仁志光佑  | ドラマと映画について語るブログ

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映画、ドラマについての感想。
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鍵のかかった部屋  はかられた男  「ゆるやかな自殺」(単行本未収録)
謎の脚本家 仁志光佑さんの脚本がおもしろい


主演:大野智

脚本:仁志光佑

演出:石井祐介

視聴率16.0%



今回も面白かったです。

キャストもよかった。
大野君は絵だけじゃなくて、演技もうまい。開花したのかな?




脚本家の仁志光佑さんはキャラクター作りがうまい。


今回の第9話は、総合的にレベルの高い脚本です。
緻密に計算されていて、情報も適度に調整されています。

さらに普遍的なテーマ。

コミカルなキャラクターたちと、シリアスな事件のバランスもいい。

子供には見やすく、

子供の親たちも意識して

大人の鑑賞にも耐えられるドラマに仕上げています。



第9話の脚本はレベルが高いので、


今回は、謎の作家の正体を明かすためにも、

本業の知識を使ってシナリオを解剖してみせます。


大事な点耳

1;構成が巧み。

2;主人公たち一人一人に葛藤が用意されていて、見せ場がある。

3;榎本径(嵐・大野智)の特殊な個性を生かしている。(防犯オタク)



ストーリーのポイント(憶測です)  


☆ここが巧い!!


視聴者が子供だった場合、ヤクザ絡みの番組を見せたくないと親は警戒する。

さらに格好良く描けば、ヤクザ擁護と云われる。。。



そこで!

少女を登場させて、視聴者に安心感を与える。


さらに、小さな笑いを入れていき、危ないヤクザな雰囲気を柔らかくしています。




貿易会社に来た芹沢(佐藤浩市)と純子(戸田恵梨香)は、その部屋のレイアウトに「アレな」匂いを感じる。


このシークエンスでのポイントビックリマーク
1;主人公たちが被害者(鈴木亮平)と話を交わすことにより、葛藤を作る伏線が張られる。

2;ラストのために少女の台詞を印象に使う。

3;悲劇を匂わせる



こういう仕掛けがあってから



事件が起こります


ドラマが動き出しました。



ドアの前で悪戦苦闘する榎本(大野)。
(鍵を開ける主人公の肉体的葛藤が描かれています。)


さらに知っている人物が死ぬことによって、

視聴者も榎本の目線で


ある悲しみを共有することになります。(ラストのカタルシスへ)



ポイント2ビックリマーク


1;実は、このとき榎本は犯人に負けている。(榎本が防犯対策を施した部屋を利用された)


2;それにより主人公の行動動機が作られ、犯人との見えない対立関係が設定されます。




☆芹沢たちに依頼が来る。

ポイント3

堅気になったとはいえ元ヤクザの事件に
弁護士という立場の人間を絡めることは難しい。。。


だが、またもやにひひここで子供を登場させ、その問題をうまく解消しています。
(芹沢がチャーミングでした)



この段階で、視聴者は

隠された普遍的なテーマである

「親子愛」(ヤクザの親分と子分の関係)を

情報として植え付けられています。


あと、どこか悲劇を感じさせる事件に興味が沸いてきます。




☆捜査が始まります



密室に主人公は興味を抱く。これは毎回同じですね。

ですが、今回はミステリー=謎を描く手法もうまく使われています。


それは、謎を追う主人公たちの行動動機を早く設定することです。

前のシークエンスで、榎本、芹沢、青砥

それぞれの行動動機が、事前にはっきりと提示されているので


視聴者は登場人物の行動が理解できます。


この手法を使っているので

ドラマに(ミステリーの世界に)

視聴者はすんなりと入っていけるんですよね。



そして



事件の情報とともに、主人公の感情のポイントが明確に設定されます。


榎本は犯人に防犯を利用された。(それは犯人が防犯カメラに死角を作ったこと)

見えない内的葛藤がすでにあるので、行動を起こします。(後にわかる予知防犯)





ここでも脚本家の構成と設定の作り方がうまいことがわかりますね。




☆その次のシークエンスは、雰囲気を変えてテンポが上がります。

推理や、聞き込みなどで情報やヒントが出てきます。

退屈にならないように

アクションとコメディーを使ってうまく描いていますね。

(無駄がないのでチャンネルを変えられない)




☆謎が解けず、事件は暗礁にダウン


さらに敵が動き出し、主人公たちは追い詰められます。


でも、、、、、負けませんビックリマーク

主人公はそんな逆境の中、大きなヒントを得て


この物語のヒロインである少女に会いに行きます。





主人公は、依頼者である少女に質問をし

トリックに使われた重要な情報を得ます。

そして密室の謎が破れます。


アップここが上手い!!



密室を破るヒントは少女から。



なぜなら


この物語は


少女が犯人を倒す


ストーリーだからです。





☆いよいよ対決。


見所は、たくさんありますよ。


実は主人公が犯人に対抗していたことがわかる予知防犯、防犯カメラのエピソード。

これは防犯オタクという設定を最大限いかしていますよね。素晴らしい。



そして、水鉄砲という一見くだらないトリックを


「本物の銃か、偽物の銃かお前にわかるか?」という台詞で


サスペンスをかけ、視聴者の想像をかき立て、

上手く処理しています。


ただ「水鉄砲でした」じゃ終われませんあせる



そして台詞でテーマである

それぞれの「親子愛」が描かれます。


これでミステリーがさらに上質なものになりました。


そして悲劇で終わらせないラストシーン。


ここは脚本というより、監督の演出と役者さんの演技がよかったですよね。


このシーンの大野さんの演技はよかった。




分析してわかってきたこと!!



謎の脚本家の仁志光佑は構成力と状況設定が非常にうまい。


榎本、芹沢、青砥、それぞれにちゃんと葛藤を作っている。

テーマがある。

台詞に癖があり会話が面白い。


ドラマの材料を使ってストーリー展開を面白く転がせている。(行動パターン)


ヤクザというある意味、旬なネタで、扱いづらいものを

「あれ」という台詞で皮肉ったりブラックなユーモアがある。


伏線の回収方法を見るかぎり、ミステリーの技術もある。





「分析結果」





勝手な分析をまとめると、

エンターテインメント性の強いドラマが書けて、構成力があり
キャラクター作りに秀でた脚本家。独自の作風がある。
ジャンルはミステリー。またはアクション、コメディーか。
ユーモアのセンスもある。台詞も上手いし、テンポ感もある。
そして、ドラマと、視聴者をよくわかっている。


以上、短くまとめられませんでした得意げ
ごめんなさい






鍵のかかった部屋 第9話 「はかられた男」

上質なミステリーでした。

面白かったです!