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●日弁連「共謀罪」反対集会
「一般市民にも適用」
「ブラック企業批判もできなくなる」

弁護士ドットコムモバイル
 [4/25 21:56]

松宮孝明教授(左)と海渡雄一弁護士

日弁連は4月25日、いわゆる共謀罪(テロ等準備罪)の成立に

反対する市民集会を弁護士会館で開いた。

集会では、立命館大学大学院の松宮孝明教授(刑法)と

海渡雄一弁護士が講演し、

「捜査機関の恣意的な検挙や

プライバシーに立ち入って

監視するような捜査が

増える可能性がある」と

法案の危険性を訴えた。


●本当に「テロ」準備罪なの?

政府は「テロ等準備罪」と表現しているが、

処罰の対象は「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」
(法案6条の2)となっており、

テロ集団に限定して

いない。

また、組織に属していなくても

関与があれば対象になるとされている
(6条の2第2項)。

松宮教授は、

「どんな答弁があろうと、
条文を普通に読んだら、

一般の市民にも適用されることがわかる」

と述べ、

政府答弁に惑わされず、

条文に当たることの重要性を強調する。

「テロを本気で防ぐつもりなら、

警察組織の改革が必要。

日本語、英語に加え、最低でもアラビア語は必要だろう。

日本語しかできない警察組織が

共謀罪を用いるのだとしたら、

テロ対策とは言い難い。

目的は別のところにあるのではないか」
(松宮教授)


●幅広い対象、所得税法や著作権法は必要か?

対象となる犯罪も277種類
(衆院事務局によると316種類)
と広範だ。

海渡弁護士によると、

たとえば、

ブラック企業を批判するビラを撒こうとしたら、

法案の条文上、

組織的信用毀損罪の共謀罪になり得るという。

馬鹿げた話のように思えるが、

条文の対象が

曖昧だからだ。

最終的には処罰されないにしても、

共謀罪を根拠に、

警察の捜査対象になる

可能性はある。

このほか、所得税法や著作権法など、

生命や身体に影響がなさそうなものも

対象とされている。

「この世の中には、

未然に塞がないといけない犯罪はあると思う。

ただ、必要性の高いものについては

既に予備罪などがある」
(海渡弁護士)

対象には、これまでは実行しなければ罰せられなかったものもある。

たとえば、傷害罪。

これまでは実行直前に思い直せば、

処罰されなかったが、

共謀罪に該当すれば、

計画しただけで処罰される可能性がある。

「共謀罪法案は、

刑法体系を覆し、

国家が

市民社会に

介入する際の境界線を

大きく引き下げるものだ」
(海渡弁護士)


●市民が声を上げにくくなる可能性

共謀罪をめぐっては、

「普通に暮らしている市民には関係がない」

と賛成する声も多い。

これに対し、

海渡弁護士は

「今は周囲に不満がなくても、

声をあげなければならなくなる日が来るかもしれない」

と反論する。

「原発事故で故郷を追われるかもしれないし、

ブラック企業に入ってしまうかもしれない。

しかし、

電力会社やブラック企業を

批判しようとすると、

組織的信用毀損罪の共謀罪になる可能性がある。

小林よしのりさんも(4月25日の衆院法務委の参考人質疑で)言っていたが、

『ものを言う市民が

萎縮し、

民主主義が健全に成り立たなくなる』

可能性がある。

想像力を強く働かせることが大切だ」