2003年4月に上京してきたぱふゅ→むはアミューズの主催するBEE-HIVEという女性アーティスト養成プロジェクトに参加、名前の表記をPerfumeと改めます。


その後、5月3日に日本青年館で行われた


Amuse PRESENTS BEE-HIVE revue 2003 「Honey Harmony」


で早くも


おいしいレシピ


スウィートドーナッツ


を披露しています。


この楽曲製作がいつ頃行われたのか、はちょっとわからないんですが3月16日のイベントで歌われた


ジェニーはご機嫌ななめ


が、まだ中田ヤスタカさんによるアレンジバージョンではなかったことを考えると(レシピ、ドーナッツ、ジェニーは製作時期がほぼ重なります)、それ以降、4月になってからじゃなかったのかな、と考えられます。


この2003年5月3日のステージの模様も動画としてネット上に残されていて、3人が「裸エプロン」みたいに(笑)白いエプロンっぽい衣装に羽根をつけて歌い踊る映像を見ることが出来ます。


この時、すでにPerfumeは「音源+生歌」というパフォーマンスのスタイルになっています。


広島時代にバリバリ生歌で歌っていたぱふゅ→むが、上京してきてPerfumeとなったその最初のステージでもう音源を被せた状態で歌っているのはなぜか、というと。


答えは簡単、歌唱パートを抜いたカラオケ音源がなかったであろうからです。


これは、広島時代のプロデューサー、パッパラー河合さんと上京してきてからのプロデューサー、中田ヤスタカさんの楽曲製作のスタイルの違いに由来するものなんじゃないか、と思います。


ちょっと話がずれますけど、この2人のプロデューサー、曲の感じもまったく違うんですが共通項が一つだけあって、それは自宅スタジオで楽曲を製作した、ということなんです。


「club TK」動画の中に映るあのスタジオはなんとパッパラー河合さんの自宅に設置されたスタジオなんだそうで、さすがヒット曲を多数生み出していた有名プロデューサーですよね、ビックリ。


中田さんも同様、設備の規模こそ違いますが自宅での楽曲製作、ただしこちらは2005年までは歌入れがキッチンで行われていたそうです。

公衆電話ボックスサイズの録音ブースはまだ設置されていなかったんですね。


さて、話を戻してカラオケ音源。


広島時代の、というか、まあ普通歌手の歌入れというのは、ロックバンドなんかはまた違うのかもしれませんけど、まずバックトラック、カラオケ音源が完成してから行われるんじゃないか、と思います。


そこからまたアレンジを施す、ということがあるにせよ、基本的には楽曲製作の最後の段階で行われる、というパターンです。


これに較べて中田さんの楽曲製作の場合、インタビューなどから察せられるのは楽曲製作のかなり早い段階で歌入れが行われるらしい、ということです。


デモテープでメロディを聴かされ、楽譜と歌詞を渡されるとすぐに歌入れ、そこからアレンジして、トラックを重ねてハーモニーをつけたり、曲によっては移調も行われつついじり倒す、というパターンのようですね。


よく言われているような歌声を「音」としてサンプリングして、というだけでもなく歌を中心にしたトラック製作らしいということもインタビューなどで明らかになってきたようです。


ということは、カラオケ音源、インストルルメンタルバージョンを作るためには一度完成した音源から歌唱部分だけを抜いて作り直さなければいけない、ということになるのではないか、と思われます。


その作業の手間を惜しんだ、ということもないとは思うんですけどね、実際PerfumeのCDには全国インディーズデビュー曲


スウィートドーナッツ


から、三部作以降、sweetあたりまでインストバージョンはないはずです(sweetを持ってないのではっきりとは言えないんですが)。


普通に考えるならCDにインスト、カラオケ音源が収録されていなくても楽曲製作の過程で自然と出来上がっていてそれをデータとして持ち歩いてライブやイベントで使用すれば、ということになります。


Perfumeの場合は、中田さんの楽曲製作のスタイルによって自然とカラオケ音源が完成しているということがなく、おそらくはそのデータそのものがなかったんじゃないか、と思います。


Perfumeの過去の動画のどれを観ても、全国インディーズデビュー後の曲は、必ず音源と被せた状態のステージパフォーマンスになっていて、完全な生歌、というパターンでのパフォーマンスは「彼氏募集中」だけ、しかもライブによってはこの曲(同じ広島時代の『スーパージェットシューズ』も)ですら音源被せ、というスタイルになっています。


映像として残されているものが音源を被せた状態であれ、たとえばライブ、イベント会場ではどのように聴こえていたのか、はまた別の問題になります。


その当時のファンの人たちがPerfumeが「口パク」かどうか、を気にしていた様子はほとんどないのでごく自然に「生歌」として認識されていたんじゃないか、と思うんです。


「口パク」と言われることの多いPerfumeのライブパフォーマンスは、実は現在でもほとんどの場合、この「音源+生歌」という状態で披露されています。


ただ、その内容が過去と現在では少し違っていますよね。


過去のPerfumeは「生歌」が濃いめ、現在のPerfumeは明らかに「音源」が濃いめ、となっています、なんかラーメンのスープを注文しているみたいですが。


しかも現在では、一曲の中で部分的に音源被せの生歌を入れてきてあとは完全な「口パク」状態のもの、曲の始めからずっと本人たちは歌っているのにマイクが音声を拾わない状態のものや曲のはじめから終わりまでほぼ「口パク」状態のものが混然としている状態です。


なぜそのようなパフォーマンス上の不統一が起きてしまっているか、というと、これも中田さんがPerfumeに提供する楽曲の、というよりは楽曲製作工房である「ヤマハ」チームによるサウンドの変遷に原因があり、さらにはその楽曲の魅力をダンスとして視覚化するMIKIKOティーチャーによる振り付けが絡んでくるんですが、それはまた次々回くらいで。


次回は、このテーマにいただいたコメントや、プチメへのお返事、記事によるコラボレーションをはじめてくれたまるかあとさんからの問題提起に少しずつお答えしていきたい、と思っております


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