第2話 母への言葉Ⅱ | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第2話 母への言葉Ⅱ



こんなに病院までの道のりが

遠く感じることは初めてだった。

気持ちばかりが焦り

早く!早く!と

心の中で何度叫んでいたのだろうか・・・・




東京駅から在来線に乗り約30分。

そこからバスに乗り継がないと

病院まではたどり着けない。





こうして向かっている間にも

母の容態が急変したら・・・

意識が無くなってしまったら・・・・



考えることは悪い事ばかりだった。








のろのろと走る病院までのバスの中で


焦る気持ちを抑えながら


窓の外を眺めていた。



そして今までの母と私達家族の辿った


道のりと時間をずっと考えていた。











父の癌発覚から始まった


私達家族の辿った道のりは


今までに無いほどの


苦悩と悲しみの連続。





父とも妹ともよく喧嘩して


精神的にも肉体的にも


辛いことばかりだった。




母の変わり行く姿を見るたびに


みんな気持ちは沈むばかりで


とても明るい気持ちになることは出来なかった。




でもまだ終わったわけではない。


これからもまだまだ苦悩の日々は続くんだ・・・・





そう思った時に


私が降りるバス停に到着した。





焦る気持ちを抑えながら


バスから降りて


息を切らしながら母の病室まで走った。


母への言葉を何度も心の中で繰り返しながら・・・・