「仮想空間で日本全国を動き回りたかった。現実には無理だから…」。足が不自由な80代の女性は、ビズインターナショナルに踏みにじられた夢をこう語り、肩を落とした。「あなたの人生をより豊かにするための“もうひとつの日本”」。ビズ社は全国各地で開いた説明会で仮想空間「エクシングワールド」をこのように宣伝し、約100億円の資金を集めたとされる。だが、実際に公開された仮想空間は、その説明とはかけ離れていた。

 会員向け資料などによると、エクシングワールドは「日本全国を丸ごとCG映像で再現」し、利用者はその中で「アバター」と呼ばれる分身を操って経済活動を行えるとうたっていた。特にビズ社は「先行会員になれば優先的に土地が購入でき、値上がり後に大きな利益が得られる」として、仮想空間内での不動産ビジネスの魅力を強調した。

 広島市の会社経営の女性(61)は、勧誘で見せられたPR映像にひかれ、約40万円でビジネスキットを購入。さらに仮想空間内で東京・代々木の土地を約22万円で先行購入した。「仮想空間で店を開けば、消費者に魅力的に映ると思った」という。

 入会後に参加したセミナーではオペラ歌手が歌い、高級シャンパンも。10億円するという最新のサーバーも目にした。すっかり信用した女性は、知人を勧誘して回った。

 しかし、昨年10月に公開された仮想空間で再現されたのは、新宿や銀座など一部の都市のみ。建物には入れず、人影もまばら。兵庫県の男性会社員(41)は「死んだ街のようで、ひどいものだった」と憤る。

 ゲームジャーナリストで立命館大学の新清士講師は「一時ブームになった『セカンドライフ』など同種の仮想空間がある限り、空間内の土地の価値が爆発的に値上がりすることは考えられない。そもそも日本を丸ごと再現するのは、現状の技術では難しい」と指摘している。

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