第9話 母と私 | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第9話 母と私

母と私。

母と私はどんな親子だっただろうと常々考える。

自分自身も子を持ち、子育てをする日々の中で

こんな時、母だったらどうしただろうか?

私にどんな風に接してくれただろうか?

と、自然に考えてしまう。






私は、母が25歳の時に生まれた。

当時父の両親と同居していて

大変な事もあったらしいが

母は仕事もしていたので、育児では助けられた部分もあるようだ。


赤ちゃんの頃から祖父母と暮らしていた私は

大のおばあちゃん子だった。

記憶の中では、いつも甘えていたのは祖母だった。

母に甘えた記憶はほとんどない。

子供の頃は祖母がそばにいてくれたらそれでよかった。

母は怖い存在でしかなかった。

フルタイムで働く母は、家に帰ると苛々するばかりで

何気ない会話さえも、交わした記憶が余り無い。



母と祖母。

二人の関係も良いわけでは無かった。

父は単身赴任が多い。

母は仕事のストレスと父の居ない家での祖母との同居で

いつも苛々していたのかもしれない。

でも当時は私も子供・・・そんな母の心も理解できる訳が無く

怖い母より祖母が大好きだった。




私には妹が一人いる

妹は甘え上手で、祖母にも母にも

普通の子供のように甘えていた。

母もどちらかというと祖母になつく私より

妹を可愛がっていた。







私が小学4年生の時

突然祖母が家を出て行くことになった。

子供心に母と祖母の仲が悪いとは薄々感じていたが

まさか家を出て行くなんて考えてもいなかったので

祖母が居なくなる事はかなりショックだった。



おばあちゃんが出て行くのは

お母さんのせいだ!お母さんが悪いんだ!!



その時の、母への恨みにも似た感情が

母への反抗心になっていった。




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