正直、母の日・父の日なんて琴子と結婚するまで何も贈った事が無いし、意識したのも琴子が家に来てからだった。
未だにおふくろへ何か送りたい気持ちにはいまいちなれないが・・・過去に色々され過ぎた上に自ら欲しいものは手に入れる質だから贈り物が喜ばれるとは思えない。
けれども自分が親になると、その自分の親の苦労も分かり感謝したくなるからこういう日があるというのは割と都合が良い。
普段は感謝なんて伝えられないから、せめて今日くらいは・・・などと殊勝な事を思ったのがいけなかったのだろう。
こういう時に会いたくない人物と会う。
「あっ 入江さん、偶然ですね」と声をかけられ「母の日のプレゼントですか!?」と聞かれると、ここに居て他に何があるんだよとつい言いたくなってしまうのは何故なのか。
相手は俺の娘・琴美の同級生の父で高橋美樹。渡辺の友人で渡辺の結婚式に会って以来何かと縁があり、終いには幼稚園繋がりで家族ぐるみの付き合いに発展した。
「ええ、たまには妻に花でも贈ろうかと」と敢えて妻・琴子へのプレゼントを強調して伝えると、高橋さんは照れながら「いいですね、琴子さん喜びそうだ」と笑顔で言う。
何でお前が照れるんだ!?と聞きたくなるが、そんな無駄な時間も勿体ないので「ええ、きっと喜ぶと思います」と言って目についたカーネーションを注文した。
色はオレンジ。
いつも元気な琴子に似合うと思ったし・・・それにオレンジは俺が好きな色だ。
俺自体身に着ける色として好きな訳じゃないが、琴子が着てたから・・・ああ、そうだ清里で―――。
俺が選んだ花を見て高橋さんが「琴子さんに似合いますね。特に『あなたを熱愛します』なんて入江さんから贈られたら感動して一年幸せにしてそうですよね」と言われ無言になる。
いや、前から高橋さんとはいまいち会話が成り立たないが・・・。
そういえばと気づいて「よく花言葉知っていますね。男性で知っているとは驚きました」と伝えると、何故かやはり照れて「母が詳しいんですよ。それで・・・ええと、入江さんのお母さんと一緒の生け花教室に通ってましたから」と言われ、そーいえば昔おふくろもそんな事していたなと思い出す。
「母にも贈った方がいいですね」と言い、白と紫と青のカーネーションで花束を作ってもらうと高橋さんがギョッとする。
「お、お母さんにあげるんですか!?」と聞かれたので「ええ、義理の母・・・琴子の母の仏壇に供える花を」と言うと胸を撫でおろされた。
いちいち面倒な奴だなと思い 高橋さんを放っておいて、おふくろにも適当にカーネーションを混ぜた花束を作ってもらうと、3つの花束を抱えてフラワーショップを出る。
そこへ偶然琴美とおふくろが高橋さん母子と一緒に現れたので、挨拶をしてからおふくろに花束を渡した。
それを見た琴美が「みーちゃんもばあばに上げたいー」と悲しそうに言うので「琴美のママは琴子だ。家に帰って琴子にこれを上げるといいよ」とオレンジのカーネーションの花束を渡すと琴子そっくりの笑顔で「パパ、ありがとう」とお礼を言われ変な気分になる。
琴美からその内何かを貰うんだろうなと思ったら、そんな日が来ないと良いのにとさっき思った事と真逆な事を考えてしまった。
俺の気持ちに敏感な琴美は「パパ、寂しそう。ママ貸してあげるから元気になってね」と母の日なのに父の気持ちを優先してくれる優しさに思わず苦笑する。
「大丈夫だよ、琴美。父の日に借りるから」と言って琴美と手を繋いで自宅に帰った。
帰りがけ「何で父の日まで待つの!?」と純粋な目で見つめられ、質問の答えに窮する。
それは―――琴子が琴音を生んで産後1ヶ月過ぎてないからだよとはさすがに言えなかった。
聡い琴美の前では絶対に・・・。
* * *
母の日に皆さんへ いつもサボってすみません
今月は妙に忙しくて・・・来月には娘の遠足、いや今月早くも息子の遠足があるんですが。
子供の行先が二手に分かれてイベントが2重で昨年の倍忙しいです。早く落ち着きたいですょ。。。
しばらく不定期になりますが、ご了承ください
未だにおふくろへ何か送りたい気持ちにはいまいちなれないが・・・過去に色々され過ぎた上に自ら欲しいものは手に入れる質だから贈り物が喜ばれるとは思えない。
けれども自分が親になると、その自分の親の苦労も分かり感謝したくなるからこういう日があるというのは割と都合が良い。
普段は感謝なんて伝えられないから、せめて今日くらいは・・・などと殊勝な事を思ったのがいけなかったのだろう。
こういう時に会いたくない人物と会う。
「あっ 入江さん、偶然ですね」と声をかけられ「母の日のプレゼントですか!?」と聞かれると、ここに居て他に何があるんだよとつい言いたくなってしまうのは何故なのか。
相手は俺の娘・琴美の同級生の父で高橋美樹。渡辺の友人で渡辺の結婚式に会って以来何かと縁があり、終いには幼稚園繋がりで家族ぐるみの付き合いに発展した。
「ええ、たまには妻に花でも贈ろうかと」と敢えて妻・琴子へのプレゼントを強調して伝えると、高橋さんは照れながら「いいですね、琴子さん喜びそうだ」と笑顔で言う。
何でお前が照れるんだ!?と聞きたくなるが、そんな無駄な時間も勿体ないので「ええ、きっと喜ぶと思います」と言って目についたカーネーションを注文した。
色はオレンジ。
いつも元気な琴子に似合うと思ったし・・・それにオレンジは俺が好きな色だ。
俺自体身に着ける色として好きな訳じゃないが、琴子が着てたから・・・ああ、そうだ清里で―――。
俺が選んだ花を見て高橋さんが「琴子さんに似合いますね。特に『あなたを熱愛します』なんて入江さんから贈られたら感動して一年幸せにしてそうですよね」と言われ無言になる。
いや、前から高橋さんとはいまいち会話が成り立たないが・・・。
そういえばと気づいて「よく花言葉知っていますね。男性で知っているとは驚きました」と伝えると、何故かやはり照れて「母が詳しいんですよ。それで・・・ええと、入江さんのお母さんと一緒の生け花教室に通ってましたから」と言われ、そーいえば昔おふくろもそんな事していたなと思い出す。
「母にも贈った方がいいですね」と言い、白と紫と青のカーネーションで花束を作ってもらうと高橋さんがギョッとする。
「お、お母さんにあげるんですか!?」と聞かれたので「ええ、義理の母・・・琴子の母の仏壇に供える花を」と言うと胸を撫でおろされた。
いちいち面倒な奴だなと思い 高橋さんを放っておいて、おふくろにも適当にカーネーションを混ぜた花束を作ってもらうと、3つの花束を抱えてフラワーショップを出る。
そこへ偶然琴美とおふくろが高橋さん母子と一緒に現れたので、挨拶をしてからおふくろに花束を渡した。
それを見た琴美が「みーちゃんもばあばに上げたいー」と悲しそうに言うので「琴美のママは琴子だ。家に帰って琴子にこれを上げるといいよ」とオレンジのカーネーションの花束を渡すと琴子そっくりの笑顔で「パパ、ありがとう」とお礼を言われ変な気分になる。
琴美からその内何かを貰うんだろうなと思ったら、そんな日が来ないと良いのにとさっき思った事と真逆な事を考えてしまった。
俺の気持ちに敏感な琴美は「パパ、寂しそう。ママ貸してあげるから元気になってね」と母の日なのに父の気持ちを優先してくれる優しさに思わず苦笑する。
「大丈夫だよ、琴美。父の日に借りるから」と言って琴美と手を繋いで自宅に帰った。
帰りがけ「何で父の日まで待つの!?」と純粋な目で見つめられ、質問の答えに窮する。
それは―――琴子が琴音を生んで産後1ヶ月過ぎてないからだよとはさすがに言えなかった。
聡い琴美の前では絶対に・・・。
* * *
母の日に皆さんへ いつもサボってすみません
今月は妙に忙しくて・・・来月には娘の遠足、いや今月早くも息子の遠足があるんですが。
子供の行先が二手に分かれてイベントが2重で昨年の倍忙しいです。早く落ち着きたいですょ。。。
しばらく不定期になりますが、ご了承ください