ぼくは、薪割りが好きだ。

 

薪ストーブを使うようになってから10年弱、

 

毎年冬の間に手に入れた原木をチェンソーで玉切りして、

 

斧と楔を使って薪を作っていた。

 

重労働だが、冬の凛とした空気の中での力仕事はじつに気持ちがいい。

 

単純な力仕事というのは、日ごろの面倒なことから解放されてストレス解消にはもってこいなのだ。

 

中年おじさんにとっては運動不足解消に非常に有効な労働でもある。

 

背中も一回り大きくなるし、

 

なにより、ねらったところでスパーンと一発で割れたときには何とも言えない爽快感がある。

 

薪棚の前で作業をしていると、

 

太古の昔から変わらないであろう全く人工的ではない香りに囲まれて、なんとなく心が癒される。

 

斧で薪を割るのは単純な力仕事ではあるのだが、少しだけ頭も使う。

 

太い木を割るときの作戦を立てるのもそうだが、

 

斧を振るのにどうしたら疲れにくいか?なんてことを考えながら薪割りをするのも楽しいのだ。

 

TCS挿入のときにいろいろ考えているときの思考と似ている。

 

振りかぶるときは右手は斧のヘッド近くを持つとヘッドの重さを感じない。

 

振り下ろすときには体の正中を外さないようにまっすぐに振り下ろす、これが難しい。

 

振り下ろすと同時に右手をスライドさせて、ヒットする瞬間は左手につける位の位置で

 

ヒットさせる瞬間だけ力をいれる、それ以外はリラックスするのが大事。

 

ヘッドの重さと遠心力を利用してヘッドスピードを上げる。

 

円を描くように振ってしまうと、空振りしたときに足に当たって大けがしてしまうので、

 

薪を狙うのではなく、薪台を割るつもりで垂直に振り下ろす。

 

腰を曲げると腰を痛めるので、足を使って振り下ろす。

 

重い玉切りを持つときには、これも腰を使うと腰を痛めるので、

 

ゴリラの姿勢で手は鈎のように使って力を抜いて、足の力だけで持ち上げる。

 

などなど、ちょっとしたコツを言語化できるように考えたりしている。

 

あと、ちょっとした楽しみがある。

 

ぼくが、薪割りを始めると、

 

その音をどこかで聞きつけたジョウビタキが、

 

つかず離れずの距離の枝に飛んできて、こちらの様子をうかがいはじめる。

 

薪割りをしていると、ときどきテッポウムシが出てくることがある。

 

それを狙っているのだ。

 

ぼくがそのテッポウムシを木の台の上においてあげると、

 

サッと飛んできて、ヒョイっとそのテッポウムシをつまんで、

 

またつかず離れずのところに枝に戻って食べる。

 

でも、いつもいつもテッポウムシが入っているわけではないので、

 

何ももらえないときは、

 

チェって舌打ちして飛び去って行く。

 

小さな体で2000Kmの距離を旅してきた渡り鳥とのそんなやりとりがたまらなく好きなのだ。

 

しかし、今シーズンはいつもの楽しい薪割りにはならなかった。

 

この猛暑の時期になっても割り残した玉切りが山のように残っているのだ。

 

絶望的である。

 

今シーズンは庭の穴掘りをしていたので薪割りをする時間がなかったのも一つの原因だが、

 

今年手に入れた原木が欅だったのが主な原因だと思う。

 

欅は木の繊維がからまっているのか、ねちっこくて、スパンと割れないのだ。

 

それでいて節や、コブのあるものは本当に割れない。

 

斧で割れないものは楔を2本使うと大概割れるのだが、

 

今年手に入れた欅は1本割るのにへとへとになってしまう。

 

楔がはまって抜けなくなり、4本使って1時間ぐらい頑張って、やっと1つの玉切りを割りきったときに、

 

「そうだ、薪割り機を買おう!」と決心した。

 

ネットで薪割り機を調べまくって、you yubeで薪割り機動画を見あさった。

 

パワーもある程度ないと意味がない。

 

太い木や、節のあるもの、二股に分かれているものを割れる位のパワーが必要だ。

 

それ以外のものは斧と楔で割れるからだ。

 

楔を使っても割るのに一苦労なものが割れないと意味がないのだ。

 

それにはやはりエンジン式の薪割り機がいい。

 

その中でも日本の企業を応援したいなと思い、

 

日本製の薪割り機に決めた。

 

しかし、まだ問題がある。

 

エンジン式の薪割り機は非常に重いので、購入したあと荷物の引き取りが運送会社の支店止めになってしまうのだ。

 

それを引き取りにいかなくてはならない。

 

軽トラなどをレンタルしていけばいいと思うのだが、

 

どうやって200Kg近い重さの荷物を荷台から降ろすのだろう?

 

うちにはフォークリフトもないし、荷物を滑らすアルミ板みたいなものもない。

 

買っても二度と使うこともないだろうから、できれば買いたくない。

 

そこでいろいろ調べたら、パワーゲート付きのトラックのレンタルがあるのを見つけた。

 

これだ!と思って、

 

1.25tのパワーゲート付きトラックを予約したのだが、

 

当日レンタカー屋さんにいったら、

 

なんとマニュアルだった。

 

トラックの運転だって初めてなのに、マニュアルだなんて・・・

 

これで事故ったりしたら最悪だな、と思ってものすごく緊張したが、

 

自転車の運転みたいなもんで、一回覚えるとなんとかできるもので、

 

ちょっと慣れてくると、

 

窓を全開にして、イージュー★ライダーを口ずさみながら、

 

乗り心地はお世辞にもいいとは言えないが、

 

気持ちいいドライブを楽しんだ。

 

パワーゲート作戦もうまくいって、

 

無事、薪割り機をゲットできた。

 

エンジン式薪割り機の威力は絶大だ。

 

あんなに苦労した節ありの欅の木が、メリメリッと裂けていく。

 

「楽ちん、楽ちん♡」

 

薪ストーブの原料を化石燃料を使って作るって、ナンセンスだな、と思ったが、

 

結局チェンソーも使うわけだし、

 

ま、いっかってことで、

 

今日の動画は

 

KPに軽い癒着があるのか、KPが3時から4時方向までしか回らない症例です。

 

引ききったところでアングルのみでヘッドを進めます。

 

1回空振りましたが、2回目のトライで成功しています。

 

そのあとは簡単な症例でした。

 

それでは、また。