第3話 最期の場所 | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第3話 最期の場所


緩和病棟へ転院する打診を受けて

妹とおばへすぐさまその話をした。

二人とも

「そうか・・・」

と、肩を落とし私の話を聞いていた。



その日は一度家に帰ってから

父に話をして、その後に母に話をしようということになった。



付き添いはおばに頼み妹と私は家路につく。

帰りの車の中でも二人は言葉少なげで

私の頭の中は真っ白だった。



その頃父は

手術を受けて3ヶ月程たち、あと数日で退院予定。

まだ体力もそんなに回復していない体で

家に戻ってくるのに、入院生活から開放されて

やっと家に戻ってこれるのに、

母の転院の話をするのは

本当に心が痛かったが、私たちにはどうすることも出来なかった・・・



次の日は妹が父の病院に行き

話をしてから母の病院に付き添う。

私は妹の代わりに甥達と長男の面倒をみる。






いつまでこの生活が続くのだろうか・・・

いつになったらこの生活は終わるのだろうか・・・

そう考える半面

この生活に終わりが来るときは

母が旅立つ時・・・

それは嫌だ・・・





心の中ではこのジレンマだけが渦巻いていた。

私たち家族は

先の見えない暗いトンネルに迷い込んでしまったような気がした。