自作キャロ作りとは?
これを言ってしまうとかなりマニアックな世界になると思うですが、ここ最近になって冬将軍に備えて対タフコンディションでの釣りを想定した自作キャロを考えている。
実は、タフコンディションは他の釣り人を寄せ付けないのでむしろチャンスと考えている。
自作キャロで使用する道具は、「ヤスリ」「彫刻刀」などである。
なぜかといえば、私の自作キャロは木材を利用するからである。
木材には色々あるが、流通から手に入り易く、加工が容易なのは「桐」であろう。
これを板状になっているものを入手する。
この板と板を合わせて、内部に0.45gのタングステンを2基搭載したり、
鉛棒や鉛板、等を駆使して「Mキャロ」とは比べ物にならないほどの複雑かつ繊細なキャロへと仕上げる。
抵抗 R とは・・・?
私は、キャロを作る前に設計から入る。
紙にキャロのおよその模型っぽいのを描くのである。
その模型から、「抵抗 R」というものを考える。
抵抗 Rとは、キャロにかかるあらゆる「反力」であるといってよい。
例えば、紙飛行機を飛ばすと、紙飛行機は飛んでいくがやがて抵抗に負けて落下する。
また、どんな強風であっても石を向かい風に向かって投げれば、石は抵抗に打ち勝ち前進するが
木の板や、紙飛行機では逆に戻されてしまうことになる。
大事であるのは、上のような考え方である。
例えば、「柿木の棒」と「檜の棒」では、同じ重さの棒を投げても「柿木の棒」の方がより遠くに飛ぶとする。
それは「柿木の棒」の方が抵抗Rが少ないという事になる。
こういった木材一つにおいても、10年間培ってきた技術は、このキャロ作りをするうえで一つの財産となっている。
強風下でよりコンパクトに、より遠くへ、そして抵抗Rへ勝ちつつも、理想的なフォールをするキャロとは?
理想的なフォールとは?
さて、太いメタルジグと棒状のメタルジグをフリーで水に沈めました、同じ重さの場合、どっちが先に沈むでしょうか?
これはメタルジグの特性を理解していれば、太いメタルジグの方が先に沈む。
また棒状のメタルジグは、くるくる回りつつも、まるで階段状の沈降を示すことがある。
実は、私のキャロ理論では、メタルジグのようなくるくる回るようなフォールを抑えつつも、
階段様のフォールを作るために、棒状のメタルジグを研究した事がある。
なぜ、太いメタルジグでは階段様のフォールにならず、細長いメタルジグが階段様のフォールになるのか?
この答えは、水圧にある。
実は、フォール中に水圧はその物体に時系的な蓄積を持っている。
当然、水よりも重たい物体であれば水に勝つんだが、それでも水圧を受け続けるわけだ。
フォールスピードによって水圧抵抗は上昇する。
例えば、時速20キロで自動車を飛ばすよりも時速40キロで自動車を走らせたほうが
前からかかる抵抗は上昇する。
同じように水中に沈むメタルジグも、フォールスピードが上がれば必然的に抵抗Rも増えて、
結果、メタルジグの沈むモーメント<抵抗R が上昇することがある。
これがブレーキング現象と呼ばれるもので、海水で鉛の板が一時的に水平になるのである。
これが実は、階段様のフォールの原理である。
階段様フォールは、一定のレンジを攻略する際に、この階段様のフォールができるキャロを持っていると面白いように決まる。
以前、アジとメバルを完全に釣り分けたことがあった、あまりにも面白いように釣り分けられたのもこの階段様フォールを実現したキャロテクノロジーのお陰であった。そして、今日までその技術を秘密にしてきたのである。私は激戦区においてアジ50匹、メバル50匹、全て18センチ以上、完全釣り分け、完全攻略という当時のアジング雑誌では到底及びもしないような次元、釣果を片手に鼻歌交じりに小釣果に苦しむビギナーやエサ師を尻目に帰宅したことがあったのもその頃でしょうか。
勿論、この階段様フォールには一つ落とし穴があるんだけど、それは皆さんに考えてもらえればと思う。
そして、なぜ、太っちょメタルジグよりも細長いメタルジグの方が階段様フォールが可能なのかも見えてくると思います。
手作りキャロに木材とアロンアルファは必須アイテム
設計で形状が決まれば、彫刻刀とヤスリを駆使して、木の枠組みを作るわけだが、木材とて完璧ではない。
それは「アルキメデスの原理」を応用すると、流体の中では密度の高いものが先に沈むことになる。
木材では、柿木や栗の木、アイアンウッドなどの密度の高い木があるんですが、それは加工に手間がかかる。
そのため「桐材」などの加工に私はアロンアルファを利用するわけである。
アロンアルファは木材に浸透し、その部分の密度を上昇させることができる。
密度が上昇された部分は沈むの適した木材へと変わり、
密度が上昇されていない部分は浮くのに適した木材へと代わる。
当然、沈めさせた部分の密度を上げて、その後、海水がキャロをどのように伝うかをイメージする。
外皮にこだわる
キャロは木材と錘の集合体であるが、大きな動きは、この外皮によって決まるといっても過言ではない。
外皮はポリプロプレンや塩化ビニール、プラスチックなどの摩擦係数の少ないものを多用する。
例えば、摩擦係数を減らすペンキを塗った板(表面がつるつるした板)と、
摩擦係数を減らさない抵抗の高いペンキを塗った板(表面がざらざらした板)を飛ばせば、
摩擦係数を減らした板がより遠くに飛ぶことは想像できるだろうか?
水中でも同じように摩擦係数を減らせば、アジがキャロの異物を感じにくくなるとは容易に想像できないだろうか?
しかし、摩擦係数を減らしすぎると今度は、逆にフォールスピードが速くなったり、色々とトラブルを起こし易い。
また、外皮と木材表面との間に空気が入れば、大きな誤算となるのでこれまた最新の注意が必要になる。
このようにあらゆることを調べて、アジの口をイメージしつつ、
そして理想的なフォールをイメージすることで初めて答えてくれるサイズは確かにいる。
それは気分屋と思われがちな彼らにもう一つのスポットライトを当てることにつながるだろう。