赤ちゃんを連れて外へ出ると、

決まって必ず誰かに話しかけられる。


電車やバスでは隣に座った人、

商店街ではベビーカーを覗き込むオバチャン、

タクシーでは運転手さん、

マンションでは管理人のオジチャンetc.


みんな、そんなに私の赤ちゃんを見たいのかしら?

いいよ~。どうぞ~。大歓迎!


てなわけで、「かわいいわねえ」の決まり文句聞きたさに、

それらの人々との会話に興じてきた私。


でもある時、急に気づいた。


そっか。

彼らは人の赤ちゃんをダシにして、

自分たちの子や孫の話をしたかったのか!


というのも、

ある日のタクシー運転手さんの場合。

「いやあ、何ヶ月ですか?かわいいですねえ。

うちにも双子の娘がいてね・・・」


また別の日の、

商店街で話しかけられたオバチャンの場合。

「かわいいわねえ!

うちの孫より少し小さいくらいかしら。

今2歳になるんだけどね・・・」


さらに

管理人さんの場合。

「かわいいねえ。これからどんどんかわいくなるよ。

孫娘がそうなんだよ。1歳になるんだけどね。

これがやんちゃでねえ・・」


そのたびに

「はあ、そうですかあ。

それはまあ、かわいい盛りでしょうねえ」


と無難なあいづちを打つ。

「かわいいわねえ」と褒めてもらった代償として。


まあ、でも

こうやってお互いのチビちゃんたちを

褒めあって日々生きていくのも

とことん平和な気がして

悪くないかもな。


ダンナいわく

「さすがに全部に対応するのは面倒くさいよなあ」

らしいけれど。