか、という気がします。

彼女たちが考えた、Perfumeであり続けるために必要にして充分な条件を、はるかに超えた売れ方をしてしまった。


彼女たちは元々自分たちから「武道館でライブがしたい」とか「代々木体育館を借りきってド派手な演出でファンの度肝を抜いてみたい」と考えるような活動の方向性は望んでなかったんじゃないか、と思います。


そこまで考える、望める状況ではなかっただろうし、大イベントとしてのライブ、というスタイルは彼女たちのライブスタイルからはやや外れているようにも思えます。


元々ぱふゅ→むがPerfumeになった時点から、活動の方向性は大人たちによって勝手に決められてきたものでした。


セットリストの編集をまかされ、MC部分を含めたライブの構成を一部彼女たちが担当することで、僕たちファンはPerfumeというユニットは、従来イメージする「ガールズユニット」の活動とくらべて自由度の高い存在なんだ、と考え、その点を高く評価してきました。


しかし、逆を言えば、彼女たちが自由を確保出来たのは(しかも全部というわけでもない)活動全体の中で、その部分でしかなかったわけです。


売れなかった頃は活動の範囲が限られていますから、円グラフを思い浮かべてみれば、確保出来た部分の割合は相対的に大きなものだった、大きく感じられたんだ、と思います。


ブレイクして、さらに売れていくこと、で円グラフは巨大化します。

今までにはない要素が加わり、多くの人間が関わることで、相対的に彼女たちがかつて確保できていた自由な部分、活動範囲、は小さくなり、狭まります。


ユニットがチームになり、チームがプロジェクトになることで、Perfumeの存在意義であったライブさえ、間隔をおいて開催するようにしか出来なくなっています。


図体が大きくなったことで、動き始めること、止まることさえ時間を要するようになってしまっているからです。

F1のレーシングカーが、毎週毎週レースをするわけにはいかないのと同じように。


ずいぶん前からPerfumeのメンバーが「Perfume」として活動すること、に何らかの圧迫感を感じるようになってしまっているんだろう、と思います。

「Perfume」であることに。


しかも、大学に通うようになって、彼女たちは普通の20歳の女の子としての生活をごく身近なものとして感じられる環境にいるのですから尚更。


今回のインタビューは、あ~ちゃんを中心にして、そういった点に感じているだろう違和感、不満について語られ、Perfumeのあ~ちゃん、かしゆか、のっちとして、と同時に20歳の「人間」としての言葉が公けになったことに、とても価値があったんじゃないか、と感じました。


Perfumeというユニットの評価に、必ずしも「感動」というフィルターを通す必要はないんだな、と、それはやはり重要だけれども一部でしかなかったんだな、とあらためて気づいたような気がします。


ただ、それに気づいたとは言え、このインタビュー記事の前半部分を読んで、ファンとしてハッピーになったか、というと、う~ん、そうじゃないんですよね。


ファンなんて、勝手なもんですな。

後半、活動部分へのインタビューに続きます。 ▽・w・▽