第12話 宣告 | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第12話 宣告



母の容態に少しずつ変化が現れてから


主治医から話があるといわれて


私と妹は先生が回診に来たときに


病室前の廊下で話を聞いた。





きっとこれからのことだろうな・・・・


と、察しはついていたが


先生の話は予想通りだった。









「これからは月単位ではなく週単位もしくは


1日単位で見たほうがいいでしょう」








先生はそう言った。













もう覚悟は出来ていたつもりだったが


そういわれるとやはり辛かった。








言われなくても母を見ていたらわかる。


母がこの先何ヶ月も生きていけるわけはない。


でも先生からそうはっきり言われると


ショックな気持ちは抑えることが出来ないでいた。










1日単位か・・・・


明日にでも急変したら


母は死んでしまうんだ。




そう考えてみても


想像してみても


それははっきりとした輪郭は持たない。


経験したことがないから


その時の気持ちなんかわかるわけない・・・





お母さんが死んでしまうってどんな気持ちになるの?


悲しくて悲しくて


心が壊れてしまうの?


ねえどんな気持ちになるの?





心の中で問いかけた。


何度も何度も問いかけた。


何度も何度も聞いてみた。






当たり前だけど


その答えは誰も教えてはくれない。


誰も答えてはくれない。






心の中で堂々巡りをしては


また元の場所に戻る。


そんなことを繰り返すばかりだった。





最後には


もう考える事をやめてしまった。


完全に自分の感情、思考を停止していた。


それは無意識にしていた


防衛本能だったのかもしれない・・・・