第8話 付き添い | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第8話 付き添い



母に初めて付き添った長い時間も過ぎ去り

朝になり、とりあえず一度家に帰ることにした。

母は昨日より幾分か顔つきも穏やかになり

落ち着いた様子だったので

帰ることを伝えてから行こうと思った。





「お母さん、調子はどう?」

「うん、今日はいいかな」

「そっか、よかった。」

「家は大丈夫なの?あんたが泊まったから大変じゃないの?」

「うん・・だから一度帰るけど

今日の夜も私かT (妹の名前)が来るようにするよ。」


「大変だからいいわよ」

「大丈夫。心配しなくても・・・

とりあえず一度帰るよ。それまでお母さん一人になるけど大丈夫?」


「なに言ってんの、大丈夫よ!」

そう言って母は笑う。

昨日のことにはあえて触れなかったが

母は覚えていないようだった・・・

母は平気な振りをしているけれど

長い時間一人にしておいたら

また昨日のように混乱するだろう。

母にすぐ誰かがくるからねと何度も言って

看護師さんにも声を掛けて

私は家路についた。




実家に帰ると、妹は子供達に朝食をあげていた。

「ただいま。

昨日はごめんね。大丈夫だった?」


「何とかやり過ごしたよ(笑)

お母さんの様子はどう?」


妹に昨日の夜の様子を詳しく話をした。

妹もショックを受けていた・・・


「お母さんね、もう一人にはできないな。

看護師さんも付き添った方がいいって・・・」


「そうか・・・・お父さんもまだ入院してるし・・・

それでお母さんの付き添いまで・・・・

子供達もいるしね・・・・」


「うん・・・・今日は子供達私が見てるから

Tが行ってくれる?」


「うん。子供達のことも考えないとね・・・

このままの状態で、付き添いするのは無理だし・・」


「うん・・・」

頭の痛い問題だった・・・

子供達のこと・・・

夫の実家に見てもらいたかったが

遠方でしかも自営で店をしている両親・・・・

かなりの負担になるだろうと思う。

どうすれば一番いいのか

私にはまだわからなかった。



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