俳茶居

俳茶居

       防人に木の芽の路の地雷かな (呑亀〉



早春の茶席 (2022年2月撮影)



昴の茶事設え(2019年12月7日撮影)
          

暑の茶事設え(2018年6月2日)



東風の茶事設え(2019年3月1日)


雛の茶事設え (2018年3月3日)



2017年秋の設え



竹の子に囲まれた野点茶会2015年4月



 

会長賞作品「不安感の記憶」

 

 2024年4月7日 上野東京都美術館で開催中「第74回モダンアート展」(4月3日~4月16日)に出かけた。友人松林眞澄氏の同展覧会会長賞の作品を鑑賞することが叶った。

 氏は数年来、ジクレー(デジタルリトグラフ)技法による版画に傾倒し、その作品群を私たちに開示してくれていた。昨春府中での個展は、作品の真価が発揮された重要な個展であった。そして今回は彼女の現在を協会賞(一等賞)として展覧会が認めたのである。その栄誉に心より賛辞を贈ることとする。又、長き友人として共に慶びたい。

 会場には、氏と同じジクレー技法による作品は無かったように思えた(私個人の見解)。それだけに日本の現代アート関係者には、エポックメイキングな出来事であったのではないだろうか。一躍時代の先端に立つこととなった友人にこちらも大きな勇気を頂くこととなった。上野の山の満開の桜も彼女を祝福していた。

*昨春の個展に関する拙ブログ『松林眞澄の心象風景版画展』或いは二つの捻じれた国旗について | 俳茶居 (ameblo.jp)

                            俳茶居

上野の桜(2024年4月7日)

 

花茶で巡る四季 京都上七軒『汲古 花花茶会』の福

 

蝋梅龍頂 ジュレ仕立て

 

 2024年3月20日、京都上七軒にある『茶空間 汲古(きゅうこ)』で行われた「花花茶会」に参加、素晴らしいおもてなしに寛ぐことが叶った。開室一周年と銘打って開かれた茶会。ご亭主堀井美香氏が時間を掛け練り上げた精緻な茶席で、工夫を凝らして作られた花茶7種を頂くこととなった。私たちは春にいながら四季の自然を、茶席に届くお茶から体験することとなった。こんな風におもてなしを受けると、毎年伺いたくなる想いが湧いてくる茶会となった。堀井氏とスタッフの皆様に感謝の気持ちを伝えることとする。そして同席したお客様方との一期一会に心より謝意を伝えたい。

八朔の牛乳寒天

 

 堀井氏にはこれから忙しい日が続く。まず5月に、「茶摘み&坂本餅茶作り」の催事が待っている。最澄が唐から持ち帰ったお茶の種が由来とされる日吉茶園の茶葉で、陸羽の時代の餅茶作りを再現する。そして秋にはそのお茶を頂くお茶会の催事と繋がって行く。6月、吉田山大茶会では、「留香茶藝」のリーダーとしてブースを仕切られることとなる。又、大津サロンでは、中国茶の教室を運営されていて、多くのお弟子さんと研鑽の日々を大切にされている。そんな忙しさの中で、一年をかけて今回の花茶を仕上げられた胆力に、頭が下がる思いである。堀井美香氏の今後のご健闘を心より祈ることとする。

白瑞香のグラス

 

 花花茶会 茶譜 ~花茶で巡る四季~

         (2024年3月20日 京都上七軒『茶空間 汲古』)

 

立春 【蝋梅龍頂】   蝋 梅 × 開化龍頂 ジュレ仕立て

啓蟄 【梅花龍井】   紅白梅 × 銭塘龍井

春分 【白瑞香】香檳  沈丁花(瑞香)× 白牡丹

立夏 【橘花香烏龍】  八朔の花 × 文山包種

夏至 【黄枝香銀針】  梔 子 × シルバーニードル

秋分 【桂花香烏龍】  金木犀 × 黄金桂

立冬 【玫瑰花紅茶】  玫瑰花 × 祁門紅茶

  茶菓子 白加賀梅ドライ 八朔の牛乳寒天 紫芋酥

*大津サロンの「香りの庭」で四季折々に咲く花の香りを、厳選した茶葉に封じ込めました。花の香りとそれぞれの茶葉との相性もお楽しみいただければ幸いです。

       

紫芋酥 (右は水をかけると立ち上がる紙おしぼり)   

  

 

 今回の京都への旅は、一周忌を迎えた茶友への鎮魂の旅でもあった。経営されていた茶館の前で合掌し、心の中で故人と言葉を交わすことが叶った。

 京の春吾唯足知と蹲に (俳茶居)

                      2024年3月31日 俳茶居

畲(シェ)族の茶に烏龍茶の萌芽

石古坪烏龍

 

 2024年3月9日横浜中華街駅近く「中国茶文化空間・香流」で開催された

麗香茶課主催、田中優伊先生によるセミナー

「単叢講座第二弾 崬山・石古坪・嶺東へ茶旅をしよう」

に参加した。タイトルに出てくる町の名前にまず惹かれた。コロナ禍の前、中国への茶旅を重ね、潮州での楽しい旅の思い出が蘇ってきた。潮州のお茶と言えば、すぐに鳳凰単叢を思い浮かべるが、今回田中先生のお話で、鳳凰単叢以前の事も含め、烏崬山・石古坪・嶺東への旅が叶ったのである。

 

「茶の民族史」1998年発行

 

 松下智先生は、名著「茶の民族誌」で閩南を現代の地域名「広東省潮州・汕頭、福建省厦門・泉州あたり」としている(安渓も含まれると推測する)。さらに閩南の少数民族畲(シェ)族こそ烏龍茶(松下先生は「烏竜茶」と表記)の生みの親ではないかと提起されている。そして私たちはセミナーで、その「石古坪烏龍」と対面し頂くことが出来たのである。発酵度(10%位)は低く、味・香りが強く押し寄せる感じはない。逆にこちらの身体器官を全開にして感じ取る必要があるお茶であった。煎を重ねると味蕾に少しずつ甘味が増えていくようで、ゆっくりと烏龍茶の淵源に近付いていくような、静かな感動を得ることとなった。希少なお茶を届けてくれた田中優伊先生に感謝である。次回のセミナーを楽しみにしている。

 

セミナーで頂いたお茶

石古坪烏龍

紅茵

鳳凰浪菜老叢

蜜蘭香紅茶

茶虎

*当日会場で沢山の茶友と再会がかない嬉しかった。皆コロナ禍を耐え抜き、新たな活動を始めているようである。多謝 再見

とよす茶会グループ「春節茶会」開催御礼

  春節の茶会の余韻いく日も

 

春節茶会 奇萊山茶設え とよす茶会G撮影

 

 とよす茶会グループの中国茶会「春節茶会」が2024年2月11日(日)人形町茶韻館で開催された。長いコロナ禍もあり、前回開催の2022年9月からほぼ一年半の時間が経っていた。前回は、受付で体温を測り、手の消毒。お客様と淹れ手との距離2m以上、茶杯は湯煎をしてお客様だけが触れられるように手配をしたり、お茶をいただくとき以外はマスクをお願いしたりとか、今思えば想像を絶するような対策の中でのお茶会であった。

鳳凰単欉八仙の茶杯と水色

 

 時が経ちほぼコロナ禍以前の形でお茶会が開かれたことを先ず喜びたい。おいで頂いたお客様、今回は来れなかったけれど、いつも応援していただいている方々に感謝の気持ちを伝えることとする。午前1回、午後2回、計3回のお茶席。お客様、淹れ手、お菓子担当、裏方スタッフも含め、皆幸せ感が溢れる茶会であった。そして茶会後のまったりとした余韻は今も続いている。とよす茶会グループ6人、それぞれの事情を抱えつつも見事なパフォーマンスが叶ったと思う。皆、次回の開催に向け確かな手応えを感じている。多謝再見

春節湯圓

 

黒糖生姜とナッツのパウンドケーキ、エッグタルト、ドライフルーツ

 

   とよす茶会グループ

   「春節茶会」茶譜 

<3種類のお茶とウエルカムティー、オリジナルスイーツ>

  

     ウエルカムティー 水出し貴妃茶

   1番目 奇萊山茶 2022年春茶   英国ティーリーフコンテスト軽焙煎部門金賞 

                  台湾南投県仁愛郷

 2番目 鳳凰単欉八仙 2023年   中国広東省潮州市鳳凰鎮ウードン村標高1200m

 3番目 天茯茶  2012年辰年   中国湖南省安化県 白沙渓茶廠製

  オリジナルスイーツ

  春節湯圓、黒糖生姜とナッツのパウンドケーキ、エッグタルト、ドライフルーツ

 

天茯茶の茶杯と水色

 

天茯茶1kgの包装

 天茯茶との出会いと呈茶

 お茶との出会いはいつも不思議だ。茶韻館亭主Mさんが12年前香港のお店で何げなく買ったこのお茶、干支で言えばひと回り12年の歳月が茶葉を育てたのだろう。淹れるお茶で苦労している私に天のお告げの様に届いた天茯茶であった。湖南黒茶は千両茶、茯磚茶が有名。天茯茶は初めて飲むお茶であった。湖南黒茶の師と仰ぐS先生に問い合わせ、改めて湖南黒茶の勉強をさせていただいた。

 中国茶の入り口に立つのは簡単だが、中に入るとその広さに驚く。そして長い時間静かに呼吸を続け成長・熟成を続けているお茶があることに驚愕させられるのである。今回の天茯茶、常滑の作家伊藤成二氏の急須で淹れることにした。一煎目を外さなければ、おそらく10煎は力を失わずに呈茶出来ると思えた。白湯から茶湯に変わる瞬間を一煎目に出来るようになると、あとは自然に煎を重ねることが出来た。白湯から茶湯、茶湯から苦湯になる湯の変化に淹れ手は敏感でなければならない。茶湯である時間は茶葉により違う。蒸らす時間の正鵠は自ら体得するしかないのである。

 天茯茶との出会い、茶韻館亭主Mさん、安化黒茶の伝道師S先生に感謝である。呈茶に関して、不思議な普洱茶を愉しませてくれる「自在の茶人」A氏に謝意を伝えることとする。 

               2024年2月15日   俳茶居

 

 

 久々「とよす茶会・春節茶会」開催迫る。

「とよす茶会・春節茶会」設えイメージ

 

 2024年2月11日(日)人形町『茶韻館』にて、久しぶり「とよす茶会グループ」による中国茶会が開催される。設えの確認を兼ね茶韻館に足を運んだ。呈茶する茶器で練習もでき(写真)、良き感触を得ることが出来た。お客様は、若干名募集中とのこと。ネットでの予約または電話で問い合わせ受け中とのことである。

   茶会概要

期日:2024年2月11日(日)

場所:人形町「ティーハウス茶韻館」

会費:4000円

時間:①回目11:00~12:00

   ②回目13:00~14:00

   ③回目15:00~16:00

各回3種のお茶他、ウエルカムドリンク、手作りスイーツが楽しめます。

*予約申し込みは以下よりお願いします。

 https://reserva.be/chainkan

*問い合わせは 茶韻館 松田 ☏03-6206-2119 

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目10-6 日本橋SDビル 1F

最寄り駅:東京メトロ半蔵門線水天宮前駅徒歩2分 

     東京メトロ日比谷線人形町駅徒歩2分

     都営浅草線人形町駅徒歩5分

 

 中国茶関連の催事がいよいよコロナ禍前に戻った感が強い。昨年12月に開催された「地球にやさしい中国茶交流会(エコ茶会)」でも茶席コーナーが復活し、弾みがついたようである。

「とよす茶会・春節茶会」グループもいよいよ再開の時、当日お客様とお会いできるのを楽しみにしている。

2024年2月11日(日)「とよす茶会・春節茶会」開催 

とよす茶会前回(2022年9月10日)の茶席

 

 昨年よりコロナ禍も緩み、確かな日常が戻ってきています。中国茶関係の催事も本格的に復活が始まっているようです。私達「とよす茶会グループ」も、眠りから覚める時が来ました。前回開催(2022年9月10日)から時間が経ちましたが、いよいよ本格復活です。お客様のネット予約が始まりました。皆様との再会を、スタッフ一同心より楽しみにしています。

   茶会概要

期日:2024年2月11日(日)

場所:人形町「ティーハウス茶韻館」

会費:4000円

時間:①回目11:00~12:00

   ②回目13:00~14:00

   ③回目15:00~16:00

各回3種のお茶他、ウエルカムドリンク、手作りスイーツが楽しめます。

*予約申し込みは以下よりお願いします。

 https://reserva.be/chainkan

*問い合わせは 茶韻館 松田 ☏03-6206-2119 

住所:東京都中央区日本橋人形町1丁目10-6 日本橋SDビル 1F

最寄り駅:東京メトロ半蔵門線水天宮前駅徒歩2分 

     東京メトロ日比谷線人形町駅徒歩2分

     都営浅草線人形町駅徒歩5分

阿部克彦氏の

第七回 新春「秘蔵のプーアル茶を愉しむ会」2024年1月13日 人形町 茶韻館

 

古樹私房茶餅茶 2002年頃

 奥深いプーアル茶を気軽に愉しんでいただきたい想いから始めた「秘蔵のプーアル茶を愉しむ会」も、2019年の10月7日の1回目から数えると今回で7回目、5年目に入ることになる。今回もスタッフとして参加させていただいた。茶葉提供、呈茶を担当して頂いている阿部克彦さんの秘蔵の茶葉は、今のところ尽きる気配はない。

白毫餅茶 生茶 2002年頃

 阿部さんのファンは多く、お客様は常連の方やどこかで噂を聞き馳せ参じてくれた方など、回を重ねるごとにアットホームな雰囲気が醸成されて行くように思える。その呈茶のスタイルは、簡単に真似できるものではない。いつもそばで見ているのだが、一つの回2時間で凡そ40煎、それを2席で80煎。淡々と乱れなく茶淹れする姿は、時に神々しく思えたりするのである。その安定感が、更にお茶を美味しくしていると思えてならない。コロナ禍が薄らぎ、今年最初のお茶会の方も多かったようだ。お茶席終了後も言葉を交わすお客様とスタッフや馴染みとなった茶友同士、新しい年を始める楽しい余韻が会場に溢れていた。

 元旦の大地震、2日には航空機事故が続いた。被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げることとする。       2024年1月16日 俳茶居

 

餅茶   生茶 1987年以前

 

水仙紅茶(スペシャルティー、正山茶業社製)

 

新春『秘蔵のプーアル茶を愉しむ会』(2024年1月13日 人形町茶韻館)

  茶譜

古樹私房茶餅茶 2002年頃        昆明市

白毫餅茶 生茶 2002年頃        普洱市 景邁山

水仙紅茶(スペシャルティー、正山茶業社製)武夷山市

餅茶   生茶 1987年以前       西双版納 勐海

*スィーツ   重盛の人形焼きと干菓子数種・抹茶とラズベリーのケーキ

       

「思い出すのさ舟唄を・・・」 八代亜紀さん逝去

 

2024年1月11日 天声人語

 昭和の歌姫のひとり八代亜紀さんが亡くなったと、1月10日に報じられた。昨年12月30日没、難病の療養中容態が急変したとのことである。享年73歳は同年代である。すぐある映画が思い浮かんだ。「駅 Station」(1981年公開)がそれだ。雪に閉ざされた北海道の小さな海辺の町、年末の閑散とした居酒屋で、八代亜紀の「舟唄」がテレビから流れる。八代亜紀さんの逝去を取り上げた天声人語(2024年1月11日付朝日新聞朝刊)の筆者は、私と思いを同じくしたのだろう。孤独なもの同士が出会い一つの唄で癒される。映画で演じるのは高倉健と賠償千恵子。主演の二人の演技、そしてこの唄(八代亜紀の身体もろとも)には、映画にかかわった人達の強い思いが込められている。日本がバブルへの賭場口にいた頃、冬の北の町の哀しい話である。合掌

挿入歌

舟唄 : 作詞 阿久悠 作曲 浜圭介

 

映画「駅 Station」

監督 : 降旗康男

脚本 : 倉本聰

音楽 : 宇崎竜童

俳優 : 高倉健 倍賞千恵子 田中邦衛 室田日出男 根津甚八 烏丸せつこ 永島敏行 

     古手川祐子 宇崎竜童 小松政夫 池辺良

 

 

 

 

 2024年元旦、能登半島の地震で被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

辛い一年の始まりとなってしまいましたが、本年も宜しくお願いいたします。 俳茶居 呑亀

2023年12月3日(日)朝の多呼吸症候群

 ご褒美「朝日俳壇 長谷川櫂 一席」

 朝7時過ぎ、携帯電話が鳴ったらしい。昨日からのマナーモードを解いていなかった為出られなかった。20分後、電話の主である俳句の先輩に気付き、折り返すと「朝日俳壇長谷川櫂一席おめでとう」と伝えられ心臓が大きく膨らんだ。

 今日(12月3日)は、日本の中国茶業界最大の催事「地球にやさしい中国茶交流会(通称「エコ茶会」)」で淹れ手を務める日。メールでお祝いが次々届き、返事を書いたりしている内に時間が経った。電話のSさんより、現在校了間近の「五駒会俳句集Ⅱ」の俳句を差し替えるべきとの指摘。確かにそうした方が良いと思い、印刷会社との窓口のNさんに電話、最終訂正の締め切り日を一日(12月4日)と確認していただいた。そして漸くエコ茶会会場へと家を出たのであった。