香港介護事情の考察 | 斉藤正行のブログ

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本日より、先週視察した香港の介護事情全体の考察を述べたいと思います。


香港の人口は約700万人、60歳以上の高齢者が約110万人と高齢化率が約16%となっており、日本ほどではないにせよ、先進国の中でも高齢化の進捗スピードは加速しているエリアです。


認知症高齢者が約10万人、独居老人が約7万人とされています。


当然ながら介護保険制度は存在しません。それどころか、公的年金制度もありませんので、定年後の高齢者は、貯蓄や401K等の私的な年金積み立てで生計をたてています。


貯蓄や資産、所得の無い方には、日本でいう生活保護の制度は存在します。


前回も一部お伝えしましたが、香港の高齢者介護の主流は、


老人ホームと、在宅ではメイド(主に外国籍)さんによる身の回りの支援が中心となっています。


老人ホームについては、4名以上の宿泊を伴うサービス提供を行う場合には、免許が必要となっており、原則は届出、免許制になっています。ただし、日本でいう総量規制はありませんので、設備基準や人員配置基準など一定の条件をクリアすれば、株式会社でも運営が可能です。


また前回お伝えしましたが、政府保証の支援制度の受けれる老人ホームも存在します。こちらは、株式会社でもOKですが、詳細は不明ですが、公募制であり、日本の特別養護老人ホーム以上に、設立のハードルは高いようです。


また、現在、香港の老人ホームのベット数は、約7万床強といわれており、そのうち、1万床強が政府より何らかの保障を受けている老人ホーム、6万床強が全額自費サービスの老人ホームになります。その多くは低価格な劣悪な環境の老人ホームです。


老人ホームは、全般的に、医療依存度の高い方や、身体面のリハビリに重きのおかれたサービスとなっており、生活支援や認知症ケアなどが遅れているように見受けられました。


続いて、在宅でのサービスですが、前述したとおり、メイドさんによる身の回りの支援が中心となっており、香港では、1ヶ月間住み込みで約3万~4万円でメイドさんを雇うことができるので、生活援助や家事援助はメイドさんが対応しているのが現実です。


正確な数はわかりませんでしたが、一部には訪問介護(看護)サービスは存在しますが、ごく限られた数しかなく
デイサービスやショートステイも存在しますが、そのほとんどは老人ホーム併設型であり、デイサービス単独施設は香港で1箇所のようです。


従って、香港の介護事情を整理すると、介護が必要な高齢者は、在宅ではメイドさんによる生活支援、家事援助が主となっているものの、自宅に篭もりがちとなり、地域との交流や社会参画の機会がほとんどありません。


また、メイドさんでは専門的な対応に限界があるため、重度化した場合は、対応が困難となり、その場合は、所得水準に応じて、高級老人ホームか、低価格老人ホームへと入居するのが一般的な流れとなります。


これは香港に限ったことではないですが、香港の社会保障制度のあり方は、日本のような中負担中保福祉はなく、低負担低福祉の制度となっているため、高齢化が進行しつつあるものの、十分な介護環境が整備されていないのが実情です。


香港では、今後、メイドさんの支援による在宅生活から、劣悪な低価格の老人ホームへと移行する間のサービスが間違いなくニーズとして存在します。


それは、低所得者や中間層への訪問介護やデイサービスの充実であると感じました。


さらには、社会参画の機会創出、認知症ケア、個別ケアといったフレーズが重要なキーワードであり、まさに日本の介護サービスが求められている環境であり、今回、張社長が考えているサービスこそ、その問題解決に向けた大きな大一歩であると強く実感致しました。


以上が、ひとまずの3日間の視察で見聞きした情報に基づく私なりの香港介護事情の考察となります。

※なお、記載の情報・データはあくまで今回の視察でヒアリングした情報を基に記載しておりますので、数字・データなどに正確性・信憑性を保障するものではありません。


長文にお付き合い頂き、ありがとうございました!!


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