「口を開けてハァハァと苦しそうに呼吸をしている」

と来院された16才のネコさん(♂)。


診ると開口呼吸をし、舌の色も深紅色。

熱中症も疑い,体温チェック。

38.9℃の平熱範囲。



血液検査を実施すると、腎臓機能の低下と

赤血球の異常な増加が認められた。

PCV 69.6%(平均35%くらい)

赤血球数1752万(正常550~1000万)


腹部を触診すると・・・

左側の腎臓が異常に大きい。

右側は正常くらいの大きさ。


エコーで診ると、左側の腎臓の構造が不明瞭で

何かしこりのようなものが見える。

右側においても、しこりのようなものが確認された。


腎臓の腫瘍が強く疑われた。

細い針で腎臓の針生検を行った。


結果的にはリンパ腫ではないと、

病理からの回答。


腎臓から出てくるホルモン(エリスロポエチン)を

測ると「26」(正常値2.8~17.2)




以上のことから造血に関係するホルモン

(エリスロポエチン)を作る細胞が腫瘍化し

過剰なホルモンによって、赤血球が過剰に

作られていると考えられる。


獣医師Tommyのブログ「小さな命と向き合って」 4

もし片側の腎臓が正常であれば

悪い側の腎臓を摘出する選択肢があるが

両側に怪しい影があるので、摘出の選択肢は

厳しい。


仮にもしリンパ腫であるのなら、比較的抗がん剤が

効いてくれる可能性が高いので、トライするのだが

リンパ腫以外の腎臓腫瘍に、抗がん剤の効果に

高い期待はまず望めない。



イケメンで16才には見えません。

 目力がしっかりしています。】
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そんな心配をよそに、ご飯だけはしっかりきれいに

完食する姿を見ると、もっと何かできることはないかと

思う今日この頃である。



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赤血球が少ない貧血は、しばしば遭遇しますが

今回のように過剰に多い状態も難問です。

根本から治すことは出来なくとも

苦痛をできるだけ軽くしていくことを

第1に考えていこうと思っております。

残された日々をできるだけ、

ご家族と共に過ごして頂こうと考えています。


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