「MULHOLLAND DR.」の道路標識。暗い山道。走る高級車。早くも怪しげなサスペンスがある。暴走する二台の大衆車。起こることが予測できる。ゆっくり走る高級車。チンピラのわめき声とともに狂ったように走ってくる大衆車。

高級車の後部座席には黒髪のゴージャスな美女が乗っている。黒いイヴニング・ドレス、真っ白な肌、赤い口紅。エキゾチックな面差しは蠱惑的だ。ローラ・エレナ・ハリングが演じている。メキシコ生まれのこの女優は1985年、ヒスパニックではじめてミスU.S.A.に選ばれたそうだ。俺にとって、また多くの人にとってもさほど有名な女優ではないことも重要だ。これほどの美女なのに。ミステリアスだ。
ロウラ
突然、後ろを振り返る運転席の男。銃を突きつけ「下りろ」と命じる。考える間もなく爆走車が衝突する。
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よろけて車から逃れ出る美女。ゴージャスな肢体が目に入る。着飾ったとびきりの美女だ。眼下の町の灯りを見て茂みを下っていく。額から血が流れている。人目を避け、たどり着いた家の玄関先にある茂みに横になる。
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この出来事は一体何なのか?ヤクザの情婦がトラブルに巻き込まれた?麻薬取引のもめごと?とにかく、ゴージャス美女は予期せぬ交通事故によって直面する危機を逃れた。

旅支度をする女性。玄関先の車のトランクに荷物を積み込んでいる。昨夜の美女が眠っている玄関だ。鍵が開いてる隙にドアから家に忍び込む美女。鍵を確認して去っていく女性。危うくテーブルの下に身を潜める美女。見ている俺たちは美女に感情移入している。台詞がひとつもなく、説明もなにもない。疲れて眠る美女。

ウィッキーズ。デニーズみたいなファミレスだ。向かい合って話す男二人。神経質そうに話す若い男の顔が可笑しい。眉の感じ、目つき。どう見ても変な顔だ。ニコラス・ケイジっぽいかな?(笑
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話の内容がまた変だ。自分の見る夢のことを話している。相手は刑事なのだろうか?よく分からない。振り返ると刑事がファミレスで金を払うために立っているのを見た、とか言う。それと、店の裏におかしな男がいる、というのだ。「夢の中以外ではそいつに会いたくない」とか言っている。

「じゃあ行ってみよう」。なぜか気軽な刑事。立ち上がって支払いをする刑事。振り返る若い男。確かに刑事が立っているのを見る。デジャビュなのか?しぶしぶついていく若い男。あまり食べていないベーコンエッグの皿とコーヒーカップがテイブルに残される。店の前の公衆電話の前を通り、入り口はこちらという矢印の張り紙の前を通り、ブロック塀を覗くと・・・・・・。

(この項続く)

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