第10話 穏やかな日々 | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第10話 穏やかな日々



おばが北海道から

母の付き添いのために出てきてくれて

私たちも安心して穏やかな日々が続いた。

おばには関東に長男(私たちのいとこ)が住んでいたので

付き添いする間は

そこから通うことになった。

「おばさんなら大丈夫だから

2、3日くらい付き添いしてもいいわよ」


そう明るく言ってくれるE子おばさん。

私たちには子供もいたので

その言葉につい甘えてしまい

付き添いを頼んでしまったりしたが

嫌な顔一つせずにE子おばさんは

付き添いを続けてくれた。






その間母の様子といえば

一番始めの頃に見せた混乱をすることもなく

穏やかに過ごしていたが

トイレや洗面以外、殆どベットの上・・・・

寝たきりまではいかないが

ほぼそんな状態だった。

そして母の強い希望で

鼻から通していた管を抜いてもらい

持続栄養点滴とモルヒネの投与だけをしていた。

詳しい数値は忘れてしまったが

日に日にモルヒネの投与数も増えて

うつらうつらすることが多くなっていた。


そんな中、主治医の先生から

抗がん剤の治療を始めていく話を聞かされた。

相変わらず癌の原発巣は不明だったが

原発巣を確定するためには

開腹してみないとわからないし

原発巣不明でも

抗がん剤を慎重に選べば治療は出来るとの

説明を受けて、開始することになった。



母にも先生から説明してもらった。

母はどこまで理解しているかわからないが

副作用の説明も受けて治療が始まった。





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