だいぶ迷われた末、

飼い主様が出した結論は

「試験開腹」であった。


やるなら早い方がよいと勧め、

レントゲン検査を実施した午後に

試験開腹することとなった。


まずは麻酔。

3才という若さではあるが、体重が7kgと

重量級で皮下や腹腔内に脂肪が多いため、

術後の覚醒に時間がかかることが予想された。


注射で麻酔薬を導入し、吸入麻酔薬で維持。

心電図も呼吸も順調であった。


まず皮膚を切皮。

厚さ約1.2cm程の皮下脂肪が目に入った。

次に腹膜を開けた。

やはり腹腔内脂肪が最初に目に入る。


そして目指す胃を見つけ、

ゆっくり上方に持ち上げ、幽門部を触ると、

やや固いものが触れる。

胃の漿膜からの色も黒っぽく透けて見える。


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異物の可能性が高いため

この部分を切開することにした。


切開する場所の両側に指示糸をかけ

血管の少ないところにメスを入れた。

すると切開部から白と黒の混じったような

異物が顔をのぞかせた。


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よくみると、硬めのビニール状のものに

思われた。

異物を鉗子で掴み、上方に持ち上げると

塊上になっていた。


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レントゲン所見と一致する。

塊上のものが2つとれ、切開部を縫合した。

他に異物はないか噴門部(胃の入り口)から

十二指腸から直腸まで確認したのち

閉腹し、オペを終了した。


【今回原因となった異物。(カツオ節の袋。)

塊状に飲み込んでいたようであった。】
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オペ翌日。絶食中。経過は順調で隣の仔の

フードの臭いに反応していた。顔つきも良い
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ケースバイケースですが

この仔の場合は

バリウム検査に進むより

早くオペして正解でした。


飼い主様が留守中に

いろいろ食べてしまう可能性がある時は

冷蔵庫や引き出しの中など、ネコさんが自力で

開けることのできないところにしまうように

ご注意下さい。


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