第3話 奔走 | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第3話 奔走




あれから何度か妹は

母に一時帰宅の話をしていた。

最初は不安や心配から躊躇していた母も

妹の粘り強い説得に根負けしたのか

一時帰宅することになった。

そして私たちも動き出した。




まず母が24時間している点滴を

私たちが交換する作業を練習することになった。

詳しい薬品名は忘れてしまったが

2種類の薬をアンプルからシリンジ(注射器のような形をしている)に入れる。

そしてシリンジから点滴袋に薬品を入れる。



次はモルヒネの交換作業。

母はモルヒネも24時間持続して使っていたので

点滴とは別にモルヒネを注入する機械も使っていた。

袋に入ったモルヒネを機械にセットして

モルヒネの量が少なくなるとアラームがなって交換する。

セットの仕方と交換方法を練習した。

モルヒネは劇薬扱いになるため

慎重に扱う必要があった。

少しでもこぼした場合はテッシュ等で吸い取り

袋に入れて日付と時間を書いて病院へ渡す。

必要最低限の量しか持ち帰れないので

無くなり次第病院へ取りに行くことになった。

点滴、モルヒネの交換作業の際には

常に消毒をすることも守らねばならない。



最初は私も妹も出来る自信がなかったが

慣れてしまえば簡単な作業になった。



そしてもうひとつの問題は

往診してくれる医師と訪問看護の手配。

幸いにして自宅から10分程の距離にある病院が見つかった。







家族で奔走しながらも

何とか母の一時帰宅の準備が整った。

後は母が帰って来るのを待つばかりだった。