第13話 ごめんねお母さんⅠ | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第13話 ごめんねお母さんⅠ

先生に母の命の宣告を受けてから


張り詰めていた気持ちが緩んでしまったのか


私と妹は疲れが色濃く現われてきた。


もう何ヶ月も母の付き添いや


病院の行き来。


家族はバラバラで子供たちとも会えない日々。




今は母が一番大変で優先するべきと理解していても


いつまで続くのかわからないこの生活。


先の見えないトンネルの中で


私と妹はもがき苦しんでいた。














その日は朝から私一人で付き添いをしていた。


午後に妹と父が来る予定だったので


それまではすることも無く


ソファに横たわり音楽を聴いていた。


イヤホンをしながら聴いていたが


母の様子を気にしながら聴いていたので


音楽の音量は控えめにして聴いていた。






いつものように母は静かな寝息を立てていた。


私は安心して音楽を聴きながら本を読んでいた。


しばらくしてから聞き慣れない音が私の耳に入って来た。


その音は例えるならば


水道管などが詰まった時のような音。


ボコッボコッと数回聞こえる。




何の音だろう?


どこから聞こえるんだろう?




そう思ってあちこちを見渡したが


異変は何もない。


しばらく聞き耳を立てていると


またボコッボコッと音がする。


その音は明らかに母のベットから聞こえる。


もう一度母の様子を見ながら聞き耳を立てると


同じ音がして母の体が動いていた。







お母さんだ!!






母の体からその音はしていた。


そして母は苦しそうに顔を歪めている。





「お母さん!!どうしたの?お母さん!!」







大きな声で呼びかけてももちろん反応は無い。


でもさっきから聞こえる音は


回数を増して母も苦しそうに体を動かし続けていた。









私は慌ててナースコールを押した。