箱店屋横丁大家の店番日記
飯山市福寿町に設置されている防災科学研究所の飯山強震観測施設
箱店屋横丁大家の店番日記



 東日本大震災の被災地を視察していた阿部長野知事が13日に……

宮城、福島両県知事、福島県南相馬市長と懇談し、『被災者を町や集落などのコミュニティー(地域)単位で長野県内の同一地域に受け入れると言う……信州「安らぎの逗留(とうりゅう)村」』を構想していることを明らかにした。……と信濃毎日新聞が報じ、注目を集めています。

「逗留(とうりゅう)」というのは、旅先などに一定期間とどまることですが、今回想定している逗留先(避難難所)は、長野県内のホテル、旅館・民宿などです。

 そして被災者に、地元を離れても孤立感を抱かせず、地域の絆が損なわれないようにするため、被災者の自治体の「役場の分室」を設置し、被災者の地元の行政や復興情報をリアルに伝えることも検討するとあります……
 避難先は災害救助法上の避難所と位置付け、避難住民に宿泊費などを負担させないようにすると言います。
 すでに、▲上田市・鹿教湯温泉(受け入れ可能数約500人)▲諏訪市(同約700人)▲大町市・大町温泉郷(同約600人)▲千曲市・戸倉上山田温泉(同約500人)▲北佐久郡軽井沢町(同約700人)▲北安曇郡白馬村(同約3400人)▲同郡小谷村(同約1900人)が、受け入れ可能との意思を表明していると紹介しています。
 信州『安らぎの逗留村』というネーミングも、地域ごとにまとまってということも、プライバシーを保障される宿泊施設に受け入れるということも、役場分室を設置することも、被災者の思いを大切したすばらしい発想で大賛成です。

 ただし、群馬県片品村は、地震発生から8日目の3月18日に南相馬市から1000人近い人達をすでに宿泊施設に受け入れていますので、もっと早ければなお良かったと思いますが……


 12万人に及ぶ被災者救援のための知事が先頭に立たれての行動……、県議選の結果などにとらわれず、ぜひ立場の違いを乗り超え、県民上げて取り組みたいものです。
 被災され、避難される方々が、現地に留まることを望み、遠隔地に避難することを躊躇するのは、日々変わる被害の拡大の情報、復興の情報、仮設住宅の申込み等の情報、見舞金、補償料などの情報や、申請などの実務から取り残され、孤立するのはないかという不安感が要因としてあるからだと言われています。

 たとえ、避難する先が遠隔地であろうとも、故郷である被災地の情報を知ることが出来、的確に対応することが出来れば、孤立感を感じなくてすみます。

 送り出す市町村は、OB職員などを避難先の市町村に派遣し、受け入れ市町村も職員を現地に送り、情報を現地で集め、相互に調整してインターネットを媒介に送受信すれば、遠隔地で暮らす被災者も少しは安心出来るはずです。

 受け入れ先では、保育園・学校・介護施設利用などに配慮し、被災者同志が自由に使用できる公会堂を用意したり、自治会組織育成のお手伝いや、仕事や、ボランティアなどの紹介をしたり、受け入れ市町村が共同して希望する被災者が帰省出来る循環高速バス等を定期的に運行する必要があるかも知れません。


 いずれにしても、災害発生からすでに一ヶ月を越えたにもかかわらず、いまだに12万人もの被災者が、大規模な避難所生活をされています。この現状を一日も早く解消すべきだと思います。
 そして、避難した場所が、プライバシーが保証され、トイレや風呂などに不自由のないところでなければならないと思います。

 本来ならば、大規模避難所での生活は、1~2週間で解消されるべきですから。


 ホテル、旅館、民宿などの皆さんに協力して頂き、観光庁の(全旅連)の制度等も活用し(一泊3食付き5000円を国が負担する事業)、地域のボランティアが、被災地まで行かずに被災者の支援ができる「逗留村」が実現できることを願い、横丁大家の地元飯山でも実現出来ることを期待しています。 


参考

災害救助法における費用の種類及び限度額等
1 避難所設置のため支出できる費用は、避難所の設置、維持及び管理のための賃金職員
等雇上費、消耗器材費、建物の使用謝金、器物の使用謝金、借上費又は購入費、光熱水費
及び仮設便所等の設置費とし1人1日当たり300円とする。
2 炊き出しその他による食品の給与を実施するため支出できる費用は、主食、副食及び燃料等の経費として1人1日当たり1010円以内とする。
3 避難所を開設できる期間は、災害発生の日から7日以内とする。
炊き出しその他による食品の給与を実施できる期間は、災害発生の日から7日以内とする。ただし、被災者が一時縁故地等へ避難する場合においては、この期間内に3日分以内を現物により支給する。