そもそも、日本人は、
体質的に
「マンモグラフィ検診」は向かない。

エコー検診に変えるべき。



●Yahoo!ニュース
●気をつけろ!乳がん
「マンモグラフィー検診」受けすぎると
発がんリスクあり

現代ビジネス
 [7/20 13:01]

〔PHOTO〕iStock

「マンモグラフィー検診を繰り返すと、

その度に放射線に被曝するため、

がんになる恐れが当然あります。

自己検診などで

いたずらに乳がんではないかと不安になり、

特に問題がなくても

マンモグラフィー検診を受け、

不必要な放射線を浴びた結果、

かえってがんができるという悪循環もあります」

こう語るのは乳腺外科
「ベルーガクリニック」の富永祐司院長だ。

マンモグラフィー検診とは、乳がんを診断する方法のひとつだ。

X線撮影装置マンモグラフィーで乳房を挟みながら圧迫して、

上下方向から1枚、左右方向から1枚、乳腺・乳房専用のレントゲン撮影をする。

乳がんの初期症状である石灰化といった微細な異常も見つけることができるとされている。

だが、その検診

自体に

発がんのリスクがあることは、

日本では

あまり知られていない。

実際、欧米では既に

この検診に

懐疑的な専門家が少なくない。

2009年、米国予防医学専門委員会は

受診の不利益が大きいことから

40代の女性にマンモグラフィー検診を

推奨しないことを決定した。

さらに2014年、スイス医学評議会の委員からなる研究グループが

有力医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に、

「マンモグラフィー検診では死亡率低下の効果はない」

と発表して、

廃止勧告を出したのだ。

「欧米でマンモグラフィー検診に

疑義が生じているにもかかわらず、

日本人は、

そもそも

放射線を用いた検診がもつ

デメリットへの

危機意識が

欠けています。

放射線被曝による発がんのリスクは、

昔から言われています。

マンモグラフィーについても

もっとリスクを知るべきです」
(北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏)

相良病院附属ブレストセンター放射線科の戸崎光宏部長もこう続ける。

「実際に診察をしていて驚くのは、

『マンモグラフィーを受診すれば乳がんは必ず見つかる』と

勘違いしている患者が非常に多いことです。

日本では外国に比べ、

マンモク゛ラフィー検診の受診率が低かったため、

その効果を期待した厚労省が

最低でも50%の受診率を達成する方針を出しました。

こうしたキャンペーンが行われる中で、

マンモグラフィー検診の

リスクが表立って

アナウンスされて

こなかったことが、

『マンモグラフィーは万能である』という

誤解の背景にあるのでしょう」

特に日本人女性はこのマンモグラフィー検診に

注意が必要だという。

前出の富永氏はこう指摘する。

「日本人の女性は乳腺の密度が濃い『高濃度乳腺』の人が非常に多い。

マンモグラフィー検診をすると高濃度の乳腺を持つ人は乳房全体が白く映りますが、

がんなどの病変も白く映るため、

仮に乳がんがあったとしても、

それを見つけることは雪原の中で白ウサギを探すようなものです」

日本の女性の半数以上が高濃度乳腺であるといわれており、

そもそもマンモグラフィー検診には

体質的に向いていない人が多い。

さらにマンモグラフィー検診を行っている自治体の7割が、

こうした高濃度乳腺によって異常があるかどうかが

判別困難だったにもかかわらず、

受診者に対して
「異常なし」とのみ

伝えているという実態が、

6月12日、読売新聞の報道により明らかになった。

「高濃度乳腺で体質的にマンモグラフィー検診に向かず、

がんの有無の判別が難しい場合は

医者がそのことを伝え、

エコー検査などの他の検診を

受けられるよう通知することが望ましいのは

言うまでもありません。

しかし7割もの自治体で

そうした仕組みがないまま

杜撰な検診が行われているのは

大問題と言えます」
(前出の戸崎氏)

こうした検診体制では、

すでに身体が乳がんに蝕まれているかもしれないのに、

検診では「異常なし」と診断されるケースも当然ありうる。

さらに、マンモグラフィー検診で気をつけなければならないのが、

遺伝的に乳がんを発症しやすい体質を持っている人だ。

「遺伝性乳がんの可能性がある人は

マンモグラフィー検診による

放射線被曝に

敏感であり、

一般の人が受けても問題ない被曝線量でも

がんになる割合が

高くなる可能性があることが判明しています。

この事実は日本乳がん学会が発行する『乳がん診療ガイドライン』にも書かれています」
(前出の戸崎氏)


がん検診を受けてがんになる。

それがあなたやあなたの家族の命を奪うかもしれないのだから、

「バカげた話」で片付けることはできないのだ。

「週刊現代」
2016年7月16日号より