「お腹にしこりがあります。」と来院された
もうすぐ17才のウェスティー(♀)さん。
しこりが認められた。
また左右の乳腺も腫れが認められた。
heatの終わりがけということで、ホルモンの
影響も考慮に入れ、10日間ほど経過観察
していただいた。
10日後、再来院。
しこりはわずかながら増大していたため、
血液検査を実施、その結果や年齢等を
考慮したうえで、切除をお勧めした。
飼い主様も同意され、数日後オペの予定入れた。
オペの前日、電話が鳴った。
「朝は普通通りお散歩に行き、食事もとったのに
夕方になると立てなくなり、食欲もないとのこと。」
すぐに来院して頂き診察開始。
体温がやや微熱。
そのせいか、元気さがほとんどない。
しこりは数日間で、鶏卵大にまで
増大していた。
しこりに触ると痛みがあるのか、声を出す。
これまでの経過と今回の状態から
ある病気が頭に浮かぶ。
まずは消炎剤と抗生物質と点滴を開始した。
しばらくしてから、栄養価の高い美味しい缶詰を
与えてみた。
「食べた!」
痛みの程度が、少し軽くなっているようであった。
オペ当日の朝、注射が効いたのか
昨日より動きが活発に見えた。
乳腺のしこりを触ると・・・
「!!!」
昨夜から翌朝までのわずか半日で、
しこりが3倍くらいに急速に増大していた。
これは日頃よく遭遇する乳腺のしこりとは
性質が大きく異なるように思えた。
この状況の変化を、飼い主様にお話し
しなければ・・・。
(つづく)
乳腺のしこりは、日頃の診療でよく遭遇しますが、
わずか半日にして、状況が一変してしまうほど
今回のケースは、とてもレアであると同時に
今後の経過が大変心配されるところです。
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