アニー・ホール の拡大版といった趣の作品だ。アニー・ホール同様、俺は深く共感した。内容はウディ・アレンが愛してやまないニュー・ヨークを舞台に、男女がくっついては離れ、離れてはくっつく話。

この作品の感想を書いたいろんなブログを見ても、冒頭のマンハッタンの風景とガーシュウィンの音楽が素晴らしい!そのあとはなくてもいい、というような凡庸な感想しか書かれていない。誰の受け売りなんだ?

がっかりだよ。(もはや、「エンタの神様」でしかうけない桜塚やっくんの台詞より)

大人のほろ苦い恋愛が詰まっているんだよ。それもすぐ疲れちゃう日本の「しょぼくれサラリーマン」の目から見たら理解不能な恋愛感情がリアルに描かれている。タフな人間はどこにでもいるんだよ。俺はどちらかというと、この映画の主人公のような人間だ。ウディ・アレンのなんでもぶっちゃけにしていく人生観に共感する。しゃべってしゃべってしゃべりたおす。全編に満ちている会話こそこの映画のキモだ。

ウディ・アレン演じる主人公は、二回離婚して、子供の養育費を払い、時々自分の子供に会っては遊んでやる。いまは17歳の恋人(マニエル・ヘミングウェイ)がいる。友人(マイケル・マーフィー)の不倫関係に巻き込まれ、その友人の不倫相手(ダイアン・キートン)と恋に落ちてしまう。率直で意外にも筋を通そうとする主人公は、友人の不倫相手とつき合うとき、17歳の恋人にそのことを打ち明け、別れ話を持ちかける。未練があるのは若い恋人のほう。だが、友人の不倫相手はやはり友人が忘れられず結局は去っていく。離婚した元の妻(メリル・ストリープ)は同性愛のパートナーと暮らしていて、そこそこ有名人である主人公との結婚生活と離婚の一切合切を暴露本に書く。失意の中で思い起こすのは17歳の恋人。

大人だって恋愛するし、恋人だっているもんだぜ、はな垂れ小僧ども!おまえらガキにはわからないだろうがな。映像が美しい、ニューヨークとガーシュウィンの音楽が主人公、とか、ほのぼのした感想文でも書いてな。

この映画の痛くて苦い後味が好き。アニー・ホールもまた見たくなった。