日弁連会長選挙。「視聴率」1%の「公約」を見て感じたこと。 | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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日常の法律問題や、弁護士業界のネタ、その他をつらつらと書こうと思います。

事務所に帰ってきたら、日弁連から、選挙公報が。
どんな公約をかかげているかがわかります。
公聴会の前営業日に郵送(正確にはゆうメール)してくる時点で、

読んでもらいたくないんだな

という感ありありです。
大阪での公聴会は、会員4000人にもかかわらず、公聴会出席者が
40人ほど、若手(30代以下)が誰もいなかったそうです。視聴率1%。
すると、福岡でいえば、出席者10人ってところでしょうか。
そうだとしたら、あまりにも悲惨ですね。

若手の就職難・困窮が特に酷いという風評(間違った風評であること
を祈ります)があり、もっとも日弁連の対策が期待される地域だろうと
思われるだけに、そのような地域で公聴会がこれほど寥々としている
というのは、もはや誰も何も期待していないのだろうな、ということを、
極めて強く伺わせます。

ですから、この投稿も、どれだけの人にお読みいただけるかわかりま
せん。私なら「日弁連会長選挙」というタイトルだけで読み飛ばすかも
しれません。

が、気を取り直して、書いてみます。

まず、某候補について。
法曹養成制度改革とか、裁判員制度に対する意見は、わかります。

しかし、日弁連の選挙で、脱原発とか言われても、困ります。
それは、弁護士としてやることじゃなくて、一市民としてやることでしょう。

そこらへんを混同するから、支持されないのだと思います。
こういうことに弁護士会費を使うことはやめてもらいたい。
そんなことに浪費するぐらいなら、会費の値下げをしてもらいたい。

そういう個人的な思想に属する事柄(これと、弁護士としてやるべき事柄が区別付いていない人は、仕事をちゃんとしているのか!?とさえ思います)は、僕らの会費を使っちゃダメ。

なお、この陣営、一方的にFAX(それもA4じゃないので非常に困る)を送り付けてきますが、オプトアウトでFAX送るのもやめたほうがいいと思います。確実に嫌われます。
ここらへんの感覚のズレが直れば、案外、若手が支持すると思われるのですが、もったいないです。

もう一方の候補。
こちらが当選するでしょうが、公約のほとんどが支持できない内容です。
1 司法アクセスの改善
 これは長くなるので別項で書きます。僕は、この改善は、それを求める自治体なり国なりがきちんと費用を負担して行うべきことで、弁護士が身銭を切ってやることじゃないと考えています。

2 弁護士の活動領域の拡大
 国際化とか今ごろかよ・・・
 組織内弁護士採用促進といいながら、「法曹有資格者」を入れ込もうとしているこの矛盾。
 結局どうしたいんでしょうか。
 とりあえず、増えすぎた弁護士をどこかに押し込みたいのはよーくわかりますが・・・
 だったら、どうして、合格者数問題が公約に出ていないんでしょう。公認会計士同様、合格者の見直しを堂々と主張すれば・・・といっても、法科大学院マンセーとの関係で難しいことも理解できます。

3 若手弁護士への支援
 そもそも、なぜ若手を取り巻く状況が厳しくなっているのか、下記4との関係もあると思っていますが、根本的な問題意識に触れていない時点で、弥縫策の域を出ません。目の前で困っているから~、だけで済ませて良い問題とは思えません。

 というか、会費がこんなに高い時点で、若手支援する気などないでしょう?

4 法曹養成制度の改革
 相容れません。法科大学院ありきの議論には与しません。これがすべてのガンであることは明白だからです。
 わかっていますよ。いきなり法科大学院を無くすのは、現実味がないということも。
 その上で申し上げております。
 ただ、これがある限り、有為な人材は集まらないでしょう。10年後、20年後に禍根を残すでしょうね。それでもいいなら勝手にしてください。あとは知らん。

5 司法基盤の整備と裁判所支部機能の充実・強化
 これは支持します。

6 民事司法改革の推進
 費用の低額化・定額化とありますが、そんな微細な問題よりも、IT化とか、懲罰的賠償の実現とか、執行法制の見直しとか(財産開示制度の見直しの意見書があったような気がするのですがどこいっちゃったんでしょう?)、そういう方向にシフトしないものかなと思います。コストダウンという観点からは、IT化は避けて通れないでしょう。
 町弁やってて思うこと。それは、市民は「取れる司法」を望んでいる、ということです。
 もっといえば、
「司法を利用すれば被害がきちんと回復できる」「取引上、支払ってもらうべきものをきちんと支払ってもらえる」
 ということが求められているわけです。

7 刑事司法改革
 ある程度支持します、というか当たり前のこっちゃろと思います。

以下は無関心。

 公聴会行脚はほんとうに大変だと思います(これは皮肉ではなく、敬意をもっています)。
 どうぞ、両陣営とも、正々堂々、最後まで頑張ってください。
 
 月曜日、福岡の公聴会に行けるか微妙なんですが(前後にアポがある)、少しでも行けたら行きたいなとは思っています。