「検討」もまともにしていないのに、「改革推進」ってw | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130917/trl13091713390003-n1.htm
法曹養成フォーラム→法曹養成制度検討会議は、時間のムダで
終わりました。多大な税金のムダ&時間のムダ&その間の司法
の壊滅ぶりは、政策決定者としては、大失態といえるでしょう。
その後釜となる「法曹養成制度改革推進会議」。
今度は工夫してきていて、
・顧問会議 という組織と
・法曹養成制度改革推進室 という組織ができるようですね。
さらに、司法試験合格者の活動領域の拡大について
・有識者懇談会と3つの分科協議会
とやらを設けるそうです。

このように、今回は、やや複雑な組織構成になるようです。
(確か、組織構成に関する図表があったはずですが、どこかにいってしまいました。)

このように、会議体の構造を複雑にするのは、以下のような場合です。
ア 慎重に検討したい場合
イ 議論をメタメタにして、責任の所在をよくわからないようにしたい場合

今回は、法曹養成制度全体が、国家の政策として未曾有の大失敗であることは論を待ちません。
そして、その大失敗は、もやはリカバー不能なところに来ています。

そうすると、このような会議体の設置の仕方は、「イ」を意図しているのではないかと感じています。

そのように感じる理由を適当に挙げてみました。
1 この記事のタイトルが『「司法試験」などの見直し』とされていることからも、法科大学院よりも司法試験のほうを従としたい意図が、組織体の背景にあると見られる(報道側が適当にこのようなタイトルにしただけなら話は別だが、組織体がそのような伝え方を報道側にしている可能性がある)。
2 「顧問会議」に日弁連の元会長が入っていることからして「法科大学院を法曹養成の中核に」などと言い出しかねず、そうなると、テーマがまたぞろ「いかに法科大学院を守るか」にフォーカスされることになるので、議論の方向性が狂い、この2年間の議論の繰り返しが起きる(つまり、何も決まらないまま、事態だけがどんどん悪化する)
3 この会議体には、「今後どうするか」という、手段の検討手続にすぎず、根本的な問題の所在を把握し共有する手続が準備されていない。したがって、問題の所在を正しく把握できるか、疑問が残る。
4 1~3の点は、組織構成した内閣側でも理解しているはずであり、そうだとすれば、最初から問題を解決しようという意図がない可能性が高い。もし1~3の問題点を理解せず組織したのだとしたら、そもそも内閣においてこの問題を根本的に解決しようとの意図に乏しいことになる。
5 タイトルの付け方。前身は「法曹養成制度検討会議」ですが、今回は「法曹養成制度改革推進会議」。「検討」がまともにされていないのに、失敗している「改革」を「推進」するのかと。そもそもタイトルの付け方からしてやる気を感じられません。

今の法曹養成制度は、ローを飛行機に喩えるとすれば、
・油圧もエンジンも、設計思想のミスト制度設計ミス、そしてメンテナンス不良という三重苦により、ぶっ壊れている
・管制官(会議体)もでたらめ
・パイロット(ローを運営している教授陣)は好き勝手なことを言っている
・乗客(ロー生)だけが迷惑を被っている
・航空会社(文科省)は責任をとる気ゼロであるうえ、逃げ出す準備をしている
ように見えます。

このようなことが、先進国で、公然と行われていることが、凄いなと思います。
しかも、存亡の危機に立たされているのに、茶番的議論で済まされようとしている対象が、現代国家における国家権力の暴走をストップし、我々の自由と権利を守るべき司法であるということに、戦慄を覚えますね。

もはや墜落必至ですが、墜落して困るのは、乗客だけではなく、これを利用せざるを得ない国民全員です。