質問なるほドリ 俺版 | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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福岡の中心部・天神駅真上の場所にある法律事務所の弁護士です!
日常の法律問題や、弁護士業界のネタ、その他をつらつらと書こうと思います。

http://mainichi.jp/opinion/news/20120801ddm003070151000c2.html

こんなの発見しました。

元版は気に入らないので、俺版を書いてみました。(青色は元記事から引用)

記者 神戸学院(こうべがくいん)大学(神戸市)と駿河台(するがだい)大学(埼玉県飯能(はんのう)市)が7月、法科大学院の来年4月入学の学生 募集を停止すると発表しました。在籍(ざいせき)する学生が卒業した後、両大学の法科大学院は廃止されます。法科大学院は全国に74校ありますが、このう ち1校がすでに募集を停止し、神戸学院大と駿河台大を含む4校が停止を発表しました。

Q どうして停止するの?


A 儲(もう)からないからだよ。
  合格者(ごうかくしゃ)もあんまり出ないし、大学にとって維持するメリットがないと判断されたんじゃないかな。

Q 人気がなくなっているんだね。

A そうです。原因は、法科大学院を卒業しても司法試験(しほうしけん)に合格しにくいこと。それでも昔の司法試験時代にくらべて合格率はかなり高くなっていて、合格者数もかなり増えているんだよ。だから、「合格率が低いから人気がない」なんてのはウソッパチなんだよ。

Q なんでそんなウソをつくの?

A 弁護士を激増させる→経済的に困窮(こんきゅう)する→どんな仕事でもやる弁護士が増える→弁護士を経済的に支配できる→うるさいことをいう弁護士がいなくなる→為政者(いせいしゃ)ウマー(^^) ということになるからだね。

Q 弁護士が増えると弁護士費用が安くなっていいんじゃないの?

A いんや、そんなことはないんだよ。
  弁護士さんは自営業。毎月、事務所の家賃・事務員さんのお給料を支払い、弁護士会(べんごしかい)に弁護士会費(べんごしかいひ)を払わなきゃ「弁護士」の資格を維持できない。弁護士会費を払わないと、いくら司法試験に通ってても「弁護士」と名乗っちゃダメなんだよ。弁護士会費を払わず「弁護士」を名乗ると、いくら司法試験に通った人でも、警察(けいさつ)に逮捕(たいほ)されちゃう。
 つまり、弁護士を続けるのにもカネがかかるし、弁護士の仕事は弁護士以外の人に任せられない比率が他の仕事に比べて高い。たとえば、一番時間のかかる裁判の書類の作成。裁判への立ち会い。警察への接見(せっけん)。これらは事務員さんにお任せすることはできないんだよ。弁護士の体には限りがあるから、やれる仕事の数はそんなに増やせないんだ。だから、安くするにも限界があるんだよ。
 実際、そんなに安くなってないんだ。
 法テラスというのがあって、通常より安い料金が設定されているけれど、利用にはいろいろな制約があって、常に利用できるとは限らないんだ。

Q 弁護士会費っていくらぐらいするの?

A 都道府県によって違うけれど、安くて2万、高くて10万。福岡の場合6万だね。

Q それは1年間の会費だよね。

A ううん、1ヶ月の会費。

Q ええーっ!マジで!?
  で、話は戻るけど、なんで法科大学院は人気ないの?


A まじです。( ー`дー´)キリッ
 合格率が低いからというのは、さっき説明したとおりウソッパチなんだけど、人気がないのは、法科大学院というより、弁護士という職業のほうじゃないかというのが、僕らの業界では言われているね。

Q なんで弁護士は人気がなくなっちゃったの?

A 法科大学院というもんのすごいカネ食い虫がいるからだろうね。
 法科大学院のための借金だけで平均400万。多い人では1000万を超える借金を抱える人も少なくない。
 なのに、役に立たないことばかりに時間を取られるからね。
 そのうえで、司法試験に合格するかどうかは自己責任(じこせきにん)というわけさ。

 たとえ司法試験に合格しても、弁護士になるために義務付けられている司法修習(しほうしゅうしゅう)の間は、アルバイトすら禁止され、地方に赴任させられる可能性があるのに、その生活費となる給料は一円も出ず、国からカネを貸してもらえるだけ。
 地方に飛ばされて研修というのに、そこにいく交通費もアパート代も全部自腹というのは、ブラック企業というほかないよね。
 そのうえ、今は景気が悪いから、法律事務所への就職はできるかどうかわからないんだ。
 就職できても、一般企業とは違い、弁護士は「労働者」とは見なされていないので、福利厚生はなく、終身雇用はあり得ない。いつ解雇されるかわからない。実際、入って半年とか1年で辞める若手が続出してるよ。
 しかも、雇われるあいだの給料の水準も大きく下がっているんだ。
 弁護士会費はさっき言った通りバカ高いから、給料下がると支払いが大変だよね。
 さらに、売上確保のために、無理して、受けないほうがよい事件を受けて、解決しきれず、トラブルに巻き込まれる弁護士も増えているらしいよ。
 合格しない場合は借金地獄だし、合格しても、こんな有様。合格しても借金を返せるかあやしい。
 今や、大学学部新卒でそのまま就職したほうが、生涯賃金や、将来の福利厚生まで考えた場合、明らかに有利とみられているらしい。
 せっかく、20代という一番楽しい青春時代を費やし、お金をかけて、苦しい試験にも耐えぬいてこれじゃ、浮かばれないよね。だから、弁護士という仕事自体に人気がなくなっているんじゃないかな。

Q HARRIER先生は借金ないの?

A 住宅ローンがあるね。学資関係や車のローンはもうない。

Q HARRIER先生はそれでも弁護士続けてて楽しいの?


A おかげ様で個人的には食えてるし、経営も細々ながら成り立っているし、事件自体も毎日刺激的なことが多いし、充実させてもらっていると思う。忙しくて体力は消耗気味だけどね。
 だから俺はなってよかったと思っているよ。
 だけど、売上確保のために、やっちゃいけないことや、弁護士としての思想信条にそぐわないことにまで手を染めざるを得ない人が出てくるおそれのある現状については、歓迎しないな。

Q 合格率を上げられないのかな。

A そもそも、志願者が狂ったように減っているんだよ。
 今年は法科大学院に入学を希望する(適性試験を受けた)人が5000人ちょい、法科大学院に現に入学した人が3000人ちょいまで減ったんだよ。これは、法科大学院制度ができたころから見て9割近く減ったことになるんだ。
 今は、法科大学院に入ること自体は、法科大学院を選ばなければ問題なく実現できるし、また、たった3000人しかいない入学者の中で、司法試験には2000人も合格するというのだから、はっきり言えば、普通にやってれば誰でも合格する試験になったといえるね。
 つまり、合格率は、ほっといても上がってるんだよ。

Q 政府は何か対策を打ってるの。

A 文科省は7月20日、法科大学院の改善(かいぜん)プラン(計画)を公表しました。入学者が大幅に定員割れした場合、補助金を削るなどの内容です。文科省 は、合格率が低く人気のない法科大学院が自ら定員を減らしたり、教育内容を見直したりすることを期待しています。また、弁護士でつくる日本弁護士連合会 (れんごうかい)も法科大学院の定員を減らし教育の質を上げることを提言(ていげん)しています。

 でもね、文科省の改善プランも、日弁連の提言も、いずれも何の意味もないだろうな。
 だって、志願者が激減している根本的な原因から目を逸らしているから。
 要するに、的外れ(まとはずれ)としか言いようが無いんだよ。
 とくに、文科省が出した「改善プラン」。こんなもん何の役にも立たないよ。

Q 断言しちゃいましたね。先生、これから法科大学院制度はどうなると思いますか。


A ジリジリと志願者が減少を続けるだろうね。司法試験合格者の増減にかかわらず、ね。
 司法試験合格者をどうするかは法務省が決めることだからわからない。
 でも、合格者が減らなくても、就職できない借金まみれの人が増えるだけだよね。
 弁護士という仕事は、依頼者の財産を預かる仕事でもあるので、借金まみれの人ばかりが増えるとなると、そのことだけで弁護士という職業自体が社会から信頼されるのか心配になるね。実際、不祥事も多発してるから。だからあまり歓迎しない。
 要は、弁護士という仕事が、法科大学院+司法修習で負わされる大借金、そして合格するために払う労力を勘案して、割に合わねーよ!(-_-メ)と学生が判断する限り、法科大学院の人気は下がり続けるだろうね。

 これから、法科大学院に来るのは、
・お金持ちのご子弟
・借金なんか怖くねーYO!かかつてこい!(^^)vという猛者
に限られるだろうね。
 でもあまりいい傾向だとは思わない。おカネの問題は人の志すら枉(ま)げることがある。
 この仕事をしていると、そんなのを一杯目の当たりにするんだよね。

 「借金こわくねー」とか青い。青すぎる。
 1000円マイナス800円は200円なんだ。利子がついたらもっと減るんだ。
 しかも、日本学生支援機構というところは、当然、連帯保証人(れんたいほしょうにん)を取ってるんだ。
 自分が破産しても、連帯保証人に請求がいくんだよ。

 だから、法科大学院は、そのほとんどが壊滅すると思う。制度自体壊滅というレベルまでにね。
 残るのは、東大・京大・阪大・名大・慶応・早稲田・中央ぐらいのもんじゃないのかな。
 関西の名だたる私立大学の法科大学院でさえも、定員の半分程度しか生徒が集まっていない。
 地方の国立も軒並み苦戦しているね。

 あと、法科大学院には毎年多額の補助金がつぎ込まれているんだ。100億円前後かな。
 100億円もかけて、役にも立たない授業ばかりやって、卒業した人は飯が食えなくなっている。
 こんなアホな奇っ怪な制度はあんまり見たことないよ。
 国民がこの事実を知ったらどうなるだろうね?いくら学者さんがマンセーマンセーといっても、法科大学院制度が非難に晒されるのは時間の問題ではなかろうか。
 同じ100億円あまりをかけるのなら、もっといいことに使ったほうがいいと思うね。
 それこそ、法科大学院生に学費を返還して制度そのものをとりやめるとか。あくまで一案ですけどね。

 結局、法律の勉強てのは、成文法の我が国では、条文知識とこの知識を前提とした解釈論が中心。すると独学ないしは必要に応じて予備校で補充するというやり方がベストであり、法科大学院などはじめからいらんかったんや!!と思うよ。あんな内容じゃね。

Q 勉強になりました!