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●母親が娘を学校に通わせず書類送検、
「芸能活動の意思を尊重」という理由ではダメ?
弁護士ドットコムモバイル
[1/26 09:23]
写真はイメージです
中学3年の娘(15)を学校に通わせなかったとして、
大阪府警黒山署は1月18日、東京都内に住む母親(44)を学校教育法違反の疑いで書類送検した。
報道によると、母親の容疑は、大阪府大阪狭山市に住んでいた2015年9月から2016年2月にかけて、
同市の教育委員会から娘を中学校に通わせるよう、
6回にわたり督促を受けていたのに、登校させなかった疑い。
母親は「芸能活動をしたいという娘の意思を尊重した」と述べているという。
全国的にも珍しいケースということだが、
子どもを学校に通わせないことは、法的にはどのような問題があるのか。
教育問題に詳しい高島惇弁護士に聞いた。
●親には、子に対して教育を「受けさせる義務」がある
「まず、親は子を学校に通わせる義務があるかについてですが、
結論としては義務を負っています。
憲法26条2項は、
『すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ』
と定めています。
この条文を受けて、
法律では、次のように具体的に定められています。
『国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う』
(教育基本法5条)
『保護者は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う』
(学校教育法16条)。
就学義務の時期と期間ですが、いわゆる
『年齢主義』が採用されており、
満6歳から満15歳までが
義務教育期間になります
(これに対し、高校や大学では、定められた課程を終了したことを卒業の要件とする『課程主義』が採用されています)。
このように、子が満15歳に達するまでの間、
原則として親は子を学校に通わせなければなりません。
そして、親が就学義務を履行せず、
教育委員会などから出席の督促を受けてもなおこれに応じない場合には、
10万円以下の罰金に処せられる危険があるのです」
親が子に教育を受けさせる義務について、
法でしっかり定められているわけだ。
この義務は、教育を受ける子ども自身にもあてはまるのか。
「一連の規定は、子の教育を受ける義務を定めたものでは決してありません。
そのため、子が自ら
『通いたくない』と言って登校を拒否している場合であっても、
それが病弱、発育不完全、いじめによる精神的苦痛といった、
やむを得ない事由に基づいている限り、
親の就学義務の履行は猶予されると考えます」
芸能活動に専念したいという理由は、
やむを得ない事由にあたるのか。
「『芸能活動に専念したい』という理由は、
個人的な要求にとどまる場合には、
やむを得ない事由とは評価されず、
親も就学義務を履行しなければならないのが通常だと考えます。
就学義務の不履行による書類送検は、
全国的にも極めて珍しいケースであって、
6回にわたり督促している事実からも、
教育委員会と捜査機関が対応に苦慮した事実がうかがえます。
子の教育について、
家庭ごとに様々な考え方があることは理解できますが、
子の学習権を保障するという観点からすれば、
やはり原則としては学校への就学義務を適切に履行しなければならないでしょう」
【取材協力弁護士】
高島 惇(たかしま・あつし)弁護士
退学処分、学校事故、いじめ、体罰など、学校内におけるトラブルを精力的に取り扱っており、
「週刊ダイヤモンド」にて特集された「プロ推奨の辣腕弁護士たち」欄にて
学校紛争問題が得意な弁護士として紹介されている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:
http://www.alcien.jp
●母親が娘を学校に通わせず書類送検、
「芸能活動の意思を尊重」という理由ではダメ?
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[1/26 09:23]
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中学3年の娘(15)を学校に通わせなかったとして、
大阪府警黒山署は1月18日、東京都内に住む母親(44)を学校教育法違反の疑いで書類送検した。
報道によると、母親の容疑は、大阪府大阪狭山市に住んでいた2015年9月から2016年2月にかけて、
同市の教育委員会から娘を中学校に通わせるよう、
6回にわたり督促を受けていたのに、登校させなかった疑い。
母親は「芸能活動をしたいという娘の意思を尊重した」と述べているという。
全国的にも珍しいケースということだが、
子どもを学校に通わせないことは、法的にはどのような問題があるのか。
教育問題に詳しい高島惇弁護士に聞いた。
●親には、子に対して教育を「受けさせる義務」がある
「まず、親は子を学校に通わせる義務があるかについてですが、
結論としては義務を負っています。
憲法26条2項は、
『すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ』
と定めています。
この条文を受けて、
法律では、次のように具体的に定められています。
『国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う』
(教育基本法5条)
『保護者は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う』
(学校教育法16条)。
就学義務の時期と期間ですが、いわゆる
『年齢主義』が採用されており、
満6歳から満15歳までが
義務教育期間になります
(これに対し、高校や大学では、定められた課程を終了したことを卒業の要件とする『課程主義』が採用されています)。
このように、子が満15歳に達するまでの間、
原則として親は子を学校に通わせなければなりません。
そして、親が就学義務を履行せず、
教育委員会などから出席の督促を受けてもなおこれに応じない場合には、
10万円以下の罰金に処せられる危険があるのです」
親が子に教育を受けさせる義務について、
法でしっかり定められているわけだ。
この義務は、教育を受ける子ども自身にもあてはまるのか。
「一連の規定は、子の教育を受ける義務を定めたものでは決してありません。
そのため、子が自ら
『通いたくない』と言って登校を拒否している場合であっても、
それが病弱、発育不完全、いじめによる精神的苦痛といった、
やむを得ない事由に基づいている限り、
親の就学義務の履行は猶予されると考えます」
芸能活動に専念したいという理由は、
やむを得ない事由にあたるのか。
「『芸能活動に専念したい』という理由は、
個人的な要求にとどまる場合には、
やむを得ない事由とは評価されず、
親も就学義務を履行しなければならないのが通常だと考えます。
就学義務の不履行による書類送検は、
全国的にも極めて珍しいケースであって、
6回にわたり督促している事実からも、
教育委員会と捜査機関が対応に苦慮した事実がうかがえます。
子の教育について、
家庭ごとに様々な考え方があることは理解できますが、
子の学習権を保障するという観点からすれば、
やはり原則としては学校への就学義務を適切に履行しなければならないでしょう」
【取材協力弁護士】
高島 惇(たかしま・あつし)弁護士
退学処分、学校事故、いじめ、体罰など、学校内におけるトラブルを精力的に取り扱っており、
「週刊ダイヤモンド」にて特集された「プロ推奨の辣腕弁護士たち」欄にて
学校紛争問題が得意な弁護士として紹介されている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:
http://www.alcien.jp