●認めない・調べない・謝らない
 強引答弁で国会閉会へ

(朝日新聞)

 通常国会が18日、閉会する。

「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題や
「森友学園」への

国有地売却問題で疑いのまなざしを向けられ、

「共謀罪」法の審議で
厳しい追及を受けた政府は、

「認めない」
「調べない」
「謝らない」

答弁を連発した。

会期150日間の答弁に、

批判や疑問を正面から

受け止めない姿が浮かぶ。

 三つの「ない」がはっきり表れたのが、

共謀罪法案が審議されていた

4月19日の衆院法務委員会だった。

 民進党の山尾志桜里氏が、

法案の処罰対象になるのは

「最初から犯罪を目的としている集団」に限られるのか、

「捜査当局に犯罪集団に一変したとみなされた団体」も含むのか、

安倍晋三首相にたずねた。

 国会冒頭で首相が
「(処罰対象は)『そもそも』犯罪を目的としている集団でなければならない」と述べたのに、

その3週間後、政府が

市民団体も「犯罪集団に一変したら対象になる」

と説明を変えたからだ。

 共謀罪法案の要件に
関する根源的な問題で、

変化を突かれた首相は

メモを手に、

「『そもそも』の意味は辞書で調べてみたが、
『基本的に』という意味もある。

山尾委員はご存じないかもしれないが」と答弁。

政府の説明の一貫性を
主張しようとした。

 ところがその後、

「そもそも」の意味を「基本的に」と説明する

国語辞典が

存在しないことが判明。

それでも政府は5月12日、「三省堂発行『大辞林』には『そもそも』について

『(物事の)どだい』等と記述され、

『どだい』について『基本』等と記述されている」との答弁書を閣議決定。

「そもそも=どだい=基本」の三段論法で、

答弁を正当化しようとした。

 誤りを認めず、
謝らず--。

さらに、首相が大辞林を調べて

いなかったことも判明した。

 首相や妻昭恵氏の関与の有無が問われた

加計学園や森友学園の問題では、

国有地売却や国家戦略特区の指定の行政過程の

不透明さを指摘する証言が出ても、

証言や証拠の真偽を

調べたりしなかった。

 山尾氏は
「政府の姿勢は、

『無理が通れば道理が引っ込む』だ。

放置すると

ウソが

真実のようになってしまうので、

誤りの指摘から始めなければならず、

審議が深まらなかった」。

首長経験者の自民議員も

「こんな強引なやり方を続けると、

政治の議論や行政の

モラルが壊れてしまう」

と心配する。

(南彰)

(06/18 04:00)