久々に最近の日本映画を堪能させて頂きました。
最近と言っても、2005年の映画ですが、山下敦弘監督作品、
「リンダリンダリンダ」という作品です。
さわやかでありながら、尚且つ飽きさせない。
そんな映画に出会えたことに、この場を借りて、感謝の言葉を伝えたい気分です。
さわやかって言うのは、つまり大袈裟なドラマチックな展開を控えているということ。
しかし、それでもこの映画は、全国劇場系の映画として観客を飽きさせない極上の娯楽作品に仕上がっている。
そこが、まず凄いと思いました。
クライマックスまで、なるべくクローズアップを使わないカット割りのセンス。
役者に自由に演じさせているようで、しっかりとコントロールしている演技指導の的確さ。
そして、この作品が脚本を担当している向井さんとの相性の良さがおそらく一番出ている作品ではないでしょうか。
注目すべき点は、回想なし、ナレーションなしで作品をエンターティメントにしているところにあります。
ハリウッドやヨーロッパ、アジアなどにも、回想なし、ナレーションなしの映画ってないことはない。
でも、それが娯楽作品、全国劇場系の作品となると話しが違ってくる。
現代のシナリオライター志望者にとって、回想とナレーションに頼らずに作品をつくるのは、なかなか難しい事のように思うんです。
物語を盛り上げるために、登場人物の過去に何かがあったという設定をつくったとします。
その瞬間、客にその情報をどのように伝えるか?また謎のままストーリーを進めても大丈夫か?という葛藤が出てきたりする。
ミニシアター系のマニアックな観客に向けて作品をつくるなら、「解ってもらう人にだけ解ってもらえばいい」と宣言して、登場人物の過去に何かがあったと匂わしておいて、そのままラストまで行くという作り方もOKだったりするのです。
まぁ、そこは、プロデューサー、監督と相談になるとは思いますが、ミニシアター系の企画は、全国劇場系の企画に比べて、そのへんがアバウトだったりします。
しかし、全国劇場系の映画は、企画が動き出した瞬間から、「ヒットする企画なのか?」という議論なしには進めれないものなのです。
「解ってもらう人にだけ解ればいい」というスタンスで、なかなか企画を進められない。
そこに、「解りやすくするためにナレーション、回想を入れたほうがいいのかな?」という不安材料を意識してしまったりするのです。
だから、「宇宙兄弟」や「テルマエ、ロマエ」のように、すでに売れている漫画を原作として採用し、企画が動き出すというのも頷けますよね。
売れてる漫画を取り上げておけば、とりあえず知名度があるので、大コケはしないだろうという制作サイドの思惑があるわけなんです。
けれど、この「リンダリンダリンダ」という作品は、「解ってもらう人にだけ解ってもらえばいい」という感覚を失わずに、「多くの人に理解されなければいけない」という宿命も忘れていないんです。
その絶妙なバランス感覚に、心を撃たれました。
「これ以上、カットを長くしたら飽きるんじゃないか?」と思ったら、パッと次のシーンに行ったり(笑)、「これ以上、芝居の間があったら飽きるんじゃないか?」と思い始めたら、役者がじゃべり始めたりする(笑)。
ギリギリのところで、全国劇場系の娯楽映画にしていて、勉強になりました。
これは誰にでも出来る芸当ではありません。
独特のワンシーンワンカットのおかげで、本来ならシラケるはずの女子高生がはしゃぐシーンや友情を語りあうシーンが、まるでそこにいる人達を見ているかのような臨場感を引き出す事に成功しています。
今から、「天然コケコッコー」を観るのが、楽しみでしょがない(笑)
皆さんにも、この喜びを味わって頂きたい。
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