ご夫婦は、しばらくして
決断された。
「オペをすることに。」
先日のオペの傷がようやく
きれいになってきた腹部に
またメスを入れることになる。
血液検査の数字は、白血数を
除けば、比較的落ち着いていたが
大丈夫と言えるほどの安心材料には
ならなかった。
ただ今の状況では
オペを第一選択にすべきと思われた。
「ではこれからすぐにオペの準備に
取りかかります。」
午後の診察の途中ではあったが
オペを優先させた。
そして
静脈の点滴をした管から
麻酔薬が投与され、オペが始まった。
皮膚を切皮、腹膜を切開し腹膜鉗子を
かける。
腸の奥に親指の太さくらいに膨らんだ
子宮が目に入った。
まず右側の卵巣と子宮の間部を糸で
結紮し、次に子宮を上方に持ち上げながら
卵巣下部を2本結紮し
電気メスでカットした。
出血を確認して腹腔に戻す。
左側も同様に結紮し、カットした。
次に子宮頚部を結紮し、電気メスで
カットして子宮と卵巣を摘出した。
腹腔内に出血がないか最終確認後
閉腹した。
麻酔薬を早く切ることを考えながらの
やや急ぎ足のオペであった。
覚醒は予想していた通り
やはり時間がかかった。
翌日の朝は、体温は平熱に戻ったものの
ボーとした感じで、ややふらつき感があり
食餌も全く受け付けなかったが
午後には数口、缶詰を食した。
そしてその翌日、
食欲はさらに増し、短めのお散歩も
ゆっくりながら可能となった。
今回もリスクの高いオペでした。
この仔の生命力の強さを感じました。
また短い時間で、オペを決断された
飼い主様も、笑顔で面会にいらっしゃいます。
今回で、生涯この仔に麻酔をかけることは
ないことを祈ります。