なんと血糖値が「58」しかない。

(通常は80~130くらい。)


低血糖による症状!!!

犬は血液中の糖が低下すると

元気がなくなり、力が抜け虚脱状態に

なったり、震えや発作が起きたりする。

勿論、過去にそのようなケースには

幾度も遭遇している。



今回の仔のように吠え続けている症状も

低血糖の症状であろう。

獣医学専門書の「低血糖」という項目には

「異常行動」という記載が使われている。

今回の症状は、脳炎や脳腫瘍などの著しい

脳の疾患を疑いたくなるほどの異常さを感じた。


低血糖の原因はともあれ、すぐさま治療開始。

糖を補充する。

まずグルコースの液体を注射器に入れ

吠えているタイミングを見計らって

誤嚥に注意しながら、少量口に含ませてみた。

ごくりともペロリともしないため、

グルコースが口から流れ落ちる。

経口投与は無理と判断。


血管に留置針を入れ、25%グルコース液を

10分以上かけゆっくり静脈注射。

その後、5%グルコース液を点滴で

通常の1.5倍の速度で流す。


横になった姿勢から伏せの姿勢に

した方が吠える症状が軽くなるように思えた。

しばらくして、ほとんど吠えることはなくなった。

入院室の部屋に入れて、様子をみた。

すると今度は自分で起立し、時計回りに

ぐるぐる歩き回っている。

その為点滴のチューブもクルクルと

まかれてしまう。

様子をみながら、チューブの絡みを直す。

しばらくすると歩き疲れたのか

横になり、寝始めた。

すぐにぐっすりと深い眠りに入ったように感じた。

点滴開始して2時間が経ち、血糖値の再測定。


値は「40」

最初の値よりさらに低下していたが、

症状は落ち着いていた。

その後も点滴を続け、4時間ほどたち

意識がある程度戻ってきているようであったので

美味しい缶詰を1~2口、口の前にもっていくと

自ら食した。

さらに少量与えた。

それも完食。


翌日の朝1番の血糖値は「201」

高い。

実はこの仔は、1年半前から糖尿病を

患っている。

毎日毎日朝晩、ご自宅でインシュリンの注射を

うってもらっている。

また1~1.5ヶ月に1度、定期的に血糖値の

検査に来ていただいている。

つい先日も検査したところである。


朝の血糖値は高いものの、意識は元に戻っている

様子で、朝のご飯はペロリ。

5分ほどの短いお散歩も普段通りに歩けるまでに

改善していた。


【気持ち良いほど食べています】
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【白内障のため、眼が白濁しておりますが

お散歩も可能です。】
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今回の低血糖の原因は

現在いろいろと調べています。

低血糖からくるこのような症状に

接したのは初めてといっても良い

ように思います。

とりあえず一命を取り留めることができ

ホッとしています。

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